スタイリッシュで先進的!あの頃を彩ったプレリュードの魅力
24年ぶりにホンダ「プレリュード」が復活したことで、歴代モデルが再び注目を集めています。1978年の初代から始まり、独自のデザインや革新的なメカニズムで時代ごとに存在感を示してきたプレリュード。電動サンルーフや4WS、VTECなど、多彩な先進装備で常にクルマ好きの心をつかんできました。ここでは一貫して2ドアスタイルを守り続けてきた歴代モデルをカタログで振り返り、その進化の軌跡を辿ります。
初代(1978年11月登場)
当時のアコード(初代)をベースに仕立てられた「スポーティタイプの2ドア・フィックストクーペ」(当時のニュースリリースより)が、この初代プレリュードだ。車名にはもちろん「前奏曲」「先導する」という意味が込められている。前席優先の2+2としたパーソナルクーペとして登場し、低くキャビンの短いノッチバックスタイルが印象的だった。
装備面では、日本車初となる電動式サンルーフ(後にガラスルーフになる)を備えたほか、スピードメーターとタコメーターが見かけ上同軸に配置された「集中ターゲットメーター」などがセールスポイントだった。搭載エンジンは振動を抑えた設計の1750cc・CVCC。サスペンションはアコード同様の4輪ストラットで、そのハンドリングの良さは、当時、海外メディアでも高く評価された。
2代目(1982年11月登場)
注目すべきものが満載されながらも、やや地味な印象だった初代から一転、世間から一躍脚光を浴びる存在となったのがこの2代目だ。ラヴェルのバレエ曲「ボレロ」を使ったCMも話題になった。初代に対して全長が205mm、全幅が55mm、ホイールベースが130mm拡大し、その上でリトラクタブルヘッドライトを採用したスタイリッシュなボディに仕上げられた。この世代の途中からドアミラーが採用(認可)されたことも懐かしいポイントだ。
メカニズムでは、フロントにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したほか、新開発の1829cc・CVデュアルキャブ・12バルブエンジンを搭載。日本初の4輪アンチロックブレーキ(4W A.L.B.)も採用された。後にB20A型・2L DOHCエンジンを搭載した「Si」も登場している。
3代目(1987年4月登場)
大成功を収めた2代目の後を受けて登場したのがこの3代目だ。スタイルは一見すると2代目のマイナーチェンジかと思えるほどだったが、それは成功作だった2代目の美学を大切にしたからだろう。とはいえ、リトラクタブルヘッドライトを踏襲したフロントまわりは「ミッドシップのフェラーリよりも低い」と表現されるほど低く、2代目にはあった左右ライト間のガーニッシュをなくし、すっきりとしたデザインになった。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンだった。
ホイールベースは一気に115mm伸ばされ2565mmに。そのかわり、同位相/逆位相を使い分けるリアステアリングギアボックス採用の4WS(4輪操舵)が設定された。エンジンは全車2Lとなり、SOHC(110ps/15.5kgm)とDOHC・PGM-FI仕様(145ps/17.8kgm)が用意された。
4代目(1991年9月登場)
3代目から打って変わって、ボリューム感のあるスタイルに生まれ変わったのがこの4代目だ。ボディサイズは全長4440mm×全幅1765mm×全高1290mmと、一気に3ナンバーサイズになった(ホイールベースは15mm短縮され2550mmに)。精悍な顔つきと「ハンティング・ワイルド・キャット」と表現されたスタイリングが特徴。初代から続くサンルーフはアウタースライド式を採用した。
室内はバイザーレス・グラフィックメーターを採用。珍しいブルーグリーンの内装色も設定された。
エンジンは2.2Lの設定で、DOHC VTEC(200ps/22.3kgm)とDOHC 16バルブ(160ps/20.5kgm)が用意された。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンとし、ECUからの電気信号だけで作動するハイパー4WSが搭載された。
5代目(1996年11月登場)
再び先代から打って変わり、今度は光と影のコントラストで形を表現した、シンプルでプレーンな外観スタイルを採用。上下にロービームとハイビームを置く縦長のヘッドランプが特徴だ。4代目に対して全長は80mm、全幅も15mm短縮された。
インテリアもインパネなどがオーソドックスなデザインに戻され、赤を用いた2トーンの内装も設定。ナビゲーションシステム(ジャイロセンサーによる自立航法とGPSのハイブリッド)も用意された。
エンジンは2.2Lの自然吸気(NA)を設定。トップモデルの「SiR Type S」には、リッター100psを誇る専用のDOHC VTECが搭載された。AT車全車にはシーケンシャルスポーツシフトの「Sマチック」が備えられた。SiR Type SとSiRにはフロントストラットタワーバーが装着された。
新型プレリュードの登場は、昭和から平成にかけてクルマ文化を彩ったモデルの記憶を呼び覚ました。最新モデルをきっかけに、往年のオーナーや当時憧れていた世代が再び盛り上がることは間違いないだろう。
