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来年のフォーミュラドリフトジャパンは「山中真生」に要注目!「自分もカッレ・ロバンペラ以上の走りをしていきたい」

1本目79ポイント、2本目66ポイントの予選は、28位で通過する

苦しみ抜いた2023年度シリーズ最終戦、仕様変更で一変する!!

ドリフトがモータースポーツとして開催されるようになってまだ歴史は浅い。そんなドリフト競技においても2世ドライバーが頭角を現している。その筆頭が箕輪大也だが、彼以外にも活躍する2世ドライバーは多い。アメリカのフォーミュラドリフトに参戦し活躍したケンジ・ヤマナカを父とするのが、グッドライドモータースポーツのワークスドライバー、山中真生だ。2021年にFDJ2に参戦し、チャンピオンを獲得。2022年からフォーミュラドリフトジャパンに参戦し、その年にグッドライドモータースポーツのワークスドライバーに抜擢され、フォーミュラドリフトジャパンは今年で参戦2年目となる。

いとも簡単にドリフトをしてみせた2世ドライバーならではの天性の才能

山中真生のドリフト歴は浅い。小さい頃は父に連れられて、父が走るサーキットなどに行くことはあったが、その後はドリフトだけでなくモータースポーツとは関係のない環境のなかで育ってきた。現在26歳。まだドリフトを始めて6年目の選手だ。

ドリフトの世界に足を踏み入れたきっかけはシミュレーター。20歳のときにシミュレーターでドリフト走行を体験し、すぐにある程度できてしまった。そこで父に「1回実車に乗せてくれ」と頼み、「やれるものならやってみろ」と乗ったのがJZX90マークII。父が当時持っていたドリフト仕様のマシンだった。

乗ってみたら予想以上にドリフトができてしまい、その後走行会でのミニドリコンに参加する。初級クラスだったが優勝。それから自分でS15シルビアを購入してMSCチャレンジに出場し、2021年から始まったFDJ2に参戦。開幕戦は予選2位、決勝2位を獲得した。しかしシリーズチャンピオンを獲るには、自分のS15シルビアではすペック的に劣っていることを感じ、グッドライドのS15シルビアを借りて第3戦から出場し、シリーズチャンピオンを獲得した。

フォーミュラドリフトジャパン参戦2年目の今年、A90スープラを導入。2JZエンジンに東名パワードの3.6Lキットを組み込んだマシンだ。現行車で見た目もスタイリッシュなスープラでチャレンジとなったが、第1戦から第4戦まではマシントラブルでリタイアの連続だった。新規車両導入ということもあり、毎戦壊れる場所も違う。それらのトラブルを解消しながら1戦1戦乗り越えていくという戦いが続いた。しかし第5戦では予選25位から決勝8位、最終戦の第6戦は予選28位から決勝8位を獲得した。

A90スープラを導入してからは苦難の連続であった

今回の最終戦、トップ32はワンモアタイム1回、トップ16はワンモアタイム2回、グレート8ではワンモアタイム3回と、グレート8で敗退するまで9回の追走をこなした。これは過去最多だろう。優勝したKANTAが5回だったため、単純に考えても2戦分戦ったことになる。結果8位で終了したが、今回はドライバー、マシンともにフォーミュラドリフトジャパンで十分に勝負になると感じさせたラウンドとなった。

この最終戦で、山中真生のチームはスープラの仕様変更を決行。シリーズランカーに勝つためには馬力が欲しかった。タービンを換え、クルマのセッティングも色々変更して以前の約800馬力から約990馬力に大幅にパワーアップ。戦えるマシンであることをこの最終戦で証明できた。

今回はトップ32からトップランカーとの戦いが続いた。トップ32で対戦した松井有紀夫はフォーミュラドリフトジャパンでは成績は残していないものの、長年D1GPで活躍する選手である。トップ16では小橋正典、グレート8では箕輪大也とトップランカーと戦った。今回はトップ32からファイナルを戦っているつもりで走り続けたと山中真生はいう。

「たしかに厳しい組み合わせでしたが、ファイナルまで勝ち進めばどうせ戦わなくてはならない相手だし、こういった人たちを倒さないと上にはいけない。全力を出して戦い続けました」

スポッターに風間靖幸を迎えて環境も走りも変わった

最終戦で山中真生の走りが変わったと感じた人は、多かったと思う。それはパワー面だけでなく、本人の意識にも変化があったからだろう。今年からチームのスポッターに風間靖幸を迎えた。毎戦、スポッターの風間靖幸とともに足まわりも煮詰めていき、戦えるマシンへつくり変えていく。風間靖幸といえば、D1GPでシリーズチャンピオンを獲ったこともある名選手。クルマづくりから単走はもちろん追走まで勝ち方を知っている。スポッターとしても超一流として知られている風間靖幸とともに、1年間つくり上げてきた成果が最終戦で爆発した。

たしかに8位という順位はそれほど凄いと呼べるものではないが、内容がこれまでと違った。正直、このまま優勝するかも? と思わせるほどの勢いがあった。しかし天は山中真生に味方しなかった。グレート8で箕輪大也と戦ったワンモアタイムの2回目くらいから雨が降り出し、路面はドライから一気にウエットへ……。これまでウエット路面でスープラを走らせていたことがなかったのだ。ウエットでのセットアップも出来ていなかったので、ここで苦しんだ。ドライだったら誰にも負ける気がしなかった走りを続けていただけに、悔やまれる天候の変化だった。

カッレ・ロバンペラの走りに大きな刺激を受けた

シミュレーターからドリフトにハマっていった山中真生の練習は、今でもシミュレーター中心。最近はシミュレーターで追走の練習もしているという。フォーミュラドリフトジャパンで戦っているドライバーも、シミュレーターで練習する人も増えてきた。ドリフトも新しいスタイルに変わりつつある。練習ひとつにせよ、走らせ方、ラインの取り方、すべてが新しい形を求めている。その大きな流れがカッレ・ロバンペラのような選手の出現だ。完璧なライン取りに速い車速など、日本のドリフトドライバーには持っていない技術もたくさん持っている。もっと強くなるには“あの領域”の走りを手に入れなければならない。

「自分もカッレ・ロバンペラ以上の走りをしていきたい。まだ対戦したことはありませんが、練習走行では一緒に走ってその凄さは感じています。先行の走りは完璧で、しかも後追いをやりやすい。後追いはラインも取りながら車間距離を詰めていき、その上で勝負を決められる。まさにフォーミュラドリフトジャパンが求めている追走がそこにあると思います。今回は一緒にシミュレーターで練習しているKANTAがカッレ・ロバンペラを倒して優勝しましたが、その戦いも凄かったと思います。自分は今回、そこまで辿り着けませんでしたが、誰にも負けない走りを身に付けたい。そのためにオフシーズンにもっと練習して、来シーズンはもっと戦えるように鍛えてきます」

山中真生は今年、D1ライツにも参戦。最終戦前までシリーズランキングトップだったが、初めて強烈なプレッシャーのなかで予選に挑み、17位敗退。チャンピオンを逃してしまった。来年はフォーミュラドリフトジャパンとD1GPに参戦する予定とのこと。まだダブルタイトルを獲った選手はいない。来年、山中真生はダブルタイトル奪取を賭けて最高峰の走りを目指す。

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