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約3億3000万円で落札! マクラーレン「F1」譲りのセンターシート採用の「スピードテール」は高値安定中

スピードテールのドアを開けた状態

約3億3000万円で落札されたマクラーレンスピードテール(C)2022 Courtesy of RM Sotheby's

特徴的なボディラインが印象的なスペシャルモデル

マクラーレン史上初となるハイパーGTとして誕生した「スピードテール」。システム最高出力1070psを誇るハイブリッドシステムを搭載しています。この特別な1台がフランス・パリで開催されたRMサザビーズのオークションに出品されました。その落札価格とは?

圧倒的高性能を実現するためにデザインされたスタイリング

「史上初のハイパーGT」。マクラーレン自身がこのような言葉とともに生み出したスピードテールは、それまで「P1」、「P1GTR」、「セナ」、「エルバ」と続いた同社のアルティメット・シリーズの最新作として投入された野心作だった。

そのスピードテールが最大の特長とするのは、一切の無駄がない、そしてエレガントな雰囲気を醸し出すエクステリアのデザイン。1990年代に誕生した「F1」ロードカーがそうであったように、3シーターのキャビンレイアウトを採用することでシンメトリー(左右対称)のコンセプトを追求したそのボディは、エアロダイナミクスにおいても、もちろんマクラーレン車の中では最高の水準を極めている。

マクラーレンはスピードテールのデザインを、「サイエンスとしてのアートと、アートとしてのサイエンスの融合なのだ」と表現している。そのエクステリアのディテールには、マクラーレンの伝統的な設計理念、すなわち、すべてのデザインは機能に従うというコンセプトが採り入れられており、結果それは前後方向に流麗な流れを見せるロングボディを形作るに至った。あたかもひとつの固体から削り出された彫刻のごとく、それは完璧なまでの美と機能を共存させたデザインなのだ。

インテリアもまた同様に、人間工学に基づき効率化を最大限に追求している。視界が大きく遮られることのない、ドライバー重視のデザインコンセプト、そしてこちらも究極のエレガンスといえる高級感が醸し出されたキャビンのフィニッシュ。それはドライバーの左右に迎え入れることができるパッセンジャーにとっても至福の空間といえる。

ハイブリッドシステムを搭載し最高速度は400km/hオーバー

リアミッドに搭載されるエンジンは、4LのV型8気筒ツインターボエンジンに、エレクトリックモーターを組み合わせたパラレルハイブリッド方式となり、最高出力は各々757ps、313ps。システム全体での最高出力は驚異の1070psという数字になる。

パフォーマンスデータも圧倒的で、403km/hという最高速データはデビュー時には大きな驚きを持って世界中のファンに迎えられた。生産台数はF1ロードカーのそれにちなんで106台に限定されたが、公式発表時にはすでにそのすべてにオーナーが決定していた。スタンダードな仕様で175万ポンド(約2億5000万円)という高価なプライスにもかかわらず。

約3億3000万円で落札された

そのマクラーレン・スピードテールが、RMサザビーズが2023年2月に開催したパリ・オークションに出品された。同社は2021年のアリゾナ・オークションでもこのスピードテールを出品しており、この時は「036」のシャシーナンバーを持つ、走行距離がわずかに48kmという新車同然のモデルが327万7500ドル(約3億4090万円)で落札され大きな話題を呼んだ。

今回出品されたのは新車でドイツにデリバリーされたシャシーナンバー「030」。マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)によるビスポークのボディカラー「XPグリーン」を採用しているほか、フロントのスプリッターやサイドスカート、そしてホイールのリムやスポークに鮮やかなオレンジのストライプを配したのもMSOの仕事である。

走行距離はわずかに114kmのワンオーナー。106台しか存在しないスピードテールのオーナーとなるには、このオークションは見逃せないというスーパーリッチも多かったに違いない。

RMサザビーズは、前で紹介したアリゾナ・オークションでのリザルトとの比較も十分に行ったのだろう。この2020年式マクラーレン・スピードテールに、220万~260万ユーロの予想落札価格を掲げたが、やはり予想どおり入札は白熱。最終的に236万7500ユーロ(約3億3380万円)での落札が記録された。これは一昨年のアリゾナ・オークション時の落札価格とほぼ等しく、今後もスピードテールの取引にはひとつの目安となる数字になりそうだ。マクラーレンによる究極のハイパーGT。その評価はこれからも高値安定のまま変わることはなさそうである。

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