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「R34ニュル」なんてまだまだ序の口! 限定モデルより希少な「マニアック過ぎるGT-R」とは何か

海外マーケットが成熟し、より希少価値が高いものを求め始めた

 第2世代GT-Rと呼ばれるR32/R33/R34の中古車が異常高騰が止まらない。ただ、現在の状況はR32GT-R(以下R32)がアメリカのクラシックカー登録制度、通称「25年ルール」の対象となった2014年とは少々異なる。当時は単に「日本のドメステックスポーツであるGT-Rがほしい」だったが、年数の経過にともないGT-Rに対する認知も深まったことで海外のマーケットも成熟。より希少価値の高いもの=コレクション性が強まっている。

限定車には手を出せないが、標準的な予算で手に入る希少車はある!

 一番人気は第2世代GT-Rの最終限定車であるR34V-specII Nur/M-spec Nur(低走行なら3000万円オーバー)で、R34のミッドナイトパープルII/III、R33の4ドアオーテックバージョン/LMリミテッド、R32のNISMO/Vspec/V-spec IIといったメーカー謹製の限定車や特別なモデルがそれに続く。 これらのモデルは海外のバイヤーが常に目を光らせているため、マーケットに流通する前に買い手が決まってしまうことがほとんど。手に入れるためにはふんだんな資金と出会う縁を持っていないとなかなか難しい状況だ。

 ちなみに、希少車クラスの相場上昇は下限の価格も引き上げることとなり、さらに無風だったR35GT-Rの相場にも影響を及ぼしている。そして、中古車マーケットの金脈となったGT-R争奪戦には専門店のみならず、一般の中古車販売店も多数参入。タマの取り合いによって値上がりに拍車がかかり、この半年で下限の価格は100万円以上アップした。この傾向は今後もしばらく収まりそうにない。

 限定車や特別モデルを手に入れるのは上述のとおりハードルは高いが、「他では見かけることが少ない希少車」にまで購入枠を広げれば、まだ標準的な予算(それでも500万円オーバーだが)でレア車を手に入れることはできる。

スタンダードでは設定のないボディカラーをまとうGT-Rがある!

 購入可能な希少車の筆頭はレアカラーだ。R33/R34の開発責任者であった渡邉衡三氏が所有する「ダークグリーンメタリック(DH0[カラー番号])」のR32やタイプMを含めて7台しか存在しない「ソリッドレッド(301)」などが有名だ。

現実的な線でいえば、R32は前期型のクリスタルホワイト(326、生産台数10台)、中/後期型にのみ設定されていたグレイッシュブルーパール(BL0、141台)。  R33ならば後期型にのみ存在するR34用のブラックパール仕様(GV1、22台)とアクティブレッド仕様(AR2、12台)、R34は前期型に用意されたライトニングイエロー(EV1、68台)といったところか。いずれのカラーも数々の限定車より圧倒的に生産台数が少ないのは魅力だが、裏を返せば、R32のホワイトを除けば新車時のスタンダードカラーかつ不人気色。相場に大きく影響していないので、欲しい人は狙い目だ。

ディーラー展示用に生産された村山工場の後期型BNR34は17台と激レア

 村山工場で生産されたR34の後期型も貴重なな存在だ。有名なのはまったく同仕様で生産された7台のベイサイドブルーのV-spec IIだが、それとは別に試作車を10台生産。合計17台がラインオフされている。

 これはリバイバルプランにより2000年8月で村山工場の生産を止め、GT-Rの生産を栃木工場へ移管することにともなう対応。同工場で後期型の量産体制を確立するまで2か月のインターバルが必要だったため、ディーラーに展示する後期型車両(および広報車)を村山で準備したというわけだ。栃木工場の量産車と一部仕様が異なる点はマニアをくすぐるポイントだが、見比べないと分からないレベルのため、010001から始まる車体番号(栃木製は040001~)が一番の識別点だ。なお、村山工場のR34最終車体番号車は長野県岡谷市のプリンス&スカイラインミュージアムで常設展示されているので、気になった方はぜひ来館を!

レースに勝つためのパーツを武装したN1仕様は3世代合わせて400台弱

「もう少し、個体として希少性あるものがほしい」ならN1仕様はどうだろうか。その名のとおり、N1レースに参戦するためのベース車両で、その生い立ちから生産台数はR32:228台(245台の説もあり)、R33:87台、R34:56台(R33以降はV-specがベース)といずれも少ない。モータースポーツの使用前提なので装備は簡素化(R32はABSなし、R33中期以降/R34はシングルエアバッグなどなど)されるが、逆にレースに必要な空力パーツや冷却効率向上部品などは標準装着しているのが、スタンダードモデルとの違いだ。
 内外装にも異なる点はあるが、外装は同一仕様に改造されている可能性があり、内装に至ってはマニアックすぎて一般には違いが判別しにくいものも多いため、コーションプレートのモデルナンバーでの判別が確実。R32は13、14桁目がZN、R33は16桁目がC(前期)、N(中期)、R(後期)、R34も16桁目がL(前期)、1(後期)と打刻されるのがN1の証だ。レース以外にも走行会仕様やチューンドカー製作にも使われたため、現在オリジナルコンデションで残っている個体は皆無に近い。エアコンレス、オーディオレスと実用面では劣るものの、今後さらに高騰する可能性も高く、程よい予算で手に入るなら即買いしてもよいだろう。

逆輸入しても手に入れたい(!?)英国仕様! ハードルは高いが優越感は抜群

 今回の「購入できる」という趣旨からは若干外れるので番外編となるが、1997年から正規輸出されたR33/R34の英国仕様も特別な車両だ。ベースとなったのはV-specでヘッドライトのリフレクターの形状変更などを含めて英国内法規に対応、R33に至ってはフロントのコンビネーションランプをシルビア用に変更するなど日本仕様と趣が異なる顔となっている。

 また、欧州の超高速巡行の油温上昇を想定してエンジン/ミッション/デフ/トランスファー(R34はトランスファーなし)のオイルクーラー(N1レース用)を装着するなどさまざまな対策が施されているのも特徴。さらにR34にはコノリーレザーの本革シートを標準装着され、1000万円(当時54000ポンド、R33は50000ポンド)を超えるスポーツカーに見合うプレミアム性も兼ね備えていた(ちなみにこのシートはNISMOで購入することが可能だった)。

 輸入台数は輸入規制の関係で年間50台、5年間で100台以下に制限されたため、R33、R34ともにMAXは99台と決まっていたが、R34は若干その上限に届かなかったようだ。逆輸入が必要なため、手に入れるのはかなりハードルは高いが、日本国内ではまず見かけることはないので、所有する満足度は間違いなくトップクラスだろう。

 その他に、サンルーフ付きのR32や量産車体番号よりも若い番号の個体など、本来なら処分されるべきプロトタイプなどが市場に放出されており、意外なところに希少車が眠っている可能性はある。見つけたら即購入に踏み切るためには高い情報収集力が要求されるが、今回のようなマニアックなモデルは誰もが知っているベタな限定車のように「羨ましがられる」とは限らないので、そこはご承知おきを! ただ、趣味の本質は究極の自己満足。本人が幸せならばそれで問題なしだろう。 

※本文中の生産台数は編集部独自調査に基づきます

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