サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

1000キロ弱のアドベンチャーラリーにメルセデス「Gクラス」やユーノス「ロードスター」も参加! 北海道で「シバレルラリー」が無事開催されました

No.44 「syonan domannaka」青木選手(ダイハツ ハイゼット)

4回目の「シバレルラリー」に24チームが参加

2024年で4回目の開催となる「Shibareru Adventure Rally 2024(通称:シバレルラリー)」が、北海道の道東を中心とした舞台で2月22日(木)~25日(日)の3泊4日で行われました。今回は24チームが参加し、盛り上がりをみせました。

北の大地で975kmの距離を走りきる

シバレルラリーは、寒さが厳しい北海道の方言で凍てつく寒さのことを指す「凍(しば)れる」を名称として使用したラリーレイド。真冬の北海道を舞台に展開されており、真冬の北海道ならではの美しい風景や道を思う存分楽しめ、北海道の冬の魅力を十分体感できる機会となっている。ラリーという名称を使っているが、ラリーの形式をとりながらも、いわゆるタイム計測などの競技の要素を取り除いており、ちょっとした冒険ができる旅、といえる。

このラリー形式のアドベンチャーツーリズムは、2021年の第1回目が20台、2022年が17台、そして2023年は25台が参加。今回は30台がエントリーをしたものの、北陸からの参加者が震災の影響で出走を見合わせるなど、結果的には24チームが参加することとなった。

北海道の楽しさをアピールしたいとシバレルラリーを主宰するビッグタンクは、夏にはノースアイランドラリーなどライダー向けのラリーイベントも開催。そちらの参加者がドライブも楽しみたいということで参戦するケースも多いが、パリダカ(現:ダカールラリー)で長年参戦を続けてきたレジェンドの菅原義正選手や三橋 淳選手、そしてアジアクロスカントリーラリー2023で総合優勝を果たしている青木拓磨選手も参加している。

が、もちろんそんなトップラリーストの技術が必要かというと、そうではなく、普通免許証があれば参戦が可能と敷居は極めて低い。

参戦車両は、最低航続距離300kmで、車検を受けており(違法改造車はNG)、自賠責保険に入っていること、そしてスタッドレスタイヤを装着していることが条件だ。装備が求められるのは、スノーブラシやけん引ロープ、そしてバッテリージャンプコードと三角表示板、発煙筒、ガラスハンマー、シートベルトカッター、懐中電灯といった内容となる。

雪道のドライブについては、集合場所で雪道慣れの1本目のSSが行われる。SSは通常のラリーならスペシャルステージの略、ということになるが、ここでは「“滑らす”ステージ」のSSと呼んでいる。このSSはクローズドコースでの設定となっており、今回は毎日設定されている。タイム計測もないのだが、しっかりと雪上でのドライビングの家訓を行ったうえで各車は手渡されたコマ図を頼りにルートを進んでいくことになる。

といってもこのコマ図も必ずしも通過しなければならないということではない。通過地点(CP=チェックポイント)は設定されているものの、CPの通過義務はなく、旅行を楽しむための提案として示されている。つまり、ここを回ると絶景などに遭遇することができますよ、といった具合。CPも各日の最終目的地も座標軸で知らされているため、道を外れたところで問題はなく、各車は自由にラリーを行っていく。

今回は道東を巡るルートとなった。暖冬となった2024年は、北海道も例外ではなく、例年以上に雪のないルートを走行することとなったものの、それでもラリー期間中の降雪もあり、雪もそれなりに楽しめることとなった。ルートは、新千歳モーターランドでの車検およびブリーフィング、そして直後のSSを行ってから各車がスタート。初日は日高を抜けてサホロまでの185.86km。2日目は釧路までの253.34km。3日目は弟子屈〜斜里〜北見を回る321.10km。最終日は北見峠を超えるルートで旭川に入ってフィニッシュの3泊4日となる。

期間中には、初日にラリー主催者による夕食会、最終日には完走者の証であるフィニッシャープレートの授与も行われるフェアウェルパーティが開かれた。

家族旅行をかねて参加する人も多い

今回も北は道内から、そして南は山口や愛媛からの参加者が集まった。比較的時間に余裕のある高齢の参加者が多いような印象を持たれるかもしれないが、転職のタイミングでの参加や、家族旅行を兼ねた参加も多い。

マツダ「ロードスター」(NA)で参加したNo.55「team WADA」の和田龍一さんは現在休職中。北海道が好きでこれまでも何度も北海道を訪れているが、そんな中、某動画サイトで発見したこのシバレルラリーを体験してみようということで、今回初参加。車両はユーノス ロードスターだが、つねにバイク用の防寒ウェアを着込み、走行中はつねにオープンで走行していた。

トヨタ「ハイエース」のNo.616「Team Haraguchi」の原口組は夫婦で初参加。普段仕事で使用している車両をそのまま持ち込んでいるが、道内からの参加。道民は「冬は基本的に引きこもりの生活をしていて、わざわざ雪道を走りに行くということはしない」ということで、今回は夫婦で改めて冬の北海道を堪能する機会となった。

No.812「TAGUCHI INC!」の田口組は2023年に続き2回目の参加。車両も2023年と同じスズキ「エブリイ」(DA17V)。2023年も自転車を積み込んでの参戦で、途中のリエゾンでサイクリングも楽しんでいたが、今回も北見峠を走るルートでサイクリングも楽しんでいた。

今回は全車が途中でリタイアすることなく、そして大きな事故もなく4日間を走り切った。主催者の春木久史ビッグタンク代表は次のようにコメント。

「十勝、道北の風景は夏でも雄大で美しいですが、雪で人工物が覆われ、人の気配も希薄になる冬の美しさはまた格別です。今年はスタートの直前まで記録的な暖気が続いたことで道路は乾燥していることが多かったですが、その代わりに晴天に恵まれたことで絶景の連続だったと思います。流氷原にも出会えました。来年のルートはまだ決定していませんが、今年は大平原の連続でしたから、山岳ルートをふんだんに取り入れたいと思っています。どんなクルマでも参加でき、いろいろな目的を持って走っていただけるのがこのラリーです。競技ではありませんが冒険的で、自らのナビゲーションで道を切り拓き、自らのテクニックで全ルートを走破する。例えば、ラリーやレースの経験のある方が、モータースポーツとは無縁だったご家族や友人、仲間を誘って参加していただけるのがこのラリーです。来年も2月に開催を予定していますので、ぜひ計画してください」

例年11月にはプレエントリーがスタートし、受付が開始される。参加できるのは最大50チームとなる。クルマを操る楽しさ、ルートブックを使ったナビの醍醐味、そして冬の北海道の美しさとその味覚を自らの体験として実感するイベント。ひとりでも、友人知人家族とでも参加が可能、ぜひとも参加してみることをおすすめする。

モバイルバージョンを終了