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岡山県を堪能する「ベッキオ・バンビーノ」にロータス「エラン」で参加! シフトレバーが根もとで外れる!?

岡山路を行く筆者のロータス エラン(C)本田健太

ベッキオ・バンビーノについに自分の愛車で参加!

13年目、22回目を迎えた人気クラシックラリー「ベッキオ・バンビーノ」が2023年10月に岡山県で開催。何度となく参加しつつも愛車では初という西川 淳氏が、「晴れの国」を堪能するチャリティラリーと愛車の様子をお伝えします。

道と食、出会いが楽しみな「晴れの国」のチャリティ・ドライブラリー

「晴れの国」岡山県を堪能するチャリティ・ドライブラリー「ベッキオ・バンビーノ」。今年で13年目を迎え、春秋大会あわせて22回の開催を数えるまでになった、日本でも有数の人気クラシックカーラリーだ。筆者もこれまで何度となく参加してきた。道と食、訪れる先々での出会いがとても楽しみなラリーイベントのひとつだ。

ここ数年は友人と一緒に彼の愛車で参戦してきたのだけれど、今年は春に仕上がった自分のロータス「エラン」での参加がようやく叶うことに。1966年式のエランS3 FHC(クーペ)で、6年前にレストア途中の個体を譲り受け、ロータス通の京都S師匠によるプロデュースで全てをやり直してもらったものだ。オリジナルペイントは赤に黒。ロータスの赤は決して嫌いじゃない。けれどもスポーツカーのメートル原器と呼ばれるエランだからこそかえってエレガントに乗ってみたかった。

そこで、オリジナルにはないけれどエランに似合いそうな色にペイントしてもらうことに。しかも日本中のエランが集まっても被りそうにないカラーにしたかった。チョイスはロイヤルパープルとシルバーの2トーン。イメージはシルクカットジャガーだ。好みのカラーに仕立てつつもブリティッシュさを意識し、さらにありそうでないカラー。いいチョイスだったのでは? と完成した姿を見て大いに喜んでいる。

日本イチのロータスマニアS氏によるプロデュースというだけあって、カラーコーデ以外は見事なまでのオリジナル忠実度を誇る。再生品はもちろん、純正のデッドストックパーツも惜しみなく活用し、見た目にドライブすることが惜しくなるほどのコンディションにまで仕上がった。

もちろん機関も絶好調、と言いたいところなのだけれど、今年春の完成以降、じつはまともに乗ってやる機会がほとんどなく、今回のラリーはぶっつけ本番、どちらかというとレストア後の慣らし、さらにいえば問題を洗い出しするドライブということになる。

快調に走り出すパープルシルバーのエラン……

いつものように岡山市の護国神社前に古今東西のクラシックカーやスーパーカーが80台も集合した。圧巻だ。その中に混じるパープルシルバーのエラン。負けてません(きっと)。

快調に走り出す。初日の午前中は一旦内陸部に入って再び瀬戸内海を目指す。走る岡山の魅力は山と海、その両方が近接ししかも絶好のドライブロードが続くことにある。

22回も開催されているとなると、さすがに経験のあるコースがほとんどだったりする。それでも時おり知らない道(欠席した時のルートかもしれないけれど)に出会って、まだまだこんなに楽しい道があったのか、と岡山という土地の底力に驚く。個人的には道に恵まれた田舎で余生を過ごしたいと思っているけれど、岡山は候補のひとつ。何より山海の美味にあふれている!

エランはといえば快調に走っている、と満足したのも束の間、早速トラブルに見舞われる。高台のドライブイン。クラシックカーラリーにはつきもののチェックポイントスタンプを終え、用を足そうとクルマを停めた。ひと息ついて再スタート、ギアをバックに入れて……。あれあれれれれ? 1速に入らない? というか、シフトレバーがグニョグニョしているぞ?

焦ってさらにレバーを動かしていると、とうとう根本から外れてしまったようだ。万事休す? とりあえず京都のS師匠にテレビ電話。状況を見せてみる。

「ああ、それは根もとで抜けてるな。折れてないなら簡単に治せるはずだけど、工具あるか?」

ありません。すみません(汗)。

トラブルを乗り越えてラリーを続行

このままリタイアの可能性もある。まずは主催者に連絡し、オフィシャルのメカニックとキャリアカーを手配。その間、ただ待っていてもしょうがないので工具を貸してくれそうな人を探そうとパーキングを見渡していると、見覚えのあるクルマを発見! グリーンのランボルギーニ「エスパーダ」。凄腕エンジニアとして知られるTomi Takuさんの愛車だ。彼なら工具を持っているはず。急ぎ電話をすると、駆けつけてくれた。

程なくオフィシャルのメカニックも到着。京都からの指示にしたがって作業を始める。「まずはセンターコンソールを揺さぶって外して」。揺さぶって外れるんや! 「ネジで固定してあるパネルを外して」。はい。「シフトレバーを抜いてみて」。ごっそり。「あ、折れてへんな大丈夫や、それをもう一度差し込んで」。ゆるんで外れただけであった。

半時間ほどかかっただろうか。一度はリタイアを覚悟した鬼門の地(じつは以前にもこの近くで友人のBMW「M1」に乗っていて突然エンジンが止まりリタイアしたことがあった)から、再スタート。当然、最後尾かと思いきや、道に迷った何台かと一緒に次のチェックポイントへ。

そこではこれまたクラシックカーラリーにつきもの、PC競技=線踏みトライアルにエランで挑戦することに。PC競技とは設定された区間を決められた時間で走り、その正確性を競うもの。例えば30mを3秒+40mを4秒+50mを5秒という具合にコースが設定されており、前輪がセンサーコードを踏むと区間タイムが計測される。といっても競技用のイクイップメントなどまだ装備していない。ストップウォッチも持ってない。キッチンタイマーさえ……。そして肝心のスマホアプリは起動せず。仕方ない、腹時計でやるか!

この日の午後には大がかりなPC競技もあった。中山サーキットを借り切っての線踏みだ。これがまた速度が高く、難しい。けれどもエランの走りそのものは素晴らしく、競技などそっちのけでサーキット走行を楽しんだ。

初日の宿泊は湯郷温泉。夜のパーティでは恒例のチャリティオークションも開催された。イベント道中でも一般観覧車からの募金活動もあり、この13年間で約3400万円もの浄財を交通事故遺児の修学支援や被災地の子どもたちへの支援金として寄附されてきた。チャリティ大会であるという点もこのラリーのユニークなところ。

2日目。ラリーは県北を目ざした。ちょっと鳥取県に入ったりもする。蒜山高原の周りは風光も明媚で交通量も少なく、クラシックカーのドライブには最適だ。ランチはもちろん、ジンギスカン。

岡山には昔ながらの街並みを残した街道筋も多く残っている。今回もいくつかそういう街を抜け、大声援を受けた。一瞬ではあったけれども、観光と交流のツーリズムを体感する。これもまた地方で行われるクラシックカーラリーの醍醐味だろう。

大きなトラブルに見舞われるエントラントもなく、2日目、再び岡山市内に戻ってきた。日も暮れかけようとしている。ゴール後には盛大な表彰式パーティが待っている。

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