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ダイハツのホットモデル「ブーンX4」の本気度とは? 第2世代「スカイラインGT-R」エンジンと同じ成り立ちでした

駆動方式も当然4WDとなるが、VCU式センターデフ式のフルタイム4WDとなり、フロントには機械式LSDが組み込まれていた

モータースポーツで勝つためのベース車だった

ダイハツの普通車ラインナップのエントリーモデルとして、現在は3世代目のモデルが絶賛販売中の「ブーン」。軽自動車からステップアップするユーザーだけでなく、リッターカーとしてビジネスユーザーからも一定の支持を集め、コンスタントに販売されている車種となっている。

かなりスパルタンかつ特殊な仕様となっていた

このブーンはトヨタから「パッソ」という兄弟車も販売されており、初代、2代目はトヨタとダイハツの共同開発。3代目はダイハツが開発し、トヨタへOEM供給という形で販売されているが、パッソとしては2023年9月下旬を持って終売がアナウンスされている。

このように、主にわれわれの日常を支えるアシとして使われることが多いブーンではあるが、初代モデルにはめちゃくちゃトガったホットモデルの「X4」というグレードが存在していたのだ。「X4」とはダイハツのモータースポーツベース車に使用される由緒あるグレードであり、過去には「ミラ」や「ストーリア」といったモデルにも冠されていた。

ブーンX4ももちろんその系譜を受け継ぐモデルとなっており、ホットモデルではあったもののモータースポーツで勝つためのベース車という位置づけが強く、かなりスパルタンかつ特殊な仕様となっていた。

最も大きな違いはエンジンで、936ccという中途半端な排気量を持ち、133psを発生する4気筒DOHC16バルブ インタークーラーターボが搭載されていた。当時のカタログモデルでは1L車が71ps、1.3L車でも90psだったから、そのパワーの違いは一目瞭然だろう。

そして組み合わされるトランスミッションは、カタログモデルには存在しない3ペダルの5速MTで、ギア比はモータースポーツに特化したクロスレシオ。さらにファイナルも5.545とローギヤードで、100km/h巡行は5速に入れていても約4500回転というものとなっていた。

なおこの中途半端にも見える排気量は、JAF公認競技に参戦する際にターボエンジンは排気量に1.7の係数がかけられることを逆算し、係数をかけても1.6L未満のクラスに参戦できるように考えられたもの。成り立ちは第2世代の日産「スカイラインGT-R」に搭載されたRB26DETT型エンジンと同じである。

主にラリーやダートトライアルに参戦することを前提として生まれたブーンX4は、駆動方式も当然4WDとなるが、VCU式センターデフ式のフルタイム4WDとなり、フロントには機械式LSDが組み込まれるガチなもの。

内外装はコストが抑えられていた

このように内部はモータースポーツベースとして本格的な仕様となっていたが、エクステリアはボンネットに備えられたインタークーラー冷却用のダクトと「X4」のステッカー以外はエアログレードの「カスタム」と同等のルックスで、タイヤもカスタムグレードと同等のエコ系タイヤ。室内もメーターフードの上に後付けのタコメーターが備わる以外は特別感もなく、シートもホールド性皆無の通常グレードと同じものが備わっていた。

これはモータースポーツベースということで、どうせ交換されてしまう部品はベースグレードのものをそのまま使ってコストを抑えようという考えの現れだった。

そのため、X4のベースグレードではアルミホイールやプライバシーガラスも備わらず、ドアミラーやドアノブは無塗装、Bピラーもボディ色のままという、ビジネスグレード顔負けの質素な見た目となっていただけでなく、エアコンすら備わらない硬派っぷりだったのだ。

ただ残念ながらブーンX4は初代モデルのみの設定で、2代目モデルからはモータースポーツベースグレードは存在せず、現在のところ「X4」グレードもこのブーンを最後に途絶えてしまっている。

しかし現在再び「ダイハツチャレンジカップ」が復活するなど、ダイハツもモータースポーツへの間口を広げつつあるので、近い将来また「X4」の名前を冠するホットモデルが登場することを期待したいところだ。

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