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「トナラー」は駐車が苦手な人が多いと感じるのは気のせい? 誰もいないところのほうが楽に停められますよ【Key’s note】

隣に止めてくるやつ

ガラガラなのに隣に停めてくるのはなぜ?

なぜガラリと空いているのに隣へ停めるのか

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「なぜトナラーが存在するのか」です。空いている駐車場でわざわざ隣に停めてくる人のことはトナラーと呼ばれています。そして、トナラーは駐車が得意ではない方が多い気がすると木下さんは語ります。そんな木下さんが語る、駐車の極意とは?

わざわざ停めにくい状況にしていると思うのは筆者だけ?

郊外のショッピングセンターやスーパーマーケットなどで、車両駐車スペースに余裕があるのにもかかわらず、わざわざ隣に停めようとしてくるドライバーがいますよね。

「こんなに広いなのになぜ?」

そんなドライバーのことを「トナラー」と茶化して呼ぶそうです。「隣」を文字って「トナラー」としているとのこと。

個人的には、アンチトナラーです。横に並ばれるとドアが開けづらいですし、ドアパンチされる危険性もあります。ラーメン屋やチケット売り場などで並ぶのも苦手。他人がパーソナルスペースに踏んでくると、拒絶反応が芽生えるからです。

最近はクルマのサイズが日増しに肥大化していますから、旧来の駐車スペースは狭く感じています。ですからさらにトナラーが気になってしまうのです。

こういっては失礼なのですが、トナラーは傾向的に駐車が得意ではない方が多いですね。あくまで僕の経験的な判断ですが、わざわざ寄せてくるのにうまく駐車できず戸惑っている。だったら、右も左もいないスペースに停めれば、そんなに緊張しなくてすむのになぁと心配してしまうのです。

トラナーには、広場恐怖症の疑いがあるそうです。もしくは、無意識なのでしょうね。無意識であるというのは、じつは怖いものです。運転の安全性や、他人への心理的なストレスに無頓着な場合が多いですから、それを空気感として意識してしまう僕は、さらにストレスが積み重なるのです。

クルマに寄せることで駐車の目印になると解釈する人もおられますが、最近はご丁寧に白線やポールでエリアを際立たせている場合が少なくありません。なにも任意のクルマを目印にしなくてもすむような気がするのですが、いかがでしょうか。

それでいて、駐車に苦労している場面を見かけます。わざわざ寄せてくることで、むしろ駐車の難易度を上げているのが不思議ですよね。

「スムーズに駐車する方法は?」

そんな内容の原稿依頼をいただくこともありますが、そんな時には僕はこう答えます。

「停めやすいところに停めましょう」

ハンドルを右に切って左に切って、前進してバックして……と懇切丁寧にアドバイスすることもできますが、もっとも簡単なのは停めやすいところを見つけ、そこに停めることです。

狭いスペースでの駐車は慣れたドライバーでもストレスを感じるものです。ですから、隣にクルマのいない広いスペースや、まっすぐバックすればそれですむスペース、もしくは直線的に前進して停めるのが許されたスペースを探すこと、これがもっともイージーな駐車技術なのです。トナラーさんはその逆パターンですね。

ある広大な砂漠の国に、竿竹のような長い槍で猛獣をしとめる名人がいました。一撃で仕留めなければ逆襲に遭います。さぞかし筋骨隆々の、槍投げアスリートのような屈強な男かと想像していたら、その狩人は痩せほそった骨と皮だけの老人でした。

そうです。槍を遠くから投げて命中させるのではなく、気配を殺して猛獣の背後まで忍び寄り、手に持った槍でお尻をひと突きする。それがもっとも効率がいいのだそうです。だから名人と呼ばれる。

閑話休題。

駐車の名人になるためには、狭いスペースに素早く停めることではなく、停めやすいスペースを見つける能力なのです。トナラーと狩の名人の比較に意味があるのかわかりませんが、停めやすいところに停める。これが極意だと思います。いかがでしょうか?

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