ル・マン24時間レースは決勝前からコンテンツが盛りたくさん
ドイツ在住でモータースポーツの取材を精力的に行う池ノ内みどりさん。2025年もヨーロッパ3大耐久レースと言われる、伝統のル・マン24時間レースを取材しています。決勝前にもル・マンミュージアムの特別展やタイヤ交換の早さを競うピットストップチャレンジまで、見どころは目白押し。現地からリアルにレポートします。
マクラーレン特別展も! ル・マンミュージアムへ
FIA 世界耐久選手権(WEC)2025 第4戦 ル・マン24時間レースの決勝を迎えるまでには多くの行事が毎日行われるのですが、この日はピットウォークとドライバーのサイン会、ピットストップチャレンジや撮影会などが行われました。
ル・マン24時間レースのチケットにはミュージアムの入場券も含まれているので、空いているうちに行ってみました。常設の展示のほかに毎年特別展が開催されるのですが、2025年はマクラーレンで、入り口正面からそのデザイン性の高いパネルに目が向いてしまいます。
大きなミュージアムではありませんが、ル・マン24時間レースの100年以上の歴史をざっと観ることができるのです。
圧巻なのは、ル・マン24時間レースを走った歴代のマシンがミニカーで展示されていること。一体何台並んでいるのか数えきれませんし、集めるのも大変なご尽力だったと思います。そして、毎年増えていきます。
日本の誇るマツダ「787B」や日産の「NISMO GT-R LM」、1998年と1999年にル・マン24時間レースを戦ったトヨタ「GT-One TS020」も展示されています。2025年のル・マン24時間レースでは、TOYOTA GAZOO Racingの小林可夢偉選手らが駆る7号車が、このGT-One TS020のデザインをオマージュしてスタートグリッドに並びます。
オフィシャルショップも併設されていて、ショップだけの入場もできるのでル・マンに来ると必ず立ち寄っています。2025年はキャンプやお弁当、お出かけの際のマイカトラリーが新商品として登場していました。旅が多い私には、欲しいアイテムのひとつですね。
タイヤ交換のスピードを競うピットストップチャレンジ
ミュージアムやショップをウロウロしてから、ピットロードで開催されているピットストップチャレンジを見学しました。多くのファンの方々が見学するなか、どのチームが一番早くタイヤ交換をできるかを競うものです。
F1のようにタイヤ1本に複数のメカニックが携わる超高速ピットストップとは異なり、WEC(FIA世界耐久選手権)やル・マン24時間レースでは、前輪・後輪に2名ずつで作業を行います。10秒以内を目指して、ピットストップチャレンジに挑みます。
各クラスごとで優勝したチームとタイムは、ハイパーカークラスでは93号車のプジョー「9X8」が8.830秒、LMP2クラスは183号車のオレカ「07・ギブソン」(AFコルセ)が10.440秒、LM GT3クラスが85号車のポルシェ「911 GT3」で9.530秒でした。
レースを支えるメカニックたちを称えて、もちろんピットストップチャレンジもル・マン24時間レースと同じ表彰台で表彰式とシャンパンシャワーが行われるので、みなさんとても気合が入るイベントでもあります。
おなじみの集合写真の撮影は毎年2時間以上の耐久戦
ピットストップチャレンジの後には、みなさんがおそらくどこかで目にされたことがあるでしょう、ル・マン24時間レースを象徴する全車両の集合写真の撮影が行われますが、毎年のことながら段取りが……(苦笑)。じつに撮影ができるようになるまで2時間以上もかかります。そして、段々と日が傾き始めて、最後は陰に入ってしまうのです。
プレス写真はクレーン車の上から1人のオフィシャルフォトグラファーが撮影するのですが、それ以外は全員地上からなので、背が低い人は絶対に最後尾まで映る写真は撮れないのが残念です。グダグダな段取りを「もうちょっとササッと進めてくれたら、早く帰れるのになぁ〜」と何度もいろんな人たちと話しながら、2時間待つのでした。
