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スズキ「アルト」の魅力はワークスだけじゃない! フツーのNAモデルが今レースで注目されている理由とは

アルトのレースシーン

先代アルトのNAがただいま人気急上昇!

 昨年まで現行モデルとして販売されていたHA36型アルト。チューニングの素材としてはターボを搭載するワークスばかり脚光を浴びていたが、ココへきてNAの廉価グレードが注目を集め、カスタムパーツも続々と登場している。

 実際に乗ったことがある人なら分かると思うが、ノーマルはパワー感もなければレスポンスも悪く、スポーティとはかけ離れたイメージしか受けない。とはいえFFのMT車なら610kgという軽さで、秘められたポテンシャルは決して低くないはず。

 軽自動車によるレース『東北660選手権』でも、HA36アルトは発売された直後から数台がエントリー。しかし当時はプライベーターが中心でパーツ開発も遅々として進まず、主力であるHA23アルトやダイハツ勢とはまるで勝負にならなかった。

ショップのパーツ開発が秘めたポテンシャルを引き出した

 使えないクルマとの烙印を押されかけていたHA36アルトを救い、主役の一角に押し上げたのが兵庫県の『ラインナップレーシング』だ。燃費重視でかったるいフィーリングを激変させる、オリジナルECUの開発に成功。デモカーを製作しつつ、車高調やマフラーなどサーキット走行に向けたパーツも製作した。

 それと前後して東北660選手権では別カテゴリーとして、HA36アルトのワンメイクレース構想が持ち上がる。2022年からのスタートが発表されると、東北のプロショップにも火が付いた。

 まずは岩手県の『パルスポーツ』がECUを発売。既存のスロットルコントローラーなどオリジナルパーツを併用し、サーキットだけではなく街乗りでも楽しいHA36アルトを作り上げた。

2ペダルのAGSでも走りがいいことが照明される

 レース車両をいち早く製作したのは、山形県の『オートリサーチ米沢』だ。ワンメイクレースが2ペダルのAGSクラスを設定するというアナウンスを受け、またAT限定免許しか持たないユーザーが今後はさらに増えるだろうと予想し、MTだけじゃなくAGSも積極的にサーキットを走らせデータを蓄積させた。

 そこで判明したのがAGSの意外な速さ。2022年の3月にテスト走行したエビスサーキット東コースでは、思ったようにシフトダウンせずMTより約2秒のビハインドだったが、ドライバーは「走らせ方で解決できる気がします」と話していた。言葉を裏付けるように、6月26日に行われた東北660選手権・HA36カップの開幕戦は、予選でMTのトップと約0.4秒まで差を詰め、総合でも2番手となるタイムを叩き出す。スポーツランドSUGOのテストでも差は0.5秒ほどで、面白さだけじゃなく速さも遜色がないと証明した。

先代アルトの中古車相場が安いことも注目ポイント

 ちなみに中古車の相場はAGSが圧倒的にリーズナブルで、レース参戦の金銭的なハードルが低い点も見逃せない。レースを目的とするかどうかは別として、HA36アルトで押さえておくべきポイントはこうだ。

 まず必須なのがチューニングECU。現時点でレブリミットの変更はできていないものの、ノーマルとは別のクルマといっていいほど激変する。

 あとは電子スロットルコントローラーも有効で、ワンメイクレースでは大半の車両が装着していた。足まわりはワークスやターボRSと共用だが、NAのパワーやレースを想定した専用品も徐々に登場。ブレーキはローパワーがゆえに極端に強化する必要はなく、フロントのパッドとリヤのシュー程度で十分だと思われる。

 ほかには万が一のクラッシュに備えてロールケージと4点式シートベルト、加えて操作系のバケットシートにステアリングくらいで完成だ。設計が新しいため3世代前になるHA23アルトと比べ、優れた高速安定性を含めて長距離の移動はかなり楽だし、R06Aエンジンは燃費がよく耐久レースでも強さを発揮する。

 おまけに上で触れたレブリミットの変更をはじめ、まだまだ発展する余地があるのも大きな魅力。ワンメイクレースが始まったことによって開発は加速するはずであり、今から軽自動車をイジりたい人はHA36アルトのNAに注目だ!

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