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「最短距離」で運転が上手くなる! サーキットで「脱初心者」するための「6つのメソッド」

サーキット初心者はタイヤなどのボトムからクルマ作りすることが大切

サーキット初心者は「スキル」と「クルマ」をどう磨くべきか

 未経験者にとって、生まれて初めて走るサーキットはまるで異質の場所です。そこは、街中の走行では絶対に体験することはない操作のオンパレードです。

 スピードを乗せるため床までしっかりと踏むアクセル。場面に応じた躊躇ないフルブレーキング。タイヤのグリップの限界を探りながらできるだけ高く保つコーナリングスピード。どれをとっても、求められるスキルが公道とはまるで異なります。そこでサーキット走行を楽しむユーザーから信頼の厚いプロショップ「ディーランゲージ」に話を聞きました。

過剰なチューニングは必要なし! ポイントを押さえることが大切

 初めて走行会に参加して、目の前を駆け抜けていくマシンを見ると感じるのが「自分もこのように走れるのだろうか」という不安とワクワクがない交ぜになった感覚です。しかしどんなエキスパートも最初は誰もが初心者。皆、同じ道を通って成長しているのです。

 ドライビングスキルもそうですが、サーキットを走るためのクルマ作りについても、ハードルを高く感じている方も多くいらっしゃることと思います。パワーアップされたエンジンや硬く締め上げたサスペンション。レーシングカーのようなハイグリップタイヤや強化されたブレーキ、乗員の安全を護るロールバーなどなど、サーキット走行に適したさまざまな装備を揃えないと走る資格がないと誤解しがちです。

理想は「地面に接する部分から作っていく!」こと

 これまで初心者歓迎の走行会「走郎」(はしろう)を40回近く開催し、多くのユーザーを開眼させてきたプロショップが「ディーランゲージ」です。まったくのビギナーでもマンツーマンでレッスンしてくれ、その日の走行会が終わる頃にはそこそこ走れるほどに覚醒させてくれるという魔法のプログラムが人気の走行会です。

 そこでのメソッドは細かく記していくと本が何冊も出来てしまうほどの濃密さですが、クルマ作りにおいては一貫したポリシーを持っています。そのひとつが「クルマは、地面に接する部分から作っていく」という理念です。

初心者が一番はじめに手を付けるべきは「タイヤ」だ

 自動車の性能はエンジンパワーなど数値的なものにどうしても目がいきがちですが、サーキット初心者においてはかならずしもパワー重視でなくてもいい、と説くのがディーランゲージ流なのです。たしかにそれは目からウロコで、スポーツ選手と同じように、クルマも「下半身が持っている能力以上の仕事」はできないのです。

 この哲学に沿ってクルマ作りをしていくなら、まず最初に手をつけるべきはタイヤの選択です。いくら鍛え上げたアスリートでも、履いているのがスリッパだったならその本領は発揮できませんよね。

 タイヤに関しては、スポーツラジアルを謳っているブランドならどのメーカーを選んでも問題はないとのことです。「タイヤを上手に使って速くなる」ことを信条としているディーランゲージなので、各社のハイエンドモデルほどのグリップはあえて選ばないポリシーです。

 逆にハイグリップ過ぎてしまうとハブやタイロッドエンド、ドライブシャフトのブーツなどの駆動系を含めてダメージが及ぶケースもあるので、無用なコストが掛かってしまいます。

 タイヤに関してはむしろ通販などを駆使してできるだけお得に手に入れてもらい、練習のためのタイヤ代をまずは優先してほしいとのこと。さらにコストが浮くようなら投資してほしいのがエンジンマウントの交換です。

サスペンション交換よりまず「エンジンマウント」新品交換が効果的

 新車では当てはまらないですが、長く走り込んだクルマのエンジンマウントは、ゴム製品の宿命でどうしても劣化しています。劣化が進めば弾力がなくなり、パワートレーンからの揺れを悪い形で伝えてしまいます。

 これは例えるなら水の張った水槽を運んでいるような状態です。そうっと注意して運んでたとしても中の水は右へ左へ前へ後ろへと動いてしまい、まともに運ぶことはできません。そんな不安定な状態の水を、硬化したゼリーのように安定させてくれるのが、エンジンマウントの新品交換なのです。

 タイヤとエンジンマウント。このふたつを整えるだけでパワーアップや高価なサスペンションへの交換をしなくとも、ドラテクを向上できる練習機は充分に製作可能なのです。

タイヤをきれいに使えるようにひたすら鍛錬!

 この状態を第一段階として、温度とともに変化するタイヤの内圧を感じながらまずはひたすら練習に励むことです。サーキット走行後にタイヤのトレッド面を見て、外側が偏摩耗していないかをしっかりチェックします。ドラテクを修正しつつ、タイヤを均等にしっかりと使えるようになってから初めて理想のトラクションがかけられるサスペンションの仕様を決めていくという流れが、結果的に無駄な出費も少なくて済み、かつ上達が早いとのことです。

 また、夏場のサーキット走行については、オイルクーラーなどクーリング(冷却)性能を向上させるパーツ装着が必須、と思いがち。ディーランゲージでは、ここでもあまり過敏にならないようにとアドバイスをしています。

クルマの走らせ方を可視化するデータロガーの活用がオススメ!

 データロガーを駆使しているディーランゲージの走行会「走郎」では、参加ユーザーがレッドゾーン付近をどれだけの時間使っているかをしっかりと把握しています。それはミニサーキットにおいてはわずかな時間であり、それを考えると過剰な冷却チューンに費やすコストがあるなら、これもまたタイヤ代に回して練習量を増やしてほしいとの思いがあります。まずは「土台」としてボディの下半身から順に整え、人より量を走ることでめきめき上達していくはずです。

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