ベース車両はボクスターのとても良くできたレプリカ
レプリカ車とは名車のモチーフに似せたデザインに仕立てたクルマのことを意味します。今回紹介するモデルは、いっぷう変わったランボルギーニ「カウンタック(?)」をピックアップ。そのオーナーさんから話しを聞いてみました。
日本で製作されたカウンタック仕様
ランボルギーニ カウンタックというクルマに造詣の深い方であれば、写真のシルバーグレーのレプリカ車であるといっても、たぶん驚くことはないかもしれない。あるいは、そのできの良さに感心させられることもあるだろう。
しかし、ベース車両がポルシェ「ボクスター(986系)」であると聞けば、きっとかなり驚かれるに違いない。
2025年3月23日、愛知県知多半島の内海海岸にて開催された第1回「チッタ ミラマーレ」。そこで見かけた、エントラントでありながら、同時に会場スタッフとしても献身的な活躍を見せていたオーナーの伴さんは、SNS界隈では「BanBan:カウンタック普段使いニキ」あるいは「ランボルギーニ カウンタックのレプリカ(ポルシェ 986 ボクスターベース)が消去法で足車になってるニキ」という異名とともに知られる人物である。
それまでトヨタ「MR2(SW20系)」やフォルクスワーゲン「タイプ2 キャンパー」などを所有してきた彼は、今から7年前に、関東某所にてカウンタックのレプリカを製作する会社の存在を知る。興味本位ながらコンタクトをとってみると、それまではトヨタ「MR-S」ベースの車両を作ってきたというその工房が、新たに986ボクスターをベースとしたカウンタック レプリカに挑むと聞かされたという。
それは顧客の希望にしたがって、仕様やカラースキームを選択できるビスポーク形式のフルオーダーとのこと。そこで伴さんは一念発起し、自分好みのカウンタックを作ってもらおうと決意した。
総計5台が製作されたうちの第4号車
この会社では「LP400」仕様から「ウルフ カウンタック」仕様など、かつてオリジナルのカウンタックに存在した各スペックから選択可能で、伴さんが選んだのは「LP5000Sクアトロヴァルヴォーレ」に近い仕様。またボディカラーは濃い目のシルバーメタリックで、グリーンの革内装と組み合わせてもらうことにした。
このレプリカは、ポルシェ986ボクスターのモノコックに、鋼管製のサブフレームを組みわせたシャシー、同じくボクスター用のサスペンションやパワートレーンなどを組み込んだもの。いっぽう、ボディパネルについての詳報は聞いていないそうだが、おそらくはニュージーランドで同じくカウンタック レプリカを製作している「カウンテス(Countess)」社のFRPボディキットを流用した可能性が高い。
総計5台が製作されたうちの第4号車である伴さんの愛車は、完成までに5年ものときを要し、さらに車検取得までにもう1年が経過。大阪で開催された「レトロカー万博2024」にてようやくカーショーデビューしたのは、2024年末のことであった。
じつは2024年の「レトロカー万博」でもこの個体と遭遇しているのだが、オーナーに会うチャンスはなく、内部までは見られなかった。「チッタ ミラマーレ」でまじまじと見ると、いかにも日本製らしい仕上げの丁寧さや、インテリアまでカウンタックの様式で作り込まれていることが確認できた。
そして、撮影ポイントまで伴さんの運転(後退・前進ともにサイドシルに座るスタイルで!)会場内を自走していただいたのだが、その時に聞こえてくるのは明らかにボクスターのボクサー6気筒サウンド。でもカウンタックのスタイリングには、不思議と良く似合っているようにも感じられたのだ。
インタビューの締めくくりとして、今後の目標、あるいはこれから乗ってみたいクルマなどについて伺ったところ、次のような答えが返ってきた。
「このカウンタック レプリカでキャンピントレーラーを引っ張りたい!」
「カウンタック普段使いニキ」の勇気と好奇心は、どうやらホンモノのようである。
