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海沿いの酒場で出会った日系人のライブをエンジョイ! 朝霧の浜辺ではヨガの女性が瞑想していました──米国放浪バンライフ:Vol.28

シンプルなキャンプサイト。居心地がいい

アメリカを気ままに放浪3カ月:66日目~67日目

これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。今回の最大の目的地であるワシントン州のオリンピック国立公園を満喫して、ふたたび南下しカリフォルニア州へ。レッドウッド国立公園近くのRVパークで理不尽な対応を受けて、思わず飛び出してしまいました。

7月4日 クラムビーチ・キャンプグラウンドに飛び込み

「なんでつまらない意地を張ってしまったんだろう」「素直にフックアップサイトに移っておけばよかったのに」と、後悔が大きくなる。宿は見つからない。今晩はどこまで走ることになるのだろう。雨はあいかわらず降ったり止んだりだ。と、突然、フリーウェイに「クラムビーチ・キャンプグラウンド」というサインが現れた。今までの検索では出てこなかった名前だ。こうなったらダメ元だ。半信半疑で向かってみた。

乗り入れてみると、小さなテントサイトがビーチに向かって10サイトほど並び、その手前が駐車スペースになっている。見たところ、2、3空いているようだ。準備中のカップルに「ここは空いているの?」と聞くと、「多分、空いているんじゃない?」という答え。

ほかの放浪者が来ないうちに、急いでチェックインする。料金は7ドル。助かった、という本音と、言い争いになったRVパークの女性の鼻を明かした優越感に浸った。

地元のタバーンで日本語で話しかけてきた人物は

一応、テントサイトとなっているので、テントを設置する。また、「RVはダメだ」などと文句を言われたくない。ふぅ〜、これでひと安心。午後5時半、食事には早いのでガソリンを入れておくことにする。フリーウェイを潜って反対側に進むと、ガスステーションは見当たらなかったが、小屋風の建物に「クラムビーチ・タバーン」という看板が出ている。タバーンとはパブやバーのことだ。見ると、ビールを持った人がウロウロしている。ちょっと覗いてみる気になった。

たむろしているのは、どうやら地元の連中。カウンターでビールを注文すると、奥の部屋から音楽が聞こえてきた。どうやらバンドがリハーサルをしているらしい。「ご自由にどうぞ」というナチョスとホットドッグをたっぷりといただきながら、演奏を聴きにいった。音楽はノリのいいハードロックだ。

すると、背後から「すみません、日本人ですか」と、流暢な日本語で話しかけられた。驚いて振り返ると、50代くらいの男が笑顔を向けている。そして、「ぼくのお父さん、日本人なんですよ」という。出演者だという彼としばらく話し、コンサートが始まる午後8時に出直すことにした。

夕食を済ませ、8時過ぎにタバーンに行くと、すでに演奏が始まっていた。ボーカルがバイオリンを激しく弾きながらシャウトしている。久しぶりの生演奏に気持ちが昂り、バーボンを飲みたい気分になった。これは楽しくなってきたぞ!

日本人の父をもつ男性は2組めに登場、フィドル奏者とのデュオでカントリーロックを演奏した。コンサート終了後、「ところで仕事は何?」と聞くと、「ぼく? えへへ、マリファナを栽培しているんだよ」と、くしゃくしゃの笑顔で答えた。

7月5日 カリフォルニア1を走りメンドシーノへ

翌日は、超ロングドライブになった。鬱蒼としたレッドウッドの森を延々と走り、国道101から州道カリフォルニア1に入った。この道は海岸線を行く絶景ドライブコースとして名高いが、残念ながら濃い霧で何も見えない。アップダウンが激しく急カーブが多いため、普通のクルマでも時速30マイル(約48km/h)くらいしか出ない。視界も悪く過酷なドライブとなった。

カリフォルニア1には、フォートブラグ、メンドシーノという2つの町があり、いずれもアーティストが多く住むことで知られている。とくにメンドシーノは観光的にも成功していて、平日だというのに多くの観光客で賑わっていた。

ぼくはフォートブラグの町が気に入り、カフェでアップルパイを食べ、アートギャラリーでちょっとした買い物をした。

静かな朝のビーチで瞑想している女性に遭遇

この日は久しぶりにメンドシーノのKOA(Kamp Of America:全米チェーンのキャンプサイト)を予約してあった。翌日は、愛車「ドル」の買い取りを検討しているティモシーにクルマを見てもらう予定だ。疲れていたが室内をきれいに掃除して、見えるわけではないがグレーウォーターも排水してリフレッシュした。

翌朝、早起きをしてビーチに続くトレイルを散歩した。途中でシカやウサギに遭遇しながら海岸に着くと、ひとりの女性が瞑想をしていた。かたわらにはヨガマットが置いてある。ぼくは自分の足音が波に紛れて、彼女の邪魔にならないことを願った。

右手の半島には朝の霧がかかっている。今日の午後、セバストポルでのティモシーとのミーティングは、どんな展開になるのだろう。少しナーバスになっている自分の心を鎮めた。

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