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米国の「DIY」はスケールがケタ違い! イケメン主夫の自宅と愛車テスラ「モデル3」を拝見──米国放浪バンライフ:Vol.11

知人のナネッタが「息子のジェシを訪ねたら」と紹介してくれた

アメリカを気ままに放浪3カ月:21日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。ロサンゼルスからサンフランシスコまで北上してきて、今回はそのお隣、オークランドでのお話です。

5月20日 オークランドで知人の息子ジェシを訪問

 オークランドで会うことになったジェシは、2021年に他界したモータージャーナリスト、デビッド・フェザーストンの奥さんナネッタの、前夫との長男。デビッドとぼくは仕事を通じて知り合い、以来30年間、友人関係にあった。何度も彼の家にやっかいになり、ぼくにとってデビッドとナネッタはアメリカの叔父さん・叔母さんのような存在だった。今回、カリフォルニアを旅行すると聞いて、「息子のジェシを訪ねたら」とナネッタが世話を焼いてくれたのだった。

 待ち合わせ場所のスーパーマーケットの駐車場に現れたジェシは、愛車のテスラ「モデル3」がよく似合う均整の取れた偉丈夫だった。初対面の挨拶を済ませると、「アウトドアが専門のジャーナリストと聞いていますよ。家の近所の公園を散歩しましょう」と、さっそく提案してきた。彼の家は丘の中腹にあり、その丘の頂上周辺がホアキン・ミラー・パークという公園になっているという。

「近所の公園」の散歩道は総延長なんと40km以上

 家の近くの公園、というから油断してサンダルのまま出かけてしまったが、これがなかなか手強いレッドウッドの森。複雑にデザインされたトレイル(自然公園の中に作られたハイキング用の道)は総延長が40km以上になる。小さな川をまたぎながらアップダウンのあるシングルトレイルが続く。シングルトレイルとは、1人分の道幅しかない道のことで、より自然に深く溶け込む気分になる。木々をぬって差しこんでくる光がきれいだ。日本でいう「近所の公園」とは規模が違う。

 ジョギングをする人、マウンテンバイクに乗る人、この日は会わなかったが、馬でトレイルを行く人もいるらしい。さまざまな楽しみ方ができる、市民に愛される公園であることが感じられた。ジェシもコースを選びながら週に3、4回は訪れるという。植物や鳥にも博学で、解説をしながら公園を案内してくれた。約2時間、10kmを歩いてハイクを終了した。

 ちなみに乗馬をする人を「エクエストリアン(Equestrian)」といい、アメリカでは馬運車を引いて旅行をする人も珍しくない。キャンプ場では専用のサイトが用意されていることもある。

土台だけだった自宅1階部分をDIYでオーディオルームに

 ジェシはエンジニアとして10年間勤務した会社を3年前に退職して、今は無職だ。それ以来、「主夫」として家を切り盛りしている。

「今の自分が快適なんだ。また、仕事に興味がわけば働くかもしれないけどね」

 料理の腕前はもちろん、キッチンをピカピカにしている几帳面さにも感心した。一緒に暮らしているガールフレンドのライアンはニューオリンズ出身で、イベント会社のグラフィックデザイナーとして働いているそうだ。

 驚いたのは、家の改装。丘の斜面に建つ家は、2階にあたる位置に玄関がある。1階は豪華なAVとソファが設置されるオーディオルームだが、なんと2階に住みながら自分で作ってしまったのだという。つまり、中古の家を買ったときは土台だった部分だ。もちろん、配線、配管なども自作。家の改装をするという話はよく聞くが、これは玄人はだしだ。

庭の高さ30mの木も自力で切って眺望をグレードアップ

 さらに庭がすごい。木、花、ハーブ、野菜を組み合わせた手間のかかったガーデンで、そのなかを水が噴き出る細いパイプが通っている。蛇口をひねれば水をやれる仕組みだ。2階のテラスからはサンフランシスコ湾が眺望できるが、当初は高い木が何本も視界をさえぎっていた。それを視線の高さに伐採したのだという。

「それも自分で?」と聞くと「もちろん」との答え。「どれくらいの高さ? 1mくらい?」「何をいってるんだ、30mだよ」「え? どうやって?」「木に登ったんだよ。ぼくは木登りが好きなんだ」

 まさか、そこまで自分でやるとは! 自慢のモルトウイスキーをご馳走になりながら眺めるサンフランシスコ湾の夕景は幻想的だった。

ネット接続問題が解決「21世紀にようこそ!」

 ところで米国でキャンプ場の予約がオンライン主流になっていることは、すでに説明した。現代の放浪にはインターネットが欠かせないことを、この2週間で痛感していた。しかも、購入したWi-Fiが十分に機能しないため、ぼくの放浪キャンプは片翼をもがれた状態だった。

 この件をジェシに相談すると、さっと自室に入って何かを持って戻ってきた。「予備のSIMカードがあるから、これを貸してあげるよ」という。そして、手際よくぼくのiPhoneのSIMカードを取り出すと、あっという間の操作で使えるようにしてしまった。これで電話番号も手に入り、iPhoneのナビ機能も利用できるようになった。

 おまけにPCもBluetoothで連携され、電話回線さえあればオンライン状態になるセッティングになった。これは便利だ。

「21世紀にようこそ!」ジェシとライアンが、驚いているぼくにグラスを上げた。彼がいなければ、この後の旅はこれほどスムーズに進まなかっただろう。

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