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日本にない日本車の宝庫! 「バンコクモーターショー」は集客数ではいまや世界ナンバーワンの規模に成長しました

ブースを彩るステージモデルの多さもバンコクモーターショーの特色

急成長している自動車マーケットは中国だけではない

モーターショーは最新のクルマを見るだけの場所。そんな概念は古今東西変わらないものだが、世界中のすべてのモーターショーがそうかといえば、そうは限らない。今回紹介するモーターショーもそのひとつだ。

タイ国内を走るクルマは9割以上が日本車

その名は「バンコクモーターショー」。毎年3月末にタイの首都バンコク郊外で行われるイベントで、タイでクルマを販売する多くの自動車メーカーが参加する。タイを走るクルマは9割以上が日本車なので、もっとも多いのは日本のメーカーだ。2023年は、3月22日から4月2日にかけて一般公開された。

そんなバンコクモーターショーに関して、まず驚くのはその集客力。前回2019年の東京モーターショーは無料ゾーンも含めたカウントで約130万人の来場があったが、2023年のバンコクモーターショーの来場者はそれを上まわる約162万人。いま「大いに盛り上がっている」といわれるのは中国のモーターショーだが、2023年4月に開催された上海モーターショーの来場者は90万人ほどだった。おそらく、来場者数でいえばいま世界で最も盛り上がっているのがバンコクモーターショーだろう。

「日本で売っていない日本車」がよりどりみどり

そんなバンコクモーターショーで、筆者のような日本人のクルマ好きにとって面白いのが「日本で売っていない日本車」を見られることだ。

たとえばホンダブースでは、日本では売っていない新型「CR-V」が展示されていた。それ自体は「北米でも公開されているからニュースではない」と異論を唱える人もいるかもしれないが、日本で売っていない現行モデルの「シビックセダン」があり、さらにそのスポーティグレードの「シビックRS」まであったりするから興味深い。「フィット」の現地向け(とはいえ日本のフィットより車体がひとまわり大きい)に相当する「シティハッチバック」には1.0Lの3気筒ターボエンジン搭載車があったりして、会場内を歩いているといろんな発見があるのだ。

日産には実質的にかつての「テラノ」と同じポジションといえる、ピックアップトラック「ナバラ」のシャシーを使ったSUV「テラ」があったり、三菱も同様にピックアップトラックの「トライトン」、そしてそのシャシーで作ったSUV「パジェロスポーツ」まであるのだから楽しくなってくる。

さらに最近は「BYD」や「MG」「GWM」などEVを中心にラインナップする中国の自動車メーカーの攻勢も激しく、日本車との攻防戦も熱い。

会期中に会場内で売れたクルマは4万台以上!

さて、ここで冒頭の「見るだけじゃない」の話に戻ろう。バンコクモーターショーは世界のモーターショーの中でも異例なのは、会場内でクルマを売っていることだ。

しかも「細々と売っている」なんてレベルではなく、ブースの裏が大規模な商談スペースになっていたりと売る側もかなり本気。

それもそのはずで、2023年は約2週間の会期中に会場内で売れた4輪車は4万2885台。この数を見ただけでは多いか少ないか判断しにくいとは思うが、2022年通年におけるタイで販売された4輪車は約85万台。つまり、年間に販売された車両のうち20台に1台ほどがモーターショー会場内で契約されたと聞けば「多い」といっていいだろう。

単に並んでいるクルマを見るだけでなく、気に入ったクルマを買う場所。それがバンコクモーターショーなのだ。

* * *

そしてもうひとつ。バンコクモーターシーにおいて世界に誇れるのは、ブースを彩るステージモデルの圧倒的な多さである。昨今はそういった演出に関していろんな意見があるが、バンコクモーターショーはまるでかつての日本のモーターショーのように華やかで驚く。これもイベントを盛り上げるためにひと役買っているのは、間違いないだろう。

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