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ポンティアック博物館に「ファイヤーバード」で連れて行ってもらう。見どころは「ルート66」だけではありませんでした【ルート66旅_06】

1988年式のフィエロ・クーペ。詳細なカテゴリーは不明だが、いくつかの地方レースで優勝した車両とのこと。タイヤはトーヨー製!

往年のマッスルカーたちが一堂に会するポンティアック博物館

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内します。イリノイ州シカゴからスタートしてまず最初に立ち寄りたいポンティアックの街では、その名の通りのポンティアック博物館も必見です。

ルート66博物館のロバートさんが愛車のファイヤーバードで案内

ポンティアックにあるルート66のミュージアムで、とても親切にしてくれたスタッフのロバートさん。大きなカメラを2台もぶら下げていたせいか「日本から取材に来たのかい?」と聞かれ、今回はプライベートだけど写真と文章を生業にしておりメインは自動車だと伝えたところ、彼も根っからのクルマ好きらしく「それじゃ面白いところに連れて行くよ。時間はある?」と。そのときは気ままなひとり旅だったので快諾し、彼の愛車に乗って出かけることにした。

言われたとおりミュージアムの裏手で待っていたところ、駐車場に真っ赤なポンティアック「ファイヤーバード」が入ってくる。もしやと思ったら運転席にいるのはロバートさん、1960年代の後半に生産された初代モデルだ。まるで新車のようにピカピカでエンジンもトランスミッションも快調そのもの、ポンティアックの街で往年のポンティアック車ってのが粋すぎる。ナンバーから察するに1967年の初期型だろうか。コンディションを維持するだけではなく、日常の足として使っているのも素晴らしい。

今はなきポンティアック、日本でも「ナイト2000」を覚えている人は多いはず

彼のファイヤーバードに対する思い入れを聞かせてもらいながら、向かった先はルート66ミュージアムからひとつ南の通りにある、その名も「ポンティアック・オークランド・オート・ミュージアム」だ。外見はごく普通のビルで以前ポンティアックを訪れたときは素通りしてしまったが、ここはかつて存在した自動車のブランド「ポンティアック」だけを集めたミュージアム。

ポンティアックはGMの傘下「オークランド」から派生し、「GTO」や「トランザム」といったスポーツモデルを数多く輩出した。しかし1990年代になると販売台数が低迷し、SUVを投入するなどして起死回生を狙うも、GMの経営不振もあり2010年をもって消滅。

日本でよく知られているのはアメリカのTVドラマ『ナイトライダー』に登場した「ナイト2000」で、1982年式の「ファイヤーバード・トランザム」に会話もできる人工知能「K.I.T.T.」を搭載。デビッド・ハッセルホフ演じる主人公マイケル・ナイトと協力し、巨悪と戦うオーソドックスな勧善懲悪のストーリーだ。アメリカでも日本でも大ヒットし精密なレプリカがファンによって製作されたり、フロントに装着されているイルミネーションを再現する部品が販売されたりもした。

街並みも博物館も古き良きアメリカをたっぷり味わえる

さて、話が逸れてしまったので元に戻そう。ポンティアック・オークランド・オート・ミュージアムは2011年7月23日にオープンし、名前のとおりポンティアックと前身であるオークランドの車両ばかりを展示している。ロバートさんにスタッフを紹介してもらい、内部をじっくり見学させてもらった。

聞いたところ展示車は近隣に住むコレクターの所有だったり、他のミュージアムからの寄付がメインだとか。どれもこれも保存状態は素晴らしいのひと言に尽き、台数も多いのでクルマ好きなら絶対に足を運んで損はない。なお入場は無料だが、マナーとしてドネーションボックスに寄付、またはギフトショップで買い物し運営に協力するのを忘れずに。

ちなみに数年後も知人と一緒にここを訪れたことがある。初回に応対してもらった人とは違うスタッフだったが、閉館の直前で看板を片付けかけていたにも関わらず、快く中に入れてもらい、ますますポンティアックの街が好きになった。

レトロながらも清潔な街並にフレンドリーな住人たち、そして今もメイン・ストリートであり続けるルート66。古き良きアメリカはここにも確実に残されている。

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