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リッター200円以上! ガソリン代高騰のアメリカは、物価も高すぎて旅のスケジュールを大幅変更です──米国放浪バンライフ:Vol.05

ガソリン代に泣く。この後、レギュラーでも6ドル代後半に高騰

アメリカを気ままに放浪3カ月:12日目~13日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。LA北西・オーハイの町から、次は北へ向かいます。

5月11日 添加剤でクルマは快調! しかし物価が高すぎる

 オーハイ近郊に3泊し、一路、北東に向かった。もちろん、目的地はケーンビルである。ロサンゼルスを出発して以来、厳しい山道は経験していないが、愛車「ドル」の調子はすこぶる好調だ。MAKOTOさんから「ルーカスのヘビーデューティ・オイルスタビライザーを入れてみてください」とアドバイスがあったので、通りがかりのAutoZone(カー用品店)で入手してから、走りが一段とスムースになったように感じる。数年の眠りから目覚めて、エンジンが甦ったのかもしれない。

 エンジンの心配はなくなったが、次なる問題がガソリン代である。カリフォルニア州のガソリンは、1ガロンあたり6ドルを超えている。1ガロンは約4L(3.785L)だから、リッター200円以上(当時のレートは1ドル130円)になる。日本より高い。2022年になっての石油高騰前は、1ガロン2ドル台だったというから、2倍以上になった計算だ。

 キャンピングカーである「ドル」の燃費は1ガロン20マイル(約32km)程度。リッター8kmしか走らない。1日で200マイル(約320km)の長距離移動をすると、ガソリン代だけで1万円近い出費となる計算だ。追い討ちをかけるように物価が高い! たしかに立派なブロッコリーだけど、1個4ドル50セント(585円)といわれると躊躇する。アボカドも1個4ドル、新調したランタンに入れる単1電池4個セットが14ドルには目玉が飛び出た。

 当初は、ユタ州からワイオミング州、最終目的地はミネソタ州のカナダ国境と、ダイナミックな旅を思い描いていたが、クルマの調子ばかりでなく経費面からも難しくなってきた。オプションとして考えていた、カリフォルニアを中心にした滞在型の旅行への計画変更を迫られる。

レッドロックキャニオン州立公園の雄大な岸壁

 ケーンビルまでは1日のドライブではたどり着かない。オーハイで仲良くなった老作家・ジェイのアドバイスで、まずはモハべ砂漠のなかにあるレッドロックキャニオン・ステートパークを目指すことにした。砂漠を南北に突き抜ける14号線は灼熱の1本道だ。外気が熱いうえに長~い上り坂。水温が上がる条件がそろっている。オーバーヒートを避けるため、意を決して暖房を全開にする。熱風で人間がオーバーヒート寸前だ。

 なんとか午後4時、レッドロックキャニオンに到着。キャンプサイトが空いていれば泊まることができる、ファーストカム・ファーストサーブ(早い者勝ち)というシステムだ。キャンプ場をひと流しして、泊まりたいサイト番号をレンジャー・オフィスに告げてチェックインを完了した。「丘に上るナチュラル・トレイルをぜひ歩いてみてください。絶景ですよ」と、若いレンジャーが勧めてくれた。

 丘に上るまでもなく、ジョシュアツリーを代表とするモハべ砂漠特有のサボテンが荒地にニョキニョキと生えている。そこにそそり立つ岩の壁! 砂漠と岩壁のフォーメーションが大迫力だ。こんな環境のなかで一晩を過ごせるだけでも幸せである。

 夕景の時間を待ってレンジャーおすすめのナチュラル・トレイルに向かった。約30分のハイクで、見晴らしのいい丘の上に出た。と、冷たく乾いた風が強く吹き抜けた。すでに日中の暑さは消え、肌寒い。砂漠のサンセットは長い。パーカーのフードを被り、見渡す限り広がる景色がゆっくりと変化していく様を、ひとり岩に座って眺め続けた。

5月12日 レイク・イザベラの豪華なサイトに宿泊

 翌日は、レイク・イザベラという湖のキャンプ場に1泊することにした。KOA(Kampgrounds of America)という全米チェーンのRVパークを予約した。フックアップ(電源&水&排水)、シャワー、ランドリー、Wi-Fiが完備していて快適そのものだ。料金も50~80ドル、エクストラのパーキングスペースが付いている場合は100ドルを超えるサイトもある。今回、ぼくが泊まった施設にはプールや屋外キッチンまで付いている、いわば豪華版だった。

 フックアップサイトに対して、ただ泊まるだけのサイトをドライサイトと呼ぶ。料金は10~30ドルとぐっと安い。レッドロックキャニオンはドライサイトで、ピクニックテーブルと焚火用のファイヤーリングがあるだけだった。

 電源があれば車内で12Vが使えるので、PCや携帯電話、カメラのバッテリーの充電、エアコンなど、なにかと便利。皿洗いなどで出た汚水(グレイウォーター)をその場で処理できるのもうれしい。トイレがあるクルマはタンクにブラックウォーターを溜めることになるが、誰だってそのまま移動したくないだろう。

 旅をスタートしたときは、多少、料金が高くても、基本的にフックアップサイトを利用するつもりだったが、次第にその考え方が変化していくことになる。

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