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800馬力! メルセデス「SL65 AMG ブラックシリーズ」をさらにチューンしたモンスターは約4300万円で落札

29万1000ドル(邦貨換算約4290万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「SL65 AMGブラックシリーズ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

第5世代のSLクラスの頂点を極めたモデル

それはユニークな、と表現するべきなのでしょうか。それともシンプルに驚異の、と紹介するのがベストでしょうか……。そのような2009年モデルのメルセデス・ベンツ「SL65 AMG ブラックシリーズ」が、RMサザビーズ社のアリゾナ・オークションに出品されました。

搭載エンジンは6LのV型12気筒ツインターボ

エスティメート(予想落札価格)は27万5000〜37万5000ドル(邦貨換算約4056万円〜5531万円)。わずか350台しか生産されなかった、そしてSLRマクラーレンですらライバルとしてターゲットのひとつとするとされるこのモデル。ブラックシリーズとはAMGモデルの延長線上にある究極の作品を意味する、きわめて崇高なサブネームにほかならない。

ちなみにSL65 AMG ブラックシリーズが誕生した当時、それまでAMGが生産してきたモデルの中では最も高性能な1台として、スポーツカーのファンからは高い評価を得た。

ブラックシリーズのベースとなったSL65 AMGに搭載されたエンジンは、最高出力で612ps、最大トルクではじつに1000Nmを発揮した6LのV型12気筒ツインターボ。これに5速ATを組み合わせ、後輪を駆動するのがパワートレインの構成である。

これをベースとするブラックシリーズでは、まずV型12気筒エンジンを過給するターボチャージャーの大型化や専用設計のウエストゲートダクト、エアインテーク、高効率のインタークーラーなどを装備し、最高出力でプラス58psの670psを達成している。

ボディはリムーバブル・ルーフから固定式のカーボン製に変更されたほか、前後のフェンダーやボンネット、トランクリッドなどのパーツにもカーボン素材を採用。さらにはサスペンションから油圧アクティブ機構を取り除き、コンベンショナルなコイル式としたことなど、さまざまな軽量化の相乗効果で、ブラックシリーズはさらに250kgも軽量な1870kgを実現するに至った。

ワイド化されたフェンダーに収まるタイヤはフロントが18インチ、リアは19インチ。専用デザインとなるホイールの内側には、前後それぞれ390mm径ディスク+6ピストン・キャリパー、360mmディスク+4ピストン・キャリパーのブレーキを装着する。

さて、話は長くなってしまったが、ここまでがAMGの手によるSL65 AMG ブラックシリーズの大まかな解説だ。

600万円以上のチューニングが施されたSL65AMG

今回アリゾナ・オークションに登場したのは、新車でロサンゼルスのディーラーに納車され、その後フロリダ州にあるメルセデス・チューニングのトップブランドともいえるRenntech社に持ち込まれ、さらに4万1000ドル(同605万円)相当のチューニングを受けたモンスターマシン。

アップグレードされたエンジンとトランスミッションのコントロールユニット、ステンレス製のエグゾーストシステム、リミテッドスリップ・デファレンシャルなどが新たに装備されたほか、さまざまなボディパーツやモール、エンブレムをグロスブラックに仕上げ、アルカンターラとカーボンファイバーを組み合わせた独自のステアリングホイールも装着している。

ブレーキキャリパーはイエローのエポキシ塗装で仕上げられ、ボディ全体にはセラミック保護コーティングも施された。注目の最高出力は、ノーマルのそれを大きく超える800psへと向上。0−96km/h加速は3.8秒、最高速は320km/hで電子制御される。

多くの入札者や観衆が見守る中、徐々に入札価格を高めていったSL65 AMG ブラックシリーズ。最後にその数字が止まったのは、29万1000ドル(同4290万円)でのことだった。第5世代のSLクラス(R230型)の、まさに頂点を極めたモデルは、今もなおその魅力を失ってはいない。

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