歴史ある街並みとクルマの美しい調和を楽しむことができた
今や首都圏でも有数の人気観光地となった埼玉・川越市の旧市街。「小江戸」と呼ばれるレトロ情緒豊かな街並みは、日本人観光客のみならず海外から来日したツーリストたちにも絶大な人気を博しているようです。2025年5月11日(日曜日)に初開催された、「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」は、「クラシックカー×川越旧市街」のコラボレーションイベントでした。
関東有数の人気観光スポットで、初のクラシックカーイベントを開催
川越の歴史ある町並みとそれを彩る和装をはじめとした川越独自の風俗。また特色豊かな近隣商店街と文化的・歴史的に価値ある自動車を調和させ、川越の新しい風景を創造できるイベントを目指して、地元を中核とした有志によってプロジェクトがスタート。そして初開催されたのが「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」だ。1975年以前に製造されたクラシックカーや旧車を展示し、歴史ある街並みとクルマの美しい調和を楽しむことを目的としている。
このイベントは、その名匠のとおり小江戸川越の旧市街各所が、1日限りの舞台となる。車両展示スペースを「エリアA:蓮馨寺」、「エリアB:大正浪漫夢通り(連雀町繁栄会通り)」、「エリアC:コエトコ(立門前通り)」、「エリアD:りそなコエドテラス」、「エリアE:川越城本丸御殿」、「エリアF:川越市立博物館」からなる6つに分割。「エリアA」には、国産クラシックと小さな輸入車。「エリアB」にはロータスやアルファ ロメオなどの欧州製スポーツカーたち。「エリアC」には、軽自動車を中心とする「はたらくクルマ」に区分けられた。
また「エリアD」は、今回の目玉として本田技研工業から出展された「マクラーレン ホンダMP4/4(1.5LターボF1時代最終型)」を筆頭とするホンダ車の一団。「エリアE」には第二次世界大戦前のモデルや1970年代のスーパーカーを含む、ヨーロッパの高級クラシックカーたち。そして「エリアF」には雄大なアメリカ車や空冷フォルクスワーゲンたちなど、総計60台以上のクルマたちがそれぞれのステージに展示されることになったのだ。
これまでのカーイベントにはなかった美しい情景が展開される
かくして迎えたイベント当日、川越市長の森田初恵氏を筆頭とする歴々によるテープカットでスタートするやいなや、各エリアは大にぎわい。またデフォルトの展示にくわえて、エリアAでは自動車エンスー漫画の草分け「GTロマン」でおなじみの人気漫画家、西風氏によるトークイベント。エリアEでは、迫力たっぷりの和太鼓ライブ演奏などの催しも行われた。
くわえて、もとより大人気観光スポットである小江戸川越では、このイベント目当てのギャラリーにおびただしい一般観光客が入り混じって、地方の展示型イベントではめったに見ないほどの大盛況ぶりを見せつけられたのだ。
ちなみに今回の筆者は、英国車ブリストルのディーラーである「ブリストル研究所」の主任研究員という立場で、1961年式「ブリストル406」とともにひとりのエントラントとして参加。初開催のイベントを、個人的にも存分に楽しむことができた。
ギャラリー側からすれば、これほど魅力的なステージで好きなクラシックカーを間近で見られる機会はめったになく、いずれの会場も入場は無料。しかも「映える」写真を撮るネタにも事欠かない。
いっぽうエントラントからしても、この美しい景観のなかに置かれた愛車をカーマニアのみならず、人気観光地「小江戸川越」を訪れた観光客の方々にも披露してみたい。そんな双方の想いをかなえることのできるこの「まちかどモーターギャラリー」は、小江戸川越の美しいロケーションを存分に生かした、展示型のものとしては稀有にして、じつに好ましいイベントと思われたのである。
今回は好天にも恵まれ、聞けば本丸御殿や市立博物館エリアの人出は過去最高を記録するという大成功のうちに終了となったが、まだまだ始まったばかりのイベントで、現時点においては2回目以降の開催については未定とのこと。
ただ、主催者側の意欲は充分のようなので、今後の発展にも期待したいところである。
