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およそ1400万円! 空冷最後のポルシェ「911」はいまが買い時!? フルオリジナル美車の相場は高値安定

グランプリホワイトを纏ったポルシェ911

現在は相場が安定している993型

2023年3月4日、RMサザビーズがアメリカで開催したオークションにおいてポルシェ911カレラクーペが出品された。ここ数年でグッと価格が高騰している空冷のポルシェは、オークションでも注目されている1台だ。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。

911シリーズで初の6速MTを採用した993

1994年に生産が開始された993型ポルシェ911は、ポルシェが伝統的に得意としてきた空冷エンジンの最終進化型となった。プラットフォームを徹底的に改良し、シャシーには新しい合金製リアサブフレームが採用され、減速時にオーバーステアとなりがちだった前世代の傾向を克服するために設計されたマルチリンクサスペンションを搭載していた。

3.6L水平対向6気筒エンジンには、ポルシェのバリオラム・インテークを採用(1996年以降)。エンジンへ送られる空気が通るパイプの内部に弁を設け、この弁をエンジン回転数に応じて開閉させることで、空気の供給量を調節する。低速域ではトルクを太くし、高回転域ではパワーをアップすることが可能になっている。トランスミッションには4速ティプトロニック、そして911では初めて6速MTを選ぶこともできた。

トニー・ハッターのデザインは、911の伝統的な“グリーンハウス”シルエットを継承しつつ、フロントバンパーとリアバンパーを一体化することで、よりスムーズでモダンな外観を実現している。前世代と同様、993はクーペ、コンバーチブル、タルガなど、さまざまな仕様やボディスタイルを選ぶことができた。

993はいま買いの1台

去る2023年3月4日、アメリアアイランドで開催されたRMサザビーズのオークションに出品されていたのは、そんな993型911の1995年式のものだった。ニュージャージー州メイプルウッドの「エセックス・スポーツカー」から新車で販売された911カレラは、グレーと黒のレザーインテリアにクラシックな色合いのグランプリホワイトで仕上げられている。

LSD、シートヒーター、パワーシート、運転席ランバーサポート、リアウインドウワイパー、電動サンルーフ、フロントとリアのしなやかなレザーは、このポルシェに装備されるオプションとして、新車時の注文書に記されている。

オリジナルコンディションを保った1台

この911は、その生涯をニュージャージー州で過ごし、“改造”された形跡はなくオリジナルのコンディションが保たれている。2004年に発行された請求書によると、この車両はリコールの結果、新しいワイヤーハーネスを受け取り、ポルシェの正規ディーラー「ポール・ミラー」が作業を実施。

また、直近では2022年10月にニューヨーク州エルムズフォードの「Rennwerke LTD」にて、燃料ポンプ、燃料フィルター、バッテリーの交換と燃料噴射装置のクリーニングが施された。つまりは、ちゃんとメンテナンスが施されてきた個体であることがうかがえる。

なお、当該911カレラには、新車時からのツールキットやタイヤ空気入れポンプ、メンテナンスブックレット(整備記録簿)を含むオーナーズブックが付属している。走行距離は4万7120マイル(約7万5832km)と28年選手としては少なめで、最終空冷911かつ6速MT搭載モデルとあって……、10万3600ドル(邦貨換算約1400万円)で落札された。

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一時期、出品されるたびにグングン値上がりする様子だった993型で“バブル”を感じさせたが、最近の落札相場は「高値安定」で落ち着いている。“昔は〇〇〇万円で買えたのに”と思う反面……、現在の安定相場なら購入しても下取り価格を期待できるので、選択肢としてアリなのかもしれない。

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