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サーキット初心者がハマる意外な「罠」! 実は危険がいっぱいの「ホームストレート」の走り方

ホームストレート走行のイメージ

安全なように見えるけど危険がイッパイ!

 サーキットでもっとも安全な場所はどこだろう? すぐに思い浮かぶのは見通しがよくステアリングも切らない直線、いわゆる「ホームストレート」と呼ばれる区間だ。しかしコーナーとは違った危険な要素も潜んでいる。その理由と安全な走り方を解説しよう。

車種がさまざまな走行会では速度差に注意

 姿勢を乱しそうなマシンを巧みな操作で抑え付け、同時に周囲を走るクルマの動きからも目を離さない。サーキットのコーナリングは走りの醍醐味といえる反面、スピンやコースアウトしてしまうリスクも抱えている。

 そんな危険地帯を脱して長いストレートに入ったとき、思わず気が緩んでしまうドライバーは決して少なくないはず。しかしサーキットで起きる事故はコーナーだけに限らず、安全と思われるストレートでも多く発生しているのだ。むしろコーナーより車速が高めでエスケープゾーンも狭いため、事故のダメージは大きくなる傾向が強いともいえる。

 それらのおもな要因を挙げてみたい。まずは車両ごとのスピード差。同じ車両だけで争うワンメイクレースでもない限り、異なる性能のクルマが混在しているのがサーキットの常で、ストレートは性能差がもっとも出やすい場所といえる。

 例えばパワーのないクルマを抜こうとして、ギリギリまで近寄ったら相手が思ったより遅く、横へ出るタイミングをミスって追突してしまった。または先行車が背後から迫るクルマを認識しておらず、運悪くラインを変える方向とタイミングが被って接触など。

 こうした事故を防ぐにはレースの定石テクニックである、スリップストリーム(相手の真後ろに入って空気抵抗を減らす走り方)を避けるのがイチバンだ。そもそもパワー差があればスリップストリームの必要性はあまりないし、大事故のリスクを背負ってまでタイムを追求するのもナンセンスだろう。

 また明らかにストレートで追い付きそうな場合は、ヘッドライトを点灯して自分の存在をアピールする。相手が見ていないから悪いではなく、見えるよう努力することを心がけたい。

ホームストレートはアウト側を走るのが基本

 コーナーが迫るストレートの終盤では、ブレーキングポイントの違いに注意する。同じ車種であってもパワーや履いているタイヤ、ドライバーの技量で減速を始める場所は違う。併せてコーナーに向けたアプローチでステアリングを切り始めるので、ラインが交錯する可能性もあれば減速の度合いが違って追突する可能性もある。

 コーナーに比べて安全にオーバーテイクできるのは確かだが、ひとつ間違うと全開走行中のクルマ同士の接触に繋がることを忘れずに。あとはピットロードからコースに入って来る車両にも注意しよう。サーキットでは「コースイン直後はレコードラインを走らない」のが常識だが、残念なことに全員がそれを確実に守ってくれる保証はどこにもない。

 とくにピットロードの出口がホームストレートのエンド付近にあるサーキットは、走行しているクルマのスピードもかなり高いため事故のダメージは甚大になる。あとは単独で走っていると思えるときでも、ラインを変えるときは必ず後ろを確認。気付かないうちに速いクルマが迫っていたり、ミラーの死角にクルマが隠れていることもある。むしろ長いストレートは操作も精神面にも余裕があるので、意識的に後方を視認するクセを付けるくらいの気持ちでいたい。

 最後に走行するラインに関する注意点を。アウト・イン・アウトという言葉は誰もが知っていると思う。つまりホームストレートのライン取りはアウト側であり、ピットロードがあるイン側に砂やタイヤのカスが溜まりやすい。何らかの事情があってイン側を走らざるを得ないときは、路面が滑りやすかったりタイヤが異物を拾うかもしれず、かつコンクリートウォールともすぐ隣合わせなので、操作に細心の注意を払いつつ早めに元のラインに戻るべし。

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