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欧州ではサーキットでも必要なしとの声も……憧れのドラテク「ヒール&トゥ」が公道ではいらない理由とは

ヒール&トゥ

上手くできないならヒール&トゥは無用の長物でしかない!

 MT車でスポーツ走行をするのなら、マスターしておきたいテクニックと言われる「ヒール&トゥ」。コーナーの立ち上がりに備え、進入時にブレーキを踏んでいる最中にシフトダウンを行い、なおかつ荷重変動やシフトショックをなくすためのレーシングテクニックだ。このヒール&トゥを多くの人が習得したいと思っていて、試みている人も結構いるようだが上手にできる人は非常に少ない。

ヒール&トゥを意識しすぎて減速できないならやらない方がマシ

 ヒール&トゥの要は第一にブレーキ。ヒール&トゥをやろうとしてブレーキの踏力が弱まって制動距離が延びたり、踵でアクセルをブリッピングするときに、ブレーキの踏力が変わって荷重変化を起こしたりするのは典型的な失敗例だ。また、ブリッピングも回転を合わせ損なって加速させてしまったり、回転不足でシフトロック気味になるのも本末転倒だ。ヒール&トゥをやることで、クルマがギクシャクしたり、挙動を乱すぐらいなら、むしろヒール&トゥなどやらない方がいいと言える。そもそもヒール&トゥはスピードが遅く、回転数が低い場所ではかえって難しいので、基本的に公道では不向きのテクニックといっていい。

レースでもシフトミスのリスクがあるので使わない場合もある

 ポルシェもそのように考えていて、歴代ポルシェ911のペダルは、どう考えてもヒール&トゥをやらないことが前提のペダルレイアウトになっている。ニュルブルクリンクでのテストや、ニュル24時間レースなどを見ていても、ヒール&トゥを使っていないドライバーが大半だった! 

 ル・マン24時間レースでもHパターンの車種で、ヒール&トゥを使うヨーロッパ人は少数派とも言われている。彼らに言わせると、「ヒール&トゥはシフトミスの原因になりやすいし、シフトダウンの度にブリッピングすると燃費にも悪い」とのこと。

ダウンシフト時の半クラはクラッチの消耗は少ない

 ではいつ、どうやってシフトダウンしているかというと、減速時はブレーキングに集中してターンインし、出口に向かって向きが変わったところでシフトダウン。そしてクラッチをつなぐ時間を長くとる。つまり半クラッチで変速ショックを吸収しているというわけだ。半クラッチなんて使ったら、クラッチの耐久性が……と思うかもしれないが、シフトダウンで使う半クラッチは、発進時の半クラッチに比べればはるかに負担が少ないので、ほとんど無視していいレベルらしい。

それでもヒール&トゥを練習するなら安全確認が大切

 というわけで、スポーツ走行以外の日常のドライブでいえば、ヒール&トゥの必要性はほとんどない。しかし、ヨーロッパ人はともかく、われわれ日本人はヒール&トゥが大好きなのも事実。その大好きなヒール&トゥをサーキットだけで正しく身につけることは至難の業なので、上達したいのならやはりストリートでも繰り返し練習に励むことも欠かせない。

 必要なテクニックとは言い切れないが、上手になりたい、荷重変動なく制動距離も犠牲にしないヒール&トゥを体現したいというのなら、後続車がいないところでなおかつ同乗者がいないときに、まずは4速→3速のヒール&トゥから練習してみよう(ギヤが低いとトルクの関係で難しくなるし、3速→2速もシフト操作が直線ではないぶん難易度が上がる)。もちろん安全が確保できる交通状況で行うことが絶対条件である。

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