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マラソンからラリーレイドへ転身!ステップアップを続ける廣橋選手の情熱

10月ころまでにJAF公認競技10戦完走に向けて1戦1戦確実に戦っていくことになる

新人ドライバー廣橋 選手の挑戦

2025年5月25日(日)、JAF中部・近畿ラリー選手権 第1戦「豊田しもやまラリー」が愛知県豊田市で開催されました。大会史上最多となる75台がエントリーし、スバル「インプレッサ」や三菱「ランサーエボリューション」、トヨタ「GRヤリス」や「86」「ヴィッツ」など、さまざまなマシンが集結。なかにはトヨタ「セリカ」やダイハツ「コペン」、さらにはローバー「ミニ」といった意外な顔ぶれも並び、バラエティに富んだ大会となりました。そんななか、近年ではなかなか目にすることの少なくなったダイハツ「ストーリア」の姉妹車トヨタ「デュエット」で参戦した、ひとりの“新人”がいました。それが廣橋 秀選手です。

モンゴルの砂漠からラリーの世界へ

廣橋選手がラリーに興味を持ったのは、6日間で250kmを走破する過酷な「グレートモンゴリア・ゴビデザートマラソン」に出場していた2019年のことでした。SSERが主催する「ラリーモンゴリア」というラリーレイド競技と出会ったのです。

「ドライブも好きだし、今度は自分の脚ではなくクルマでモンゴルを走ってみたい」

と感じたことが、ラリーを志すきっかけだったといいます。

その後、スズキ「ジムニー」を入手し、コロナ禍を経て2023年に念願の「ラリーモンゴリア」へ初参戦。以降、2024年・2025年と継続して参戦予定で、他にも「アルタイアドベンチャー2023」や、国内のラリーレイド「シバレルラリー(北海道周回ラリー)」にも3年連続で出場するなど経験を着実に積んできました。

次なる夢は“アフリカの砂漠”

モンゴルを駆け抜けた廣橋選手の次なる目標は「アフリカの砂漠を走ること」。その実現のため、ターゲットとして定めたのが「アフリカエコレース2026(AER)」です。2026年1月25日〜2月7日に開催されるこの大会への出場に向けて、準備を進めています。

AER出場には「国際C-Rライセンス」の取得が必須。その取得条件には、JAF国内Aライセンスの取得と、JAF公認競技10戦の完走が必要です。つまり、国内ラリーでの実績が欠かせないのです。

京都の名門「オサムファクトリー」で武者修行

国際ライセンス取得に向け、廣橋選手が相談に訪れたのが、京都にあるJAF公認クラブ「オサムファクトリー」。ここは、ラリードライバー・福永修選手が主宰するラリー界の名門ショップです。

今シーズンのスタート直前に入手した中古車両がトヨタ・デュエットです。廣橋選手はこのクルマでラリーだけでなく、ジムカーナやヒルクライムの練習会にも積極的に参加し、地道に経験値を重ねています。

豊田しもやまラリーで見せた“粘り”の完走

ラリーデビュー戦は、2025年4月26日に開催されたJAF中四国ラリー選手権 第1戦「MACラリーin久万高原」。FG-3クラス8位で完走を果たしました(コ・ドライバーはオサムファクトリーの山口大樹選手)。

そして「豊田しもやまラリー」には、コ・ドライバーには、2025年の全日本ラリー選手権JN-2クラスに参戦中の塙 将司選手を迎えるという豪華な布陣での出場です。筋トレが趣味の全日本ラリードライバーの塙選手と並ぶと廣橋選手がいかに華奢かよくわかります。

大会前夜の豪雨により、コースコンディションは一変。全75台のうち15台がリタイアするという過酷な展開となりました。そんな中、廣橋選手と塙選手のデュエットは「完走優先」を合言葉に、確実なペースで走行を続け、見事ゴールすることができました。

目指すは「全戦完走」、そしてアフリカの地へ

今後、廣橋選手は中部・近畿地区のラリーシリーズをすべて転戦し、全戦完走を目指していく予定です。すでに「いなべ東近江ラリー2025」を完走(DE-5クラス19位/総合48位)し、そして「やましろのくにRally2025」への参戦も予定しており、順調にステップアップを重ねています。

このまま経験を積んでいけば、年明けにはアフリカの大地を走るその姿が見られるかもしれません。

「元マラソンランナーが、クルマで砂漠を走る」

一見突飛にも見える廣橋選手の挑戦ですが、その背景には確かな思いと、着実な努力があります。モータースポーツが好きな人、冒険がしたい人、新しい何かに挑戦したい人。ラリーというフィールドは、そんなすべての人に開かれています。廣橋選手のような“異色の挑戦者”がいるからこそ、ラリーの魅力はますます深く、多様になっていくのかもしれません。

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