ル・マン24時間レース決勝日!長い取材の幕が上がる
ドイツ在住でモータースポーツの取材を精力的に行う池ノ内みどりさん。2025年もヨーロッパ3大耐久レースと言われる、伝統のル・マン24時間レースを取材しています。決勝前から多彩なイベントで盛り上がるル・マン24時間レースですが、ついに決勝日に。長い1日の始まりからお伝えします。
渋滞を避けて早めのメディアセンター入り
毎日、なにかとボンジュール!とご挨拶をすることが多いフランス。気分はすっかりボンジュール名人です。さて、数多くのイベントを経て、いよいよFIA 世界耐久選手権(WEC)2025 第4戦 ル・マン24時間レースの決勝日を迎えました。スタートは16時からですが、酷い渋滞などでなかなかサーキットに辿り着かないことを予想して10時前にはメディアセンター入りをしました。
前日の過酷な暑さのドライバーパレードの後に夕立が降ってくれたおかげで、決勝日は一気に気温が下がって涼しく快適になりました。私はこの長い決勝日に備え、朝から宿の台所でお弁当を作って持参しました。フランスでも「お弁当」という日本語は定着しているのか、私がキッチンで作るお弁当を見て宿のオーナーさんから「Bento!」と声を掛けていただきました。
ル・マン24時間レースのメディアセンターにはコーヒーとお水は豊富に用意されていますが、食べ物の提供は一切ありません。そのため各自で持参するか、会場の値段が高いレストランやショップで食べるかの選択になります。メディアセンターにはサンドイッチやお菓子、ジュースの自動販売機がありますが、こちらもかなり割高ですし、すぐに売り切れます。フランス人のメディア関係者で、毎日新鮮なバゲットをバターなどと一緒に持ってくる方がいましたが、とても良いアイデアですよね。
人混みを避けて“おにぎり”休憩タイム
早くも会場では13時過ぎにはスタートグリッドにレーシングカーが並べる準備が始まります。VIPゲストの方やチーム関係者など、多くの方々がグリッドウォークに訪れます。私が存じ上げない方もいますが、有名な俳優さんやセレブリティの方々もゲストとしていらっしゃるようです。私の普段の仕事着は面倒くさいのでポロシャツとデニムを自分のユニフォーム化しているのですが、汗だくで駆け回る私とは真逆に、スタートグリッドには美しく着飾った優雅で素敵な方をたくさんお見受けしました。
人が多すぎてなかなかレーシングカーを見るのも至難の業なので、そこそこで引き上げてスタートシーンを撮る場所へ行って持参したおにぎりを食べました。日本人のフォトグラファーの大先輩らが隣にいらしたのですが、「海苔はないの?」と。じつはこの春に日本からミュンヘンへ旅行でいらした知人がル・マン24時間レースのお弁当用に日本のお米と海苔をたくさん持ってきてくださったのですが、あろうことかドイツの自宅にその貴重な海苔を忘れてきてしまったのでした。
いよいよスタート! ファンと生まれる熱い一体感
さて、ル・マン24時間レースのスタートといえば、フランス軍の飛行機がフランス国旗であるトリコロール色の飛行機雲を大空に描くのが恒例です。てっきりそのつもりでいたのですが、轟音が少ないなと思ったら2機しか飛んでいません。毎年結構な数の飛行機が飛ぶのでちょっと拍子抜け。それもトリコロールの飛行機雲はなし? と思ったら、ピット上の屋上にトリコロールの煙が突如上がり、さらに拍子抜けしてしまいました。飛行機の登場と一緒にしてくれればよいものの、なんだか不完全燃焼で写真もどっちつかずの失敗です(苦笑)。
スタート時は多くのフォトグラファーがスタートグリッドの反対側から撮影しているので別の場所へ行こうと毎年思うのですが、2025年も同じような場所にいました。来年こそは……。
待ちに待ったスタート。ハイパーカークラスのポールポジションのキャディラックに始まり、LMP2クラス、そしてLM GT3クラスが順にオフィシャルカーに続いてフォーメーションラップを経て、大歓声の下で一気に加速する瞬間がなんともいえません。この鳥肌が立つスタートの瞬間を大勢のファンのみなさんと一緒に応援したいので、毎年同じような写真になってしまうものの、この場所を選んでしまうのかもしれません。
