マニアだけでなく家族で楽しめるクラシックカーイベント
国立・群馬大学の理工学部桐生キャンパスで「クラシックカー フェスティバル in 桐生2025」が開催されました。国立大学のキャンパスを会場とする珍しいイベントで、1980年までに製造された国内外の名車約350台が集まりました。車両展示とラリーの両方を楽しめ、市民まつりのような賑わいを見せました。子ども向けのお絵描き大会やボンネットバスの運行なども行われ、クルマ好きだけでなく家族連れにも親しまれる、地域に根付いた秋の恒例イベントとなっています。
ラリー以外にグルメやワークショップなど豊富なコンテンツが楽しめる
手渡されたゼッケンを貼り終えたラリー参加車両は、ドライバーズミーティングでコマ図の見方や注意事項を伝えられた後、20秒おきに1台ずつがスタート。ラリーへ出発する約140台のクラシックカーたちを見送るため、群大桐生キャンパス正門は旗を振る見学者の笑顔で溢れた。
コースは桐生市から日光へと抜ける、わたらせ渓谷沿いの街道を栃木県境にある草木湖までの往復約2時間の行程。ようやく色付き始めた山あいに秋の気配を感じながら、参加車両は草木湖までの心地よいワインディングを走行し、大勢の見学客の待つキャンパスへと戻ってきた。
展示車両のオーナーたちは、同好の仲間たちとの会話を楽しんだり、見学者の質問に応えたりするなど思い思いの時間を過ごす。また、この日は開放された校内の学食や集結した人気キッチンカーの料理に舌鼓を打つこともできる。
繊維産業で栄えた桐生の商家やノコギリ屋根の織物工場などが点在する桐生市内では、ボンネットバスによる遊覧運行が行われ、参加者はありし日へのタイムスリップを楽しんだ。
毎年恒例の特別展示は日野ルノーとコンテッサ900スプリント
毎年、自動車メーカーや博物館からの協力により行なわれる特別展示車両がある。2025年は日野自動車から「日野ルノー」と「コンテッサ900スプリント」の2台が貸し出された。戦後トラックやバスといった商用車を生産していた日野自動車が小型自動車生産へ進出するにあたり、ルノーと提携しルノー4CVを1953年から組み立て生産した。その後、すべての部品が国産化され、純国産車としてロングセラーモデルとなったのが「日野ルノー」である。
また、コンテッサ900をベースにジョヴァンニ・ミケロッティのデザインしたボディを纏い、1962年に発表され、世界各地の自動車ショーで賞賛を浴びたショーモデルが「コンテッサ900スプリント」である。これら2台の展示は、多くの来場者を喜ばせた。
地域に愛されるイベントとしてさまざまな工夫を凝らす
さらに、家族連れの来場者にとって好評なのが、子どもお絵描き大会である。用意された画用紙とクレヨンを手に、熱心に展示車両を描く子どもたちの姿が見られた。描き上がった作品はホールへと展示され、年齢別に設けられた優秀作品は来年度のポスターに使用される。この試みは、イベントが地域で愛され続ける理由のひとつである。
「クラシックカー フェスティバル in 桐生」は、地域に根付いたクラシックカーイベントとして約2万人の来場者を楽しませた。
