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便利なのになぜ?「パワースライドドア」を標準装備しないミニバンが存在する「もっともな理由」とは

スライドイメージ

今や軽自動車にも標準装備されている時代

 トヨタ・アルファードや日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンなどのミニバンや、ソリオやルーミーと言ったプチバン、さらにはホンダN-BOXやダイハツ・タント、スズキ・スペーシアなどのスーパーハイト系軽自動車の両側スライドドアモデルにとって、今ではパワースライドドアの装着が当たり前になっている。

 軽自動車のN-BOXでさえ、標準車の最廉価モデルのGグレードを除いて左側(歩道側)パワースライドドアは標準装備されるぐらい普及している。

グレードによってはオプションでも装着不可な場合も

 確かにスライドドアはパワーでないと、イージークローザー機構が付いていたとしても開閉が重く、細腕女性やシニアにとっては開閉するのが大変ことも。

 一方パワースライドドアは、今ならリモコン操作は当然として、スイッチに触れるだけ、もしくは手をかざすだけで開閉できる(予約機能もある)メリット絶大。しかも、運転席に座ったままでもスイッチによってスライドドアを開閉できる。例えば、ドライバーが下りる前に右側のパワースライドドアを開け、サッと後席に置いた荷物を取り出せる。

 また、雨の日に傘と荷物を持った家族を迎えに行った際、ドライバーは車外に出ることなく、左側(歩道側)のスライドドアを“もてなしの心”で開けてあげられるのだ。スライドドア車を一度でも所有したことがあり、パワースライドドアが付いていれば、その恩恵は痛いほどわかっているはずだ。

 しかし、国産最高峰ミニバンのアルファードクラスになれば、今では全グレードに両側パワースライドドアが付いている。だが、例えばその下のクラスのトヨタ・ノア&ヴォクシーでは、助手席側パワースライドドアは全グレードに装備されるものの、上記のように、おもにドライバー=所有者にとって便利な運転席側パワースライドドアは6万2700円(税込)のオプションだ。

 軽自動車のN-BOXでは、助手席側パワースライドドアは、奮発して(!?)全グレードに標準装備されるのだが、さすがに運転席側のパワースライドドアは5万5000円(税込)のメーカーオプションとなる。同じく軽自動車の最新モデル、スズキ・ワゴンRスマイルでは、ワンアクション両側パワースライドドアがハイブリッド車には贅沢にも標準装備される。しかし、ガソリン車のGグレードはオプションでも装着できないのである。ざ、残念だ。

エントリー価格を下げることが一番の理由

 ではなぜ、そうした、パワースライドドアが付かないグレードがあるのだろうか。全車標準にできないのか? 理由は簡単だ。エントリーグレードがそうした設定であることからもわかるように、価格である。ノア&ヴォクシー、N-BOXの助手席側にパワースライドドアをオプション装備するだけでもそれぞれ6万7200円、5万5000円の追加料金なのだから、両側に付けるとなれば10万円以上、価格アップすることになるわけだ。

 価格勝負の車種、グレード、営業車&社用車としての導入では、10万円を超える価格差は大きすぎる。とにかく安く買いたいという人にとって、パワースライドドアの有無は、購入価格の安さに勝てなくて当然だろう。パワー機構がなくたってスライドドアは、多少の力は必要になるもののイージークローザー機構さえあれば、なんなく開けられるのだから。ゆえに、スタート価格設定のからくり、営業判断もあって、パワースライドドアは全車標準化しにくいというわけだ。

 いや、それだけではない。欧州車のミニバンや働くクルマをベースにした、ルノーカングーやシトロエン・ベルランゴなどが、そもそもパワースライドドアを持っていない点にも注目だ。そこよりもコストをかけるところの意識の違いがあり、また、実用車としての潔い装備設定の考え方でもありそうだ。

 さらに、日本のような治安のいい国では、パワースライドドアが、安全のためにゆっくりと開閉してもあまり問題にはならないはずだが、ギャングの多い国(!?)では、力は必要だろうがいざというときにサッと、パワースライドドアよりも早く閉められる非パワーのスライドドアのほうが安心である。そういったことも、海外のスライドドアを持つ実用車に、パワースライドドアが重宝されない(普及しない)理由かも知れない。

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