オーナーになって2カ月、宮城から神奈川のイベントまで自走参加
2022年11月13日に神奈川県の油壷で開催されたクラシック・フォルクスワーゲンのイベント「Aburatsubo Show & Shine」。ピカピカに輝くスラムドスタイルの1958年式「タイプ1」(ビートル)の脇にいた若者に、オーナーの息子さんかな? と思って声をかけてみたら、2カ月前に納車されたばかりという大学1年生の若きオーナーだった。
中学生の頃から低年式のスラムドビートルに憧れてきた
19歳にしてビンテージ世代の1958年式VWビートルを購入したのは、宮城県に住む大空(そら)さんだ。免許を取得したタイミングでワーゲンに乗り始める人は昔から存在するし、それだけ身近なクラシックカーの入門編だとも言える。しかし、10代でいきなり50年代モデルは、とくに昨今では珍しいケースだ。
「ドイツ車好きの父の悪影響(?)で中学生の頃からワーゲンに興味をもつようになって、雑誌などを読みふけったり、各地のイベントに見学に行って理想の年式とスタイルを決めていました。ローダウンしたスラムドのスタイルにひかれて、自分でもプラモデルをずっと作っていたんです。オーバルウインドウの後の1958~1963年式までの低年式モデルが欲しくって、ずっと探していたんですが、ある時たまたまネットを見ていたら、足まわりまでカスタムされた個体が出ていたので、すぐ電話をしてその週の日曜に関西のVWショップまで飛行機で見に行きました」
コンディションの良いVWもカスタム車だと割安!?
この1958年式ビートルは関西のカスタムVW愛好家が所有していた個体で、ボディはモール類など含めてストック状態をキープしてピカピカに仕上げ、足まわりはフロントが8インチのナロードビームを入れたショックレス、リアがアジャスタブル・スプリングプレートでローダウンしてある。
近年のクラシックカー高騰の波はクラシックVWも例外ではなく、とくに50年代のモデルはビンテージ扱いで、おいそれと手の出せない相場になっている。ビートルで言えば1953~1957年式の「オーバルウインドウ」モデルで綺麗な個体だと500万円オーバーも珍しくなく、1958年式でも400~500万円はザラな状況だ。
しかしカスタム車両の場合は、一般的には相場より安くなる傾向にある。オリジナル状態に戻すには多くのコストがかかるので、必要最低限のメンテナンスだけで販売されているカスタム車は、好みがマッチしている人にとっては非常にお買い得な物件となる。
大空さんにとっての1958年式ビートルがまさしくそのケースだった。若者なので金額は伏せさせていただくが、頑張ってアルバイトして貯めていた軍資金を頭金にして、長年にわたり夢見ていたビートルのオーナーとなることができたのだった。
ビートルで通学する羨ましいキャンパスライフ
「もったいないと言われますが、大学への通学や買い物など、完全に生活の足として使ってます! 左ハンドルの不便さも楽しいです。今後はフロント、リアともにもう少し下げたいと考えていて、車高を下げたときに干渉する部分の対策をしていきたいですね。それと、ホイールやバンパーも変えていきたいです」
大学生にして理想のスタイルのビートルを手に入れた大空さん。今は走り回るのが楽しくて仕方ないようだし、細かくイジっていくためにさらにアルバイトに明け暮れることだろう。交通安全と冬季の融雪剤に気をつけながら、クラシックカーライフを深めていってほしい。