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走るだけで路面の破損状況を把握!KYBの「スマート道路モニタリング」が地方財政を救う!

模型のクルマの動きを見ると時折上下に揺れて、道路は真っ平ではないことが解るようになっている。その上下動をセンシングする「スマート道路モニタリングシステム」の必要性をアピール

GPS付きだから路面の破損場所を正確に特定できる

ショックアブソーバー製造メーカーであるKYBは、「ジャパン・モビリティショー2025」にブースを出展。「カヤバのしわざ」をキャッチコピーに、大人はもちろん子供でも楽しめるようなさまざまな展示を行なっていました。このブースで注目したいのが、ショックアブソーバーに装着する「GPS付き振動センサー」。これはKYB製のショックアブーバーに限らず、メーカーや車種を問わず、あらゆるクルマに装着できて、走行するだけで道路の状況を把握できる装置です。これは国家プロジェクトと「スマート道路モニタリング」を実現する画期的な装置です。

役所などが所有するクルマ全台に取り付ければ常に路面状況チェックが可能

日本の道路には、国道の他に都道府県道、市町村道などがあり、これらは国や都道府県、地方自治体が管理している。ところが昨今の人手と財源の不足から、道路の調査(路面の破損や劣化など)に潤沢な予算が避けない自治体が増えている。

その作業は、各自治体の道路管理のスタッフが専用のクルマで走行して、異常がありそうな場所を特定。目標物からの距離を確認。場合によっては写真も撮影して、役所に戻ってから報告書を作成。その報告書をもとに破損の程度によって修理・補修を優先する道路を順位付けする。さらに破損や劣化の度合い順位付けは人間の判断で決定され、予算との兼ね合いもあるので、非常に手間暇かかる作業となっている。

ところがKYBの「GPS付きの振動センサー」は、自治体の公用車のショックアブソーバーに取り付けるだけで道路状況をセンシング。通常の業務で走行するだけでショックアブソーバーの振幅から道路の劣化状況を把握して、さらにGPSによって場所まで特定できてしまうのだ。つまり、破損位置の特定のための車両の乗り降りも、写真撮影の必要もなくなるわけだ。

通信機能を使って自動的にデータを収集

さらにWi-Fiなどの通信機能を備えているので、役所に戻った公用車が収集した情報は自動的に、クラウド上にあるマップに状況を記録。写真撮影も報告書も不要なのはもちろん、破損や劣化による道路の修理・補修の優先順位まで判定してくれるというのだ。もし、画像も必要という場合は、オプションのルーフ上のカメラ(他社製)で対応できるようになっている。

自治体のスタッフが日常の業務で使う全車に取り付ければかなり広範囲で道路の状況を把握することができ、それらが走行しなかった道路だけを専門スタッフがチェックすればよい。つまり予算も人手も節約することができるわけだ。

すでに長崎県や神奈川県で実証実験を開始

国家プロジェクトして始まったこの技術は、KYBが開発に参画することになってすでに5年を要し、「スマート道路モニタリング」として商標登録されている、国土交通省や経済産業省などとも連携し、すでに島根県益田市実証実験がスターとして、現在は長崎県長崎市や神奈川県相模原市などでも運用されている。路面の破損程度の判定の精度は、目標値までもう少しのところまで迫っているという。

日常の運転では、それほど意識することがないかもしれないショックアブソーバーだが、KYB「GPS付きの振動センサー」が、破損した道路をいち早く発見して、修理・補修がすばやく行なわれれば、多くのドライバーが快適かつ安全に走行できるという恩恵を受けることができるはずだ。
「スマート道路モニタリングシステム」が実用化すれば、各自治体の公用車に限らず、道路管理会社などの車両にも装着することで、道路の維持管理が一元化され、さらに効率的な保守も可能となるだろう。

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