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松戸の地下駐車場に現れた“タイムスリップ空間”!天候を気にせず見てまわれる名車博物館

まつどクラシックカーフェスティバル実行委員長を務める吉岡光一さん

色とりどりの懐かしの旧車たちが並ぶ

千葉県松戸市で毎年秋に開催される「松戸まつり」。その一角で行われる「まつどクラシックカーフェスティバル」は、地下駐車場が2日間だけ“名車博物館”に変わる特別な催しです。展示されるのは国内外の旧車やネオヒストリックカー約120台。イベントを支える吉岡光一さんは、亡き父から受け継いだ日野「コンテッサ1300クーペ」とともに、地域の文化としてこの祭りを守り続けています。

松戸の市民祭が生んだ異色のクラシックカーイベント

人口約50万人が暮らす千葉県松戸市。

1974年に市内の物産をPRする「産業まつり」を母体として始まった「松戸まつり」は、回を重ねるごとに規模を拡大し、多くの市民に愛される市民祭となっている。松戸まつり当日は、メイン会場のJR松戸駅周辺は歩行者天国となり、東口の松戸中央公園ではステージやパフォーマンスが行われる。バス停やタクシー乗り場のある西口ロータリーにはキッチンカーによるグルメ屋台が並び、秋の大イベントとして定着している。

その松戸まつりの一環として、今回で21回目を迎える「まつどクラシックカーフェスティバル」が併催されている。その会場となっている松戸駅西口の地下駐車場の地下1階と2階は、「松戸まつり」が開催される週末の2日間、クラシックカー博物館に様変わり。国内外を問わず、ネオヒストリックカーと呼ばれる1980年代のクルマたち約120台が展示される。天候に左右されず、ゆっくりと懐かしの名車たちを見学できるのが特徴だ。

親子で「まつどクラシックカーフェスティバル」をサポート

本部に展示された美しい1966年式日野「コンテッサ1300クーペ」は、「まつどクラシックカーフェスティバル」を運営する実行委員長を務める吉岡光一さんの愛車である。

「このクルマは初代実行委員長であった父から受け継いだ」

と話す。

吉岡さんの父、光夫さんは40年ほど前から趣味で古いクルマを集め、旧車趣味人の人脈も豊富だった。そのため、「まつどクラシックカーフェスティバル」の第1回目から携わり、実行委員長としてイベントを支えてきた。その光夫さんが7年前に他界し、愛車であったコンテッサを息子の光一さんが引き継いだわけだ。

じつは光一さんは「まつどクラシックカーフェスティバル」を初回から父親とともにサポートしている。実行委員会のメンバーからも誰よりもイベントを理解していると認められ、亡き父に代わり実行委員長としてイベントを支えていることになったわけだ。展示しているコンテッサは、父とともに仕上げた思い出のクルマだという。

「2ドアのクーペは珍しいため、1年ほどかけて一緒に修理しました。旧いクルマなので部品がないホース類などは代用品を使用したり、バンパーは再メッキをかけたので現在は輝いていますが、最初は錆が出ていました」

仕上がったコンテッサは、テレビドラマの主人公の愛車として貸し出してほしいとオファーがあり、その際に撮影所まで運転して行ったこともあった。

コンテッサだけでなく事業と博物館まで父から引き継いだ

さらに話を伺うと、光一さんが引き継いだのは、クルマとイベントの責任者だけではない。

「父は集めた自動車や鉄道などの乗り物、かつてどこの家庭にもあった生活用品などを展示する『昭和の杜博物館』の館長でした。そちらも父が亡くなったからと言って止めるわけにはいきません。建設関係の仕事を引き継いぐと同時に、博物館も兄弟で一番関わっていた私が引き継ぎました」

『昭和の杜博物館』は当初、光夫さんのコレクションを知人に見せるための私設博物館だった。しかし2018年には一般財団法人として公的な施設となり、学芸員も在中する昭和の懐かしい世界を展示している。

「現在は預かりものも含め、約20台のクルマを展示しています。このコンテッサは車検を切らせずに、ときどきエンジンをかけて調子を崩さないようにしています。昔のクルマは生き物みたいな部分もあるじゃないですか。様子を見てあげないとへそを曲げて動かなくなるので」

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