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キャンピングカーでの自炊メシは意外とヘルシー!? 鬱蒼と寂れたキャンプ場の雰囲気も最高でした──米国放浪バンライフ:Vol.19

アメリカを気ままに放浪3カ月:39日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。ロサンゼルスから北上してオレゴン州に入り、ユージーンの街でボブ・ディランのコンサートを満喫。次はまたアウトドアフィールドへ向かいます。

キャンピングカーの車内には4つ口のコンロ&オーブンが完備

「この人はいったい何を食べているのだろう」「しょっちゅうファストフードを買っているのかな」と思っている読者もいるかもしれない。しかし、9割以上はキャンピングカー「ドル」の中での自炊生活である。

「ドル」のキッチンは4つ口の立派なストーブが備わっている。その下にあるのはオーブンだ。きちんと稼働することは分かっているが、これは使ったことがない。2、3人で旅行をしていれば、「たまにはオーブン料理でも」ということになるだろうが、ひとりではついにその気にはならなかった。

西海岸特産のフルーツはどれもおいしい

 得意料理は、肉と卵のコンビネーション。スパム、ベーコン、ハムを焼き、目玉焼き、オムレツ、ゆで卵の組み合わせをよく作る。そのほか、鶏肉、玉ねぎ、セロリ、にんじん、ジャガイモを煮込んだポトフも好評(?)だ。

 朝食はおもにフルーツ。西海岸特産のリンゴ、洋梨、ブラックチェリー、オレンジは、どれもおいしい。それにバナナを加えたラインアップが定番だ。ヨーグルトと紅茶をいただくと、「今日も行くぞ」という朝の元気が沸いてくる。

安物の炭火焼きグリルが大活躍

 せっかく焚き火をするのだから、炭火焼きをしたいと思い続けてきたが、どうしても高価なグリルを買う気にならなかった。ところが、とあるカントリー・マーケットで14ドルという超廉価アイテムを発見。使えなくてもいいや、と買ってみることにした。

 組み立ててみると、子どもだましのチャチい商品だが、どっこい、これが大活躍してくれた。ビーフステーキはもちろん、ハムやチキンのステーキに、ジャガイモ、にんじん、パプリカのグリルも大満足の出来ばえだ。旅の後半は炭火焼きが加わって、食生活はますます充実した。

6月7日 クレイクリーク・レクリエーションサイトへ

 海岸沿いに町が連なり、その裏に低い山脈があり、中央の谷が開発され、一番東に高い山と砂漠がある。そのフォーメーションはオレゴン州もカリフォルニア州も同じだ。ユージーンを出て、低い山脈、コースト・レンジズのなかのクレイクリーク・レクリエーションサイトというキャンプ場にチェックインすることにした。

 ユージーンのREI(アウトドア用品チェーン店)で「キャンピング・オレゴン」というガイドブックを購入し、その本のなかから選んだサイトだ。本は情報が古く、実際にオンラインで調べると廃業しているところもあった。しかし、やはり紙をめくりながら付箋を貼ったり、書き込みをしながら選ぶほうが性に合っている。

 気に入ったのは、「コケの生えた2種類のメープルや大きなモミの木が鬱蒼としています」というくだり。モミの木(fir)はオレゴン大学の校内でも見て、存在感がある木だな、とひと目惚れした。ぜひ、深い森に自生する大きなモミを見てみたかった。

山奥だけど林業用に整備された舗装路が続く

 州道126号を南に入ると、きれいな舗装路が続く。山の中に入る道だから凸凹を覚悟していたが、意外にも整備されている。その謎が解けたのは、すれ違うクルマが丸太を積載した大型トレーラーばかりだったから。この道は林業のために作られた林業街道なのだ。

 しばらく行くと、なんとピータービルトのトラックが路肩に片輪を落として傾いている現場に遭遇した。材木満載の5アクスルのトレーラーが、何かの拍子にバランスを崩したのだろうか。事故は起きたばかりらしく、ドライバーが三角灯を立てようとしている。一時停止をすると、近づいてきて「調子はどうだい? まあ、オレよりはマシだろうな」と青い顔でジョークを飛ばした。

すっかり寂れたキャンプ場は迫力満点

 州道を左折してからキャンプ場までは16マイル(約26km)。分かってはいたが、かなり遠い。舗装はよくても道幅は狭い。大きなトレーラーとすれ違うときは、やはり緊張する。

 ようやく着いたキャンプ場は、レクリエーションサイトというくらいで、かつては小学生の遠足などに使われたのだろう、共同の炊事場や川遊びの際の注意が書かれた看板が立っている。

 しかし、もうその手の利用は途絶えているようで、ひと言でいえば、すっかり寂れていた。キャンプサイトやトレイルも整備が悪く、その分、望んでいた鬱蒼感は期待以上で迫力満点だった。

 21サイトあるうち、チェックインしているのは2、3カ所。人のことはいえないが、好き好んでここまでくるのは、どんな人たちなのだろう。

 天気は相変わらず、「曇りときどき雨。そして少し晴れ」。翌朝は早起きをして、晴天を期待しながら海岸を目指すことにする。

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