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「バナゴン」でバンライフを実践する若者に遭遇! オレゴンの森のキャンプ場で初めて雨に降られました──米国放浪バンライフ:Vol.17

旅を続けるオハイオ出身のジェイク君。クルマの中に彼女がいたが、恥ずかしがって出てこなかった

アメリカを気ままに放浪3カ月:35日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。ロサンゼルスを出発して北上し、オレゴン州で「クレーターレイク国立公園」を満喫。さらに北を目指します。

知らない土地でもネットでスポットを検索できる時代

 インターネットを使えるようになって、とくに重宝した機能がある。日本でも同じものがあると思うが、「near me」検索である。たとえば「supermarket near me」と検索すれば、今いる場所の近くのスーパーマーケットを表示してくれる。同様に「ATM near me」「Starbucks near me」などが便利だ。

 クレーターレイク国立公園を終えて、オレゴン州道138号線を西に向かっていた。そろそろガスステーションがあるはずなのだが、なかなか現れない。一度地図で確認したが、一本道なので見落とすはずがないと思ってナビも設定しなかった。

 不安になってビューエリアで停車して、「gas station near me」で検索すると、すでに通り過ぎていることが分かった。138号から1本南に入ったリゾート施設の中にあったようだ。このまま進んでも、ガスステーションは数十マイル先までない。危うくガス欠になるところだった。

 検索をするために寄ったビューポイントで、フォルクスワーゲン「バナゴン・ウェストファリア」に乗るジェイク君に出会った。「ぼくも以前、バナゴンで旅行したんですよ」と話しかけると、気さくに応じてくれた。ナンバープレートはオハイオ。「ときどき、家に帰るけどね」といいながら、もう2年半も旅を続けているという。インターネットで仕事をしているというから、収入はあるのかもしれない。こういう半ノマドがけっこういるのだろう。

オハイオ州の地名に込められたネイティブ・アメリカンへの感謝

 州道138号は、ウンプクア・ナショナル・フォレストの中を走る。カリフォルニアはラテン系の地名が多いが、オレゴンはネイティブ・アメリカンのトライブ(部族)に由来する地名が目立つ。

 1776年7月4日、アメリカは13の植民地が集まって独立宣言をした。ちっぽけな新興国がヨーロッパの列強と伍していくためには、国土を広げる必要があった。それが西部開拓史である。

 1804年5月14日、西部開拓の使命を負ったルイス・クラーク探検隊が、期待を一身に背負ってミズーリ州セントルイスを出発した。「西部はどこから?」という素朴な質問には、セントルイスがあるミシシッピ川以西と答える。セントルイスには、探検隊出発を記念する大きなゲートウェイ・アーチが立っている。

 そのルイス・クラーク隊が太平洋にたどり着いた地点がオレゴン州だった。オレゴンのプライドは「ディスカバリー」だ。一行が使命を遂行できた背景には、ネイティブ・アメリカンたちの多大なる助けがあった。彼らはネイティブ・アメリカンへの感謝とリスペクトの意味を込め、多くの地名に彼らの名前を残した。

6月3日 クリアウォーターフォール・キャンプグラウンド

 クルマを走らせていると、「クリアウォーターフォール」というサインが見えた。「138沿いには滝がたくさんあります。それが見どころですよ」と、ビジターセンターの人にアドバイスされていた。滝を見物するために、公園内にクルマを乗り入れた。

 滝までの短いトレイルを歩いていくと、キャンプ場が併設されていることが分かった。ちょっと覗いてみると、鬱蒼とした森の中に居心地よさそうなサイトが並んでいる。滝と川の音が聞こえて気持ちがいい。サイトも6つだけで、静かだ。もう少し先まで行く予定だったが、ここに1泊することにした。

旅して1カ月、初めての雨

 セルフレジストレーションでチェックインを済ませ、クルマの中を片づけていると雨が降ってきた。この旅行で初めての雨である。弱い霧雨だったが、滝の上にある湖へのトレイルを歩くのは躊躇した。結局、その日の午後は読書をして過ごすことに。

 雨が嫌いなわけではない。雨が運ぶ匂いや音、雨が近づいてくるときのひんやりした風の感じは大好きだ。家でも、雨が降ってくると、あえてテラスに出て本を読んだりすることもある。ところが、オレゴンの雨はかなり手強く、この先、さんざんな目に遭うことになる。

 夕方、雨が止んだのでハイキングに出た。すると、これまでとは明らかに違う風景が広がっていた。シエラネバダでは見ることがなかった、コケやシダが多く繁茂している。降水量が多く、まったく違うエコシステムが展開していることが明らかだった。これがオレゴンの森なのか、と感慨を深くした。

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