安全な場所で雨雲の通過を待つ
ここ数年の猛暑で降水量が少なく渇水による被害がある一方で、2025年は台風が発生しやすい夏と言われています。さらに局地的ゲリラ豪雨が各地で発生しやすくなり、多くの被害が予想されます。ここではゲリラ豪雨を1時間に40mm〜50mm以上の降水量と仮定し、事故を起こさず無事に乗り切る方法を考えてみます。
どしゃ降りの降水量は20〜30ミリ
短時間かつ局地的に激しい雨が降り注ぐゲリラ豪雨。2000年代の半ばから頻発するようになった現象で、2023年には全国で9.3万回を超えたといわれている。屋内にいれば外に出ずやり過ごすの一択だが、運転中ならどう行動するのが正解なのだろうか。
気象庁は1時間に20〜30mmの雨が「どしゃ降り」で、ワイパーを速く動かしても見づらいと解説している。同じく30〜50mmは「激しい雨」でハイドロプレーニング現象が起きやすく、50〜80mmの「非常に激しい雨」はクルマを運転すること自体が危険だ。
では、走行中にゲリラ豪雨に遭遇してしまった場合はどうするのがいいのだろうか。もっとも確実なのは一時的にクルマを停めてしまうこと。ゲリラ豪雨を生み出す積乱雲の寿命は長くても1時間といわれ、数時間にわたって激しい雨が降り続くことはほとんどあり得ない。前述したとおりゲリラ豪雨ではワイパーも役に立たず、対向車や歩行者が見えにくく事故の可能性が高くなる。水が溜まりやすい場所などを避けるのは大前提として、無理に先を急ぐより一時停止して待機するのが賢明だ。
安全にクルマを停められる場所が近くになく、走り続けるクルマが多いときは徹底したスロー走行。スピードを落とせばハイドロプレーニング現象は起きにくく、ガードレールなどにぶつけたとしてもダメージは抑えられる。なおスロー走行のときはヘッドライトやフォグランプ、リヤフォグランプを点灯して存在をアピールしつつ、前車に何か起きても余裕を持って回避できるよう車間距離を長めに取ることも忘れずに。
冠水した道路に突っ込むのは危険!
水が溜まりやすいアンダーパスや高架の下を避け、川に近い道路からできるだけ離れるのも鉄則だ。エンジンに水が入れば(車種によって吸気口の位置や高さが異なる)クルマが動かなくなる可能性が高く、想像できるとおり修理代はかなりの高額になってしまう。同様に山肌が近いワインディングからも早急に離れたほうがいい。ゲリラ豪雨で地盤がゆるみ土砂崩れが起き、倒木や落石で道路が遮断されるかもしれない。
またクルマが流されるほど激しい水量や水流になれば、コントロール不能どころか生命すら危険にさらされる。楽観的に「これくらいならギリギリ行けるだろう」と考え、冠水した道路に突っ込むなんてのは自殺行為でしかない。ちなみに冠水路をどうしても通過しなければならないときは、早く抜けたい気持ちを抑えて低速で走行したほうがエンジンが水を吸って停止してしまう可能性は低くなる。さらにゲリラ豪雨は強い風をともなうことも多いため、トンネルを出た瞬間にハンドルを取られる危険性もある。出口が近付いたら後続車に配慮しながら減速し、ハンドルを確実に保持して横殴りの風に備えよう。
最後はゲリラ豪雨の情報を早めにキャッチすること。文字どおり「ゲリラ」的に発生するゲリラ豪雨の正確な予測は難しいとされるが、最近ではさまざまな前兆から時間や場所をかなりの精度で予測できるようになってきた。
スマホの気象アプリを活用することは当然として、豪雨地帯を表示するカーナビも存在する。また真っ黒な積乱雲が近付いてきたり雷が鳴り始めたり、冷たい風が吹くといった気象の変化も参考にできる。ゲリラ豪雨は9月の上旬までといわれるので、しばらく油断はできない。運転している最中に遭遇したときの対処法を頭に入れつつ、発生する前に予知やタイヤの残量などにも気を配りたい。
