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マツダ「ファミリアバン」にFC3S「RX−7」のロータリーを移植! RE雨宮が手がける昭和旧車がエモい

個性的なルックスを持つRE雨宮ファミリアバン

REエンジン搭載ありきで計画がスタート

ロータリー専門店として有名な「RE雨宮」は、思い出のクルマに乗りたい昭和世代のクルマ好きから相談が度々あるそうです。今回紹介するマツダ「ファミリアバン」も当時を懐かしむオーナーからの依頼でしたが、「レストアを兼ねた製作になるのであれば、ロータリーエンジンを搭載させたい」というオーナーの強い要望がありました。そうした経緯で、このファミリアバンはREエンジン搭載ありきで計画がスタートしました。

あえてNAにこだわる

ただ懐かしいクルマというだけでなく、大胆な発想でファミリアロータリーバンとして製作した点が実に興味深くて面白い。このプロジェクトは、RE雨宮主導で郷田鈑金とタッグを組み、レストアを兼ねたパーツ組み換え移植作業が開始された。

ベースは1978年に発売された4代目ファミリアバンである。主に商用車として活躍したこのクルマのグレード体系は3ドアと5ドアが存在していたが、今回は5ドアタイプをベースにカスタムが進められた。

作業はそれぞれの得意分野を振り分けながら分担。ボディリペアを兼ねたレストアを郷田板金が担当し、その他の機能パーツ、エンジン、駆動系、サスペンションの見直し、チューニング全般をRE雨宮が請け負っている。

1978年当時、ファミリアバンは1.4L直4SOHCエンジンを搭載し、最大出力はたったの82psしかなかった。トルクも細く、パワーも無いとなれば、どれだけ出足が遅かったのか想像がつく。そんな非力すぎるマシンを現代の技術で快適に走るクルマとして蘇らせる。そのための要になるのがREエンジン搭載だった。

RE雨宮がファミリアロータリーバンのために用意したパワーユニットは、FC3S型「サバンナRX-7」に搭載された13Bユニットだった。今回の搭載にあたって、あえてNAにこだわっている。その理由はクルマのキャラクターを考えれば、かっ飛ばす仕様ではなく、街中を快適に流して走るクルマだからだ。そのため、13Bユニット本体は過激な爆音のペリチューン仕様ではなく、扱いやすくスムーズなフィーリングが得られるRE雨宮得意のブリッジポート仕様でまとめ上げている。

当時らしさも大切にしたチューニング

また、すべてを新しくするのではなく、当時らしさも大切にしたチューニングとして、ウェーバーのキャブレター45φをセットしているのもポイントだ。これによって引き出した最大出力は210psにもなる。ちなみに、このエンジン載せ替えに伴ってトランスミッションの変更が必要不可欠となり、ここにはSA22C型サバンナRX-7用を組み合わせているということだった。

また、純正のただ柔らかいだけのプアすぎるサスペンションについては、SA22C用をベースに強化を兼ねたチューニングをフロントのみに施している。一方、リアについてはリーフスプリング式のままで、RE雨宮独自のアップグレードはさせてはいるが、このままでは満足していないため今後の課題になっているという。また、パワーアップに伴ってブレーキ性能の向上は必須だが、これについてもFC3S用のブレーキシステムを組み込んで対応させている。

昭和のクルマを象徴するファミリアバン、そして、ロータリーエンジンの組み合わせは、当時を知る世代にとってはそそられる。ちょっとくすんだホワイトのボディカラーも昭和テイストを十分に演出している。個性的なルックスを持つRE雨宮ファミリアバンは、その見た目も乗り味も抜群に楽しめる1台として見事に改良、再生、復活を遂げた。

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