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Z世代が日産「スカイライン400R」に乗ってみた! セダンは古い? それともスポーティ?

発売から9年経ったV37型スカイラインの最上級グレード、400Rに試乗

世界的なトレンドとなっているSUVブームの中で、トレンドから見放されているジャンルがセダンです。とくに日本ではセダン離れが著しく、若者からしたら最も遠い選択肢かもしれません。そんな状況の中、いま一度セダンを見つめなおそうということで、1997年生まれの若手自動車ライターが、日本の自動車史を代表するセダンの1台である日産「スカイライン」の現行モデル、「400R」に試乗してみました。

ラグジュアリーでオトナな雰囲気の内外装

スカイラインと言えばやはり走りのイメージが強く、それは若手の自分であっても一緒。クルマ好きなら納得してくれると思いますが、スカイライン=走りのイメージは、諸先輩方から聞いてきた話が大きく影響しているのでしょう。そんなスカイラインですが、400Rを実際に見たとき、スポーティというよりはどこかラグジュアリーな印象がしました。

近年のスポーツセダンはエッジを効かせたデザインがトレンドとなっている印象がありますが、現行スカイラインはそれらに比べると曲線主体で、どこかマイルドな雰囲気です。400Rの場合19インチの低扁平タイヤや、ホイールから顔を覗かせるビッグキャリパーがスポーツセダンであることを印象づけますが、全体的な印象は変わりません。

ドライバーズシートに座ってみると、印象はよりラグジュアリーなものに。ブラウンの内装色はキャメルを思わせるほど明るく、黒木目のパネルや各種スイッチ類の細部の処理はどこか「シーマ」を思わせるラグジュアリーな雰囲気です。

セダンならではの安定感の高さは高速道路でとくに光る

実際に試乗を開始すると安定感と乗り心地の良さに驚かされます。安定感と乗り心地の良さが両立できるのはボディ剛性を高められるセダンならではと改めて認識。400Rの名前の由来となっている405psを発生するエンジンVR30DDTTも街乗りの低速域ならばとても静か。これは遮音材などの工夫もあってのことだと思います。オプションのBOSE製16スピーカーサウンドシステムが良質なエンターテイメントサウンドを提供してくれることもあり、低速域ではラグジュアリーな印象がより強まります。

ただ、いまだに足踏み式のサイドブレーキを採用しているためか、オートブレーキホールドは装備されていません。500万円を超えるセダンでこれが装備されていないのはマイナスポイントと言えそうです。

高速道路に乗るとその安定感の高さはより優れた形で顔を出します。入ってくる騒音も少なく、長距離運転の疲労度はかなり少なくなりそうです。高速道路を走ると「やっぱりセダンだな」と思わせてくれます。

ただ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)は装備されているもののステアリングアシストに関する装備は用意されていません。プロパイロット2.0とまではいかなくても、少し気の利いたセンタートレースぐらいは欲しいと思ってしまいます。せっかく機械的な接続のないステアバイワイヤなのだから、それを生かした装備が欲しいところ。

また、ステアバイワイヤで言えばもうひとつ、スタンダードモードではステアリングが軽すぎる印象で、センター付近の落ち着きがないように思えます。そんなに走る気がなくても、ステアリングが重たくなるスポーツモードを選びたくなるのでした。なお、ステアリングやサスペンション、エンジンなどの設定を個人でセレクトできるパーソナルの設定もあります。

心地よく満足な走り、でもだからこそもう少し……

ワインディングに入り、スポーツモードをセレクトして少しペースを上げると、エンジンは3500rpmあたりからよりトルクフルになる印象ながらも、ターボラグを感じるようなドカンとくる出方ではありません。気持ちよく高回転まで伸びるスポーツエンジンならではの感覚を思わせる、程よいトルクの出方です。

軽快感こそないものの、ノーズはステアリング操作に対して思った通りに入ってくれて悪くない印象。ロール感も程よく抑えられています。どちらかと言えばスタビリティが高い感触で、リアがブレイクしてもコントロール性が高そうな印象を受けました。エンジンとハンドリングのフィーリングはスポーツセダンとしてそこそこ満足のいく感触といえます。

ただ、だからこそ、もう少し……と思ってしまう部分が目立ってしまうのです。それはトランスミッション。ワインディングでペースを上げるともっと速く変速してほしいと感じてしまい、アップもダウンもなんだか眠たい印象です。新型「フェアレディZ」に採用された9速ATが好評なので、大型改良があるのであればこのトランスミッションが導入されることを願います。

さらに魅力的なスポーツセダンとなる素材は十分

車体やサスペンションの剛性感も高く、エンジンのフィーリングも良く、素材としては十分と言えるスカイライン400R。だからこそ、運転支援システムやトランスミッションなど、「あとちょっと」と思ってしまう部分が気になりました。それらの部分さえクリアすれば、世界基準で見ても魅力的なスポーツセダンに400Rは仕上がるはず。いまや忘れられがちな存在かもしれませんが、スカイラインの進化にも期待したいと改めて思わされました。

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