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世界初公開! ホンダが次世代「燃料電池モジュール」を展示。トヨタは「第3世代FCシステム」をお披露目…FCEVの未来とは

ホンダ 次世代燃料電池モジュール モックアップ

トヨタとホンダの2社が次世代の燃料電池スタックを初公開

40の国と地域から約1600社が出展する「第23回 SMART ENERGY WEEK〜スマートエネルギー WEEK〜【春】」が東京ビッグサイトで2025年2月19日(水)〜21日(金)に開催されました。このイベントを構成する展示会のひとつ「H2 & FC EXPO【春】~第23回[国際]水素・燃料電池展~」ではFCV(燃料電池車)を展開してきたトヨタとホンダの2社が次世代の燃料電池スタックをこの場でお披露目することとなりました。

2026年に生産開始予定の燃料電池定置電源のスケールモデルも展示

ホンダは次世代燃料電池(FC)モジュールの仕様、スペックを世界初公開しました。その展示ブースでは2基の燃料電池システムを展示。現在ホンダ「CR-V e:FCEV」に搭載しているFCモジュール(ゼネラルモーターズと共同開発し2024年に搭載している現行モデル)と、次世代のFCモジュールを並べて展示することで比較できるようになっていました。

現行モデルはGMとの共同開発でしたが、次世代となるモデルはホンダが独自開発したモジュールとなります。詳細なスペックとしては、定格出力150kW、現行モデルに対して製造コスト半減、耐久性は2倍以上に向上するようです。

容積出力密度(単位容積あたりから出力できる電気エネルギー)を3倍以上に高めて小型化を実現したことで、搭載レイアウトの自由度が向上するとしています。

さらにブースにはもうひとつ、2026年に生産開始予定の燃料電池定置電源のスケールモデルも展示し、こちらについても仕様およびスペックを世界初公開しました。こちらは、CR-V e:FCEVに搭載されている燃料電池を活用した定置型蓄電システムで、冷却システムや内部レイアウトの設計を最適化することでコンパクトなサイズを実現。

工場や事業所などの大型施設向けに水素由来の電力を供給します。起動から10秒以内に電力の供給を開始する高い応答性を目指すとしており、2026年に生産開始を予定しているようです。

トヨタは第3世代FCシステムをお披露目

「第3世代FCシステム」と名づけられた新型燃料電池システムをこのFCエキスポ開催の5日前に発表していたトヨタは、その実物モデルを一般向けに世界で初めて展示することとなりました。

トヨタは、2014年の「MIRAI」の発売からこれまで30カ国以上の地域に約2万8000台を販売してきており、さらに自動車用としてだけでなく、バスや鉄道、定置式発電機などFCシステムの供給を2019年から開始しておりその数は2700基を超えるとしています。

それらのフィードバックを盛り込んだ「第3世代FCシステム」は、ディーゼルエンジンに並ぶ耐久性でメンテナンスフリーを実現したとしており、さらに燃費性能では航続距離を20%向上。そしてセル設計、製造プロセスの革新で低コスト化を実現したうえで、従来の乗用車への搭載や汎用向け(定置式発電機、鉄道、船舶等)に加え、大型商用車にもラインアップを拡大し、2026年以降に日本や欧州、北米、中国などの市場に投入する予定だということです。

持ち運びできる水素の提案も

そんなトヨタブースでは他にも水素を活用する新たな展示がなされていました。そのキーとなるのがポータブル水素カートリッジです。持ち運びのできる水素ユニットとして580mm×Φ200mm、重量8.5kg、容量3.3kWhという小型タンクを展示していました。

その水素カートリッジの使用例としてアイシンでは可搬型FC発電機を展示。第2世代FCセルでの発電で定格出力2kWの持ち運び型の電源ユニットです。

そしてもうひとつ面白いのはリンナイが出品していた「水素100%燃焼コンロ」です。その名の通り水素を燃やす方向での利用として、いわゆるカセットガスの巨大版ともいうべきコンロとなっていました。想定としては業務用の調理器具としての開発のようですが、もっとコンパクトに使いやすくなれば、アウトドアでの使用も面白いのかもしれませんね。

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