東京オートサロン2023に出現した「HKS 50thミュージアム」
2023年1月13日~15日に開催された東京オートサロン2023の見どころのひとつに、HKSの「50thミュージアム」があった。このブースは創業50周年を迎えたHKSのエンジンビルダーとしての足跡、レーシングチームとしての足跡、そしてこの先のカスタマイズを提案するHKSといったテーマを、実車やエンジンのディスプレイにて紹介したスペースだ。
エンジンビルダーとしてのHKSをフィーチャー
展示車両はまず「HKSドラッグ70スープラ」。このクルマは1991年に1マイル(約400m)0-400mで初めて8秒の壁を突破し、7秒91の日本新記録を打ち立てたマシンだ。7M-GTエンジンをショートストローク化し、TO4Eのツインターボで最大1000psを発生したモンスターだった。
続いて幻のF1エンジンといわれた「HKS300E」と、それを搭載した「ローラT91/50改」(F3000のシャシーがベース)。究極のエンジンをゼロから造るという創業者の長谷川浩之氏の夢を体現させたユニットで、当時のF1のレギュレーションに合致する、NA3500cc、V12気筒で650ps以上のスペックを誇った。ヤマハ製のF1エンジン「OX88」などと同じく5バルブでVバンク角は75度。
1992年12月に富士スピードウェイで公開テストを行い、「ホンダ、ヤマハ、無限、スバルに続く、国産5番目のF1エンジン」と話題になった。1992年にヤマハがジョーダンに供給した「OX99」エンジン(70度V型12気筒5バルブ)の出力が600ps以上、同年にマクラーレンホンダで5勝した、ホンダの「RA122E/B」(75度V型12気筒4バルブ)が774psといわれていたので、HKS300EもF1用エンジンと呼ぶのにふさわしいポテンシャルを誇っていた。
レーシングチームとしてのHKSの足跡
そしてグループAファンにはおなじみの、R32「スカイラインGT-R」。HKSは1992年からこのマシンでグループAレースに参戦。ほかのチームのGT-Rは、日産工機(REINIK)からエンジンの供給を受けていたのに対し、HKSはオリジナルのRB26DETTで勝負を挑み、1993年に歴史的な1勝を挙げている。
そのほか、エンジンビルダーとしてのHKSの礎を作った、オートレース用のエンジン「HKS200E」(2気筒DOHC 4バルブ600cc)や、これからの1台として、タイムアタック用のチューニングカー、「HKSレーシングパフォーマーGR86」(GT III RSタービン・458ps)なども展示。
この先のカスタマイズを提案していくHKS
HKS広報の細田優太氏はこう語ってくれた。
「50thミュージアムは、HKSという会社の成り立ちからこれまでの軌跡を皆さんに見ていただきたいと思って企画したブースです。実車の展示だけでなく、歴代のターボタイマーやEVC、F-CONシリーズ、タービンなども並べて、懐かしさとこれからの姿の両方を味わえる展示にしました。
これから、という意味では、今回の東京オートサロンのテーマを“Tune the Next(その先に挑め)”といたしました。これまでHKSが培ってきた技術を、カーボンニュートラルなど時代の変化に合わせつつ、その先のチューニングの未来、価値観を作っていく意気込みを感じてもらえたらと思います」
ちなみにHKSの「創業50周年の軌跡」の年譜は、同社のホームページでも見ることができるので、興味のある人はアクセスしてみるといいだろう。
■HKS history 創業50周年の軌跡
https://www.hks-power.co.jp/event/tas2023/history/index.html