1600ccというカテゴリーには、魅力的なクルマがたくさんありました
1980年代~1990年代にかけては、各社から熱い走りを見せてくれるコンパクトスポーツが人気だった時代でした。それらの排気量は1600ccで、クルマ好きは親しみを込めて「テンロク」と呼び合ったものでした。そんな「テンロク」車だけを集めたミーティング「九州テンロク・ミーティング」の模様をお伝えします。
テンロクのコンパクトスポーツは今や絶滅危惧種!?
毎週末に日本各地でさまざまなクルマのイベントが開催されているが、今回紹介するのは2024年10月6日(日)に福岡県にある、あまぎ水の文化村で開催された「九州テンロク・ミーティング」だ。「テンロク」とは、1600ccの排気量の俗称。かつてファミリーカーとして一般的なサイズとなったこのクラスで、若者をターゲットとしたスポーツモデルが続々と追加されたのだ。
その代表格は、1972年に登場したトヨタ「カローラレビン」「スプリンタートレノ」だろう。1980年代に入ると各社から高性能なクルマも続々と登場したこともあり、1980~1990年代はまさにテンロク天国だった。
この排気量で思い出される主な人気車は、トヨタ「MR2」、ホンダ「シビック」「CR-X」「インテグラ」、三菱「ミラージュ」、日産「ブルーバード」「サニー」、「パルサー」、いすゞ「ジェミニ」、ダイハツ「シャレード」、マツダ「ロードスター」、そして現行車のスズキ「スイフト」だろうか。
しかし、国内でのスポーツカー需要の衰退や、自動車税区分の影響もあり、排気量1600ccというカテゴリーは、もはや過去の遺物となってしまっている。
10月6日は「テンロクの日」でキマリ!
各地で開催される大小さまざまなクルマイベントは、メーカー別、車種別はもちろんだが、俗称や車両型式を日付に置き換えて開催されている集まりも多い。たとえば分かりやすいところでいえば、8月6日は「AE86」型=ハチロクとして大人気の4代目カローラレビン/スプリンタートレノの日。2月3日は日産。あるいは、R32型「スカイラインGT-R」に特化した3月2日や、7月7日の「RX-7」など、その区分けはさまざまである。今回開催された「九州テンロク・ミーティング」も、その名前に合わせて、2024年10月6日に開催されたのだった。
「私の愛車が、いすゞ ジェミニだったので、同じテンロク好きの皆さんが集まったら面白いのでは? と思ったのがきっかけでした。しかも、偶然にも2024年10月6日は日曜日だったのです」
主催者である柘植 智さんは、古くからこの福岡の地で「いすゞミーティング」を開催してきた実績がある。その後、「いすゞスバルプラスオーナーズミーティング」として進化し、今でも開催を続けているのだが、「テンロク」繋がりの新たな出会いの場を、このような形で作ったのだった。
国産/輸入車問わず80台近いテンロク車が大集合
今回初開催となった九州テンロク・ミーティングは、いざふたを開けてみたら予想以上の台数が集まったとのこと。イメージとしては、「シビック」や「CR-X」のホンダ勢。トヨタ勢は王道の「ハチロク」を中心に、兄弟車の「カローラ」「コロナ」「セリカ」「MR2」など。続いて国産で多かったのはマツダ「ロードスター」。そして、日産「マイクラC+C」や「スタンザ」、いすゞ「べレット」といったレア車や、輸入車では、「スーパー7」「ミニ」、VW「タイプ1(ビートル)が来場。
幅広い車両が多く参加したのは、国産、輸入車の区別なく、ノーマルでもカスタム車でも参加OK(暴走族を連想させる改造と痛車はNG)、さらに参加料金は100円という、敷居の低さも関係しているだろう。いずれにしても、「テンロク」という区分けでも、これだけ興味深い車種が一堂に会したのはとても興味深い。
当日の参加者や見学者から、2回目以降の開催希望の声も多数聞かれたようだが、次回の開催は未定とのこと。やはり、この2024年は、10月6日が日曜日だったという奇跡があったからだ。もし要望が多ければ、何らかの策を講じて、今後も継続開催の可能性も無きにしも非ず!? 九州からはじまったテンロクの日は、いつの日か、全国各地に飛び火するような気がしたイベントだった。
