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高級ミニバン戦線に異常あり!? トヨタ「アルヴェル」の牙城を崩すべく、日産が披露した伏兵の正体とは?「エルグランド」復活か

上級ミニバンは「アルヴェル」一択でいいのか?

日本において、高級セダンやサルーンに代わる、国産ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーはもちろん、VIP、会社役員、芸能人に圧倒的に支持されている上級・高級ミニバンの代表格がトヨタ「アルファード」。同クラスには日産「エルグランド」もあるにはあるが、「ヴェルファイア」を含めなくても販売台数では比較にならず、国産ハイエンドミニバン市場では「アルファード」の独走状態が続いているのだ。そんな高級ミニバンについて解説してみようと思う。

高級ミニバンは選択肢がなさすぎる

高級ミニバンを望む多くのユーザーは、先代モデル、そして約8年ぶりにフルモデルチェンジされたアルファード&ヴェルファイア(兄弟車を合わせて「アルヴェル」の略称で親しまれている)で大いに満足しているはず。現行モデルは最上級のエグゼクティブラウンジとZ系をラインアップし、ヴェルファイアに至ってはスポーティモデルと呼べるガソリンターボ279ps/43.8kgmを誇るZプレミアまで用意する。だがしかし、それ以外の車種の選択肢がなさすぎる……という声も聞く。

実際、大きな会議が開かれる大会場やホテルの前には、黒塗りのアルファードが列をなし、ちょっと異常な雰囲気さえある。その中にエルグランドが、肩身狭そうに混ざっていることもあるが……。また、国会のある永田町をよく通るのだが、かつては「クラウン」、レクサス「LS」、ベンツ「E/Sクラス」がひしめいていたものの、今ではアルファードだらけでもあるのだ。送迎車に趣味性の立ち入る隙はないかもしれないが、人と同じじゃあ、やっぱりつまらない……と外野は思うわけである。

「アルヴェル」のライバルはVクラス?

そこで、まずアルファードのライバル車として思いつくのが日産最上級ミニバンのエルグランドだが、筆者は2023年10月から開催されていたジャパンモビリティショーに参考出品されると予想していたものの、見事に裏切られた。現行の3代目、E52型は2010年のデビューであり、もう13年も造り続けられている、もはや古参だ。プラットフォームも古く、セレナで採用されたプロパイロット、プロパイロット2.0も搭載されていない。先代アルファードと比較しても、見劣りする部分は少なくないのである。

かつてあった、ホンダミニバンの上級車種である「ラグレイト」や「エリシオン」の復活の声も聞かないし、間もなく再デビューする「オデッセイ」はクラスが違う……。とすると、エルグランド以外のライバル、というか、選択肢はメルセデスベンツ「Vクラス」ぐらいということになる。

ただし、2/3列目席のシートが外せるなどアレンジ性はなかなかなものの、ショーファーカーとしての2列目席の豪華さや装備の充実度では、新型アルファード/ヴェルファイアに敵わず、なにしろ価格は926万円(消費税込)からと、コミコミ1000万円級なのである。メルセデスベンツの「Gクラス(ゲレンデ)」を好む芸能人やお金持ちはいても、Vクラスを愛用している芸能人やお金持ちはなかなか見かけないとも言えるのだ。

レクサスは満を持して新型ミニバンを投入

そんな、国内でのハイエンドミニバン、アルファード一択の現状を打破する可能性があるのが、これもまたトヨタ車と言えばトヨタ車なのだが、レクサス「LM」がある。アルファードがベースながら、なんと後席は超豪華な2列目席キャプテンシートのみの4人乗り。価格は2000万円也(消費税込)である。とはいえ、お金にいとめをつけないVIPや芸能人にはもう最高の走るオフィス、移動車になりうる。アルファードに乗っていて、みんなと同じじゃ嫌だけど、今はこれしかないなぁ……と感じている人にとっては、これしか選択はないだろう。

おっと、ジャパンモビリティショーではそのレクサスLMに、トヨタ側から対抗(!?)するコンセプトカーが、アルファード、ヴェルファイア、ノア&ヴォクシー、ハイエースなどの企画、開発、生産を担当するトヨタ車体のブースに展示されていたのをご存じだろうか。そう、ヴェルファイアベースの、後席2座の4人乗り仕様である。かなり現実的な仕上がりのコンセプトカーであり、もちろん市販化も検討されているというから、トヨタ、レクサス軍団のハイエンドミニバンの選択肢が一気に広がることになりそうだ。

日産はトヨタの牙城を崩せるのか

で、忘れてはいけない、ジャパンモビリティショーでの日産の次期エルグランドについてだが、コンセプトカーとしてミニバンのハイパーツアラーとして提案されていた。市販車とは程遠いかなり先進的かつ先鋭的な仕様で、1/2列目席対座が可能で後席が茶室になっている!! 自動運転前提のコンセプトカーだが、日産が次期エルグランドを模索していることを示唆している1台だ。次期エルグランドの市販車の登場はまだ先のことだろうが、日産としては収益の大きい最上級ミニバンの市場をトヨタ、レクサスだけに独占させておいて平気なはずもない。国産ハイエンドミニバンを望むユーザーもまた、次期エルグランドの登場を心待ちにしているに違いないのである。

繰り返すけれど、一般ファミリーユーザーが手の届く人気の3列シートの国産ハイエンドミニバンは、現状、アルファードとヴェルファイアの独走状態。そこに風穴を開けられるのは、全車速域でのハンズオフドライブを可能にしているプロパイロット2.0を与えたエルグランドが最有力なのだから、いち早い市販車の登場を望みたい。アルファードの牙城を崩すには、エクステリアデザインの刷新と革新が第一条件とも思うわけですが。

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