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普段は営業で使っているゼロクラウンでも参加できるデイラリー!改造不要で参加費用も激安

エントリー車両も多種多様だ

愛猫ミミとのオール女子クルーやラリー経験者などユニークな参加者

公道を舞台にしたモータースポーツ「ラリー」。そのなかで“普段使いのクルマで誰でも気軽に参加できる”のが「デイラリー」です。特別な改造も必要なく、参加することができるこの競技は、まさに草の根モータースポーツの代表格。2025年7月20日には、福島県鮫川村で関東デイラリーシリーズ第3戦「MSCCラリー in 鮫川」が開催され、全国から多彩なクルーが集結しました。学生や女性ドライバー、さらには愛猫と参戦するチームまで、笑顔あふれるデイラリーの魅力を紹介します。

参加費1000万円のWRCに対しデイラリーは脱帽級にリーズナブル

関東デイラリーシリーズ第3戦「MSCCラリー in 鮫川」の競技主催者は、全日本ラリー選手権の主催歴もあるマツダスポーツカークラブである。日本のラリー界を下支えするイベントまでも同クラブは開催していた。

世界ラリー選手権(WRC)では、堅牢な競技車両や高性能パーツ類、サービススタッフなどの諸経費、エントリーフィーなどを含めると、参戦経費が1000万円に近づくこともある。

その点、普段使いの愛車でも楽しめるデイラリーは、まさに草の根ラリーと言えるものだ。競技後にはJAF競技ライセンスも申請取得でき、参加料も2万円から3万円程度/1台とリーズナブルである。エントリーフィーには学生割引もあるというのだから、その参加のしやすさには脱帽する。

個性豊かな参加者たちが絶景ルートを楽しむ

デイラリーは、主催者から指定されたアベレージ速度で競技ルートの区間を正確に走行できているかどうかを、チェックポイント通過時の正解タイムとの誤差の集積で競い合う。

今戦では、以前の全日本ラリー選手権で使われていたお馴染みの、鹿角平観光牧場を駆け抜ける場面もあった。林道、山間路、広大にひらけた牧場内の道と、バラエティに富んだルートを走行するだけでも、参加者にとってはラリー競技がもつ痛快さのひとつが味わえる。

その参加者のエントリーリストに「たたみ鰯日産オーラ」というクルマ名を発見した。競技者の田中茂/湊良弘組は、神奈川県湘南からやってきたクルーであった。

「まるで気にもとめずに使っていました」

と田中さんが使っていた「たたみ鰯」は、鰯の稚魚を板状に広げ乾燥させ、旨みが凝縮されている湘南名物の特産品である。

WRCが世界各国を転戦するのと同様、日本のラリーもまたJAFに登録されている各地の自動車クラブにより津々浦々で開催されている。公道をめぐるラリー競技はまさに地域活性化のイベントであり、表彰式では開催を後押しする地元の方々から贈られる副賞の特産物がよく見受けられる。

この「たたみ鰯」は、手軽に全国どこからでも参加できる関東デイラリーシリーズのエントリーリストに、自然の成り行きのまま参加地域を伝えているじつはユニークな事例だ。

’80年代に本格ラリーで戦っていたふたりがノートe-powerで参戦

タイムを競うデイラリーであっても、登り下りのルートは多く、参加ドライバーにとっては愛車エンジンの特性を五感で感じながらクルマ操作を楽しめるモータースポーツである。低速時のトルク性能もありそうな日産オーラで参戦する田中さんにデイラリーの楽しさについて聞いてみた。

「ナビの言うことを聞いてベストな走りを尽くしているだけ。林道での走行にも、勝ち負けにも、なんらストレスもなく競技展開を楽しめています」

日産 マーチRや三菱ミラージュでスピードを競うラリーも走っていた経歴もある田中さんは、モータースポーツにおけるe-powerの走りも満喫していた。

コドライバーの湊さんは、じつは強豪ドライバーがひしめきあった1980年代の全日本ラリー選手権で、大型新人として注目を集めた片岡良宏選手のコドライバーとして「ペースノート読んで右だ左だと言ってましたよ」という、バリバリに速さを競っていた人であった。

湊さんは

「デイラリーもやれば楽しいんですけど、やるまでに漕ぎ着けていない人が多いのかもしれません。若い人には今話題になっているスピード争いのWRCを知ってラリーに興味を持つ人も多いでしょうけれど、誰でもすんなりと参加できるこのラリーはあまり知られていないようで、残念です。昔は競技車にけっこうお金を注ぎ込んでラリー参戦していたんですが、デイラリーはノーマルタイヤでも楽しめる。若い方も簡単に参加できるデイラリーは、やってみればそれだけでラリーの楽しさがわかるんですけどね」と語る。

愛猫ミミとのトリプルオール女子クルー

今回のデイラリーにはもうひとつ「トヨタ クラウン With ミミ」という惹きつけられるエントリー車名があった。普段は社用営業車のトヨタ クラウンで参戦となった山崎浩子/加納ゆかり組である。

後部シートは愛猫「ミミ」のキャリー態勢を整えての参戦となった、トリプルオール女子クルーであった。ラリー参戦期間中、いつもはミミの面倒を見てくれる家人が急遽予定が立たず、ミミひとりで留守番させてはおけない事情となり、助っ人としていっしょに参加することになったとのことだ。

デイラリーには、1台に乗車定員数までのクルーが同乗参戦できるという競技ルールがある。まったくのラリービギナーでもお気軽にリアシートから、フロントにいるクルーたちの実戦を見学しながらの参加もできる。それを象徴するかのような「With ミミ」であった。

占有されたスペシャルステージのルートを飛ばして走るSSラリーには迫力というカッコ良さがあるが、アベレージ走行をこなして正確なタイムを競うデイラリーは、はたから見れば穏やかな安全走行だ。しかしながら、どちらもそれぞれの競技ルールのもとクルマを使ってタイムを競い合うモータースポーツである。切磋琢磨をともない、常に参加者を楽しませてくれるのだ。高級なボールなど必要のないサッカー同様、手軽に普段使いの愛車でラリーを楽しめるのが、このデイラリーである。

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