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WEC第3戦スパ・フランコルシャンは秒刻みの取材スケジュール! 日本ではなかなか経験できない驚きのルールとは【みどり独乙通信】

セッションのない設営の日の日の夕方には、チームは何度もピットストップの練習をしています

モータースポーツ取材の裏側とは

ドイツ在住のモータースポーツジャーナリスト・池ノ内みどりさんは、2025年のWEC(FIA世界耐久選手権)取材のためベルギーへ滞在中。ヨーロッパならではのトイレ事情やクルマのアイドリング禁止といった、日本ではなかなか経験できない驚きのルールに触れることも。ベルギー・スパでのハードな取材現場とともに、海外ドライブで気をつけたいポイントをお伝えします。

ワインの産地ならではの風景を楽しむ

新緑が眩しく、暑くもなく心地よい季節となってきました。WEC(FIA世界耐久選手権)の取材で、2025年初めて隣国ベルギーへやってきました。アウトバーンの途中でトリアという街の近くを通るのですが、そこでは見事な景色を眺めることができます。いつも気になりつつも、パーキングの入り口の表示が手前過ぎるせいか毎回通り過ぎてしまっていたのです。これまでは素通りしてばかりでしたが、今回はようやく車を止めることができました。というのも、今回は工事区間で60km/hか80km/h制限になっていたので、入り口を見落とさずに入ることができました。

木々の新芽が伸びていて、絶景のすべてが見渡せたわけではありませんが、モーゼルワインの産地のブドウ畑とモーゼル川が一面に広がり、とても清々しい気分です。きっと晩秋の紅葉の季節もさぞかし美しいでしょうね。

エンジンのかけっぱなしはドイツではNG

フードコートなどがなく、ただトイレと休憩するベンチがあるだけのパーキングもヨーロッパの高速道路では結構あります。何となく寂しいといいますか、日中でもなんだか怖いという感じの雰囲気の所もあります。照明はあるものの夜間はとても暗く、怖いので絶対に立ち寄らないようにしています。このような場所のトイレは男女兼用が多いのもちょっと困りもの。最近は随分とキレイになったとはいえ、入るのに勇気が必要な所もあるので、有料でも極力サービスエリアのトイレを利用しています。

このような場所でたまに凶悪事件(強盗や強盗殺人)が起きており、ニュースで読んで驚くことがあります。ご旅行で海外をドライブなさる際には、みなさま本当にお気をつけくださいね。

また、日本のようにエンジンをかけっぱなしでクルマを離れることはご法度です(日本のアイドリング禁止は法律ではなく条例ですね)。そもそもドイツでは市街地、住宅地、郊外のどこでもアイドリングは厳禁で罰金の対象にもなります。ドイツで運転しはじめたころに、当時の愛車日産「マイクラ」(日本ではマーチ)をアイドリングのままにして家の前に停めて荷物を取りに入った際に、ご近所さんにエンジン音がうるさいとこっぴどく怒鳴られたことがあり、教訓にしています。

秒刻みの取材スケジュール

そんなこんなでトリアの美しい景色を眺めたあと、ベルギーのスパ・フランコルシャンに到着。この日からいよいよ本格的な取材のスタートです。フリープラクティスや予選日は、セッションの合間にメディア向けの囲み取材や記者会見が立て続けに行われます。数多くの自動車メーカーが参戦しているWECだけに、取材スケジュールが重なったり、ほとんど間をおかずに続いたりすることも多く、パドック内をダッシュで移動して息を切らしながら次の取材先へ向かうこともしばしば。

セッションがはじまると、コースサイドやピットレーンに写真を撮りに行くため、脚がパンパンになります。とくにスパは高低差が激しく、メディアセンターはかなり山の上にあるので、まるで登山のような感覚です。いつも愛車には何足かスニーカーの替えを積んでいるのですが、この日に積んできた2足は見た目こそまだ綺麗でも、酷使していたせいか中敷きはボロボロ。靴自体もすっかりくたびれていたようで、余計に負荷がかかって脚の疲労が辛かったです。同じく常備している湿布を全身に貼って、なんとか眠れました。

イベントコーナーやパドック、コースサイドが遠く長いスパでは、ファンの方々はもっと多く歩かれていると思います。数多くの方が折り畳み椅子を持ち、途中で休憩されているのもよく理解できます。

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