ワンオーナーで60年大事にされたクラウンを展示
2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ:以下N2d)ではステージの向こう正面、メーカー系に並んでカーディーラーであるトヨタモビリティ神奈川(神奈川トヨタ)がブースを出展。トヨタが送り出した「初モノ」のクルマを展示していました。
クラウン以外はノンレストアのオリジナル
トヨタモビリティ神奈川では、1955年式の初代「クラウン」(型式はRS10)や1979年式の初代「センチュリー」(VG35)、エンジン排気量を少し拡大した1967年式の初代後期型「パブリカ」(UP20)、1992年式の「ハイメディック」(HIMEDIC/型式はベースとなったハイエースに倣ってUZH132S)、1962年式のマイクロバス(MICROBUS/型式はベースとなったトラックのダイナに倣ってRK160)の5モデル/5個体を展示。詰めかけた観客から大きな注目を集めていた。
トヨタモビリティ神奈川は神奈川トヨタ自動車が、トヨタカローラ横浜、ネッツトヨタ横浜、ネッツトヨタ湘南の3社を合併して2020年の5月に誕生したビッグディーラーだが、翌2021年に初めてN2dに出展。2025年で5回目となる出展だが、今回は「THE FIRST はじまりに 出逢う」をコンセプトに前記の5台を展示していた。
プロジェクトを統括する特販企画部/ユニバーサルモビリティ部の齋藤 巧部長は、
「ちゃんとレストアしたのはクラウンだけで、それ以外のクルマはきれいに掃除した程度です」
と謙遜していたが、こうしたクルマを5台揃えるだけでも並大抵ではないはずだ。
しかもコンセプトに合わせて、クラウンは日本の自動車産業として初めて製作された本格的な乗用車。センチュリーは国産初のショーファードリブン=お抱えドライバーが運転する大型乗用車、パブリカは国産初の本格的コンパクトカー=大衆車。
コースターの祖先となるトヨペット マイクロバスも展示
さらにハイメディックは1992年に発売された国産初の高規格救急車であり、マイクロバスは1962年に登場したもので車名が「トヨペット マイクロバス」。「コースター」の祖先となるのだが、マイクロバスというのはトヨタの商品名だった。ホンダの商品名である「カブ」(および「スーパーカブ」)が似たようなコンセプトの他社のバイクをも指すようになったのと同様だが、マイクロバスがトヨタの商品名だったことには驚かされた。ともかく、その最初の1台が展示されていた1962年式のマイクロバスで、その先駆けであることは言うまでもない。
その一方で齋藤部長が「ちゃんとレストアした」と紹介してくれた初代クラウンは、1955年式の初期ロットの個体で、1人のオーナーが60年にもわたって大事に乗り続けてきた個体だという。そのオーナーから2015年に寄贈され、1年をかけてレストアを施してトヨタ自動車の展示イベントに出展。当時の豊田章男社長らから、そのレストアの素晴らしさに感嘆の声が上がったという。
それ以来、トヨタモビリティ神奈川では幾度となく巡回展示を行いながらも現役のクルマとして活動中という。じつは一般名称ではなくトヨタの商品名だったというマイクロバスや、国産初の高規格に対処したハイメディックはもちろんだが、この1955年型のクラウンもまさに、歴史的なストーリーを持ったクルマ=ヒストリックカーというわけだ。
