ロールス・ロイスが魅せる森の情景
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、2025年のロンドン クラフト ウィークにおいて現代的なビスポーククラフトを披露しました。同社の職人たちは、ブリテン諸島の動植物から着想を得て、魅惑的な森の情景を創作。このアートワークは、同年5月12日〜18日までのイベント期間中に展示されました。
昼・夕方・夜の森の情景を描いた三連作
英国グッドウッドのロールス・ロイス本社に所属する職人たちは、2025年5月12日〜18日に開催されたロンドン・クラフト・ウィーク11周年を祝して、ブリテン諸島に息づく豊かで驚嘆すべき動植物から着想を得た精緻なアートワークを創作した。
この魅惑的な森の情景は、インテリア、エクステリア、インテリアの各トリムセンターの職人たちによる共同制作であり、昼・夕方・夜という3つの時間帯における自然の美を3連作(トリプティク)。各情景にはカワセミが描かれ、その時間の移ろいに応じた技法で、その特性を巧みに表現している。
100時間をかけて再現された湖畔の穏やかな情景
エクステリア・サーフェスセンターの職人たちは、穏やかな湖畔の情景を再現するため、100時間以上を費やした。湖に生息する野生動物や植物、無脊椎動物が登場し、水面を優雅に滑る2羽の白鳥と、その上空を舞うカワセミは、フリーハンドで描かれている。
湖を取り囲む野生のアシは、アルミニウムをカットして、アイスド・オレンジメタリックおよびサントロペ色に塗装された。エアブラシ、ウェットベースコートの加工、斑点描写など、複数の技法が用いられ、朝露のような演出をするクリアコートにより、極めて写実的な仕上がりとなっている。
立体刺繍で表現された生命力あふれる森の植物たち
インテリア・トリムセンターの職人たちは、400時間以上をかけて、夕暮れ時の森を再現。多様な野生動物たちは、レザー上に施されたさまざまな技法によって表現されている。デイジーに似た繊細な花はシヴァロ・グレーのレザー上に描かれ、より丈夫な植物種は革新的な立体刺繍技法により作り出された。この技法では、糸を幾重にも重ねることで自立構造を形成している。
さらに、森に生息する動物たちもモチーフとして取り入れられている。長い耳と強靭な後脚を持つ優美な野ウサギ、美しい尾を持つリスなどが、レザーに手描きされている。とくにリスの尾の質感とボリューム感を再現するため、「タフティング」という技法が使用され、異素材でパイル構造を形成している。
寄木細工で表現されたキツネの静かな足取り
インテリア・サーフェスセンターの専門職人たちは、500時間以上をかけて、美しく組み合わされたベニヤの形状を切り出し、圧着し、組み立てることで夜の森を表現した。
この3部作の最後の部分では、キツネが静かに森へ足を踏み入れる様子が、精緻な寄木細工により描かれている。ロールス・ロイスにとって初の試みとして、ベニヤ材に彩色が施されており、キツネの赤褐色の毛並みと白い尾先を見事に表現している。色彩は木目を際立たせるよう細心の注意を払って塗布された。
この唯一無二のトリプティクは、森における3つの時間帯の生命の本質を捉えており、ビスポーク(特注)におけるロールス・ロイスの熟練度を示す証である。
AMWノミカタ
ロンドン クラフト ウィークに際して、ロールス・ロイスに所属する腕利きのペイント職人、ウッド職人、レザー職人がそれぞれ培った技を駆使したビスポーククラフトを制作したというニュースである。
本文にも書かれているようにロールス・ロイスのビスポークの技術力の高さを示す作品となっている。複雑な立体刺繍技法やリスの尾の質感とボリューム感を再現するための「タフティング」という技法が採用されたほか、初の試みとして彩色されたウッドパネルも使用された。
職人の技術の幅の広がりは、すなわち顧客の思い描くビスポークオーダーの実現可能性を広げる。ロールス・ロイスのビスポークに掛ける飽くなき探究心は止まらない。
