50ccエンジンで燃費を競うホンダ主催のエコマイレッジ
ホンダが主催する超燃費競技「本田宗一郎杯 Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2025 第44回 全国大会」が、2025年10月11日と12日にモビリティリゾートもてぎで開催されました。ホンダ製50ccエンジンを使い、燃費を競うこの大会。2025年はカーボンニュートラル燃料(CN燃料)とハイオク燃料が同時に使われる最後の大会となりました。2565.786km/Lを記録した「水曜クラブ」が、本田宗一郎杯を獲得。次大会からは全クラスがCN燃料で競技することになります。
過去最高記録は3644.869km/L
このホンダ・エコマイレッジは、ホンダ製の4ストローク50ccエンジンをベース(ニューチャレンジクラスのみ、Honda製4ストローク50cc以上150cc以下のエンジン)に、1Lのガソリンで何km走行できるかを争う超燃費走行の競技だ。実際には規定周回数で使用したガソリン量から燃費を算出する。
2025年度は、例年どおり鈴鹿(鈴鹿サーキット)、もてぎ(モビリティリゾートもてぎ)、九州(HSR九州)の3大会が開催された。10月はもてぎのオーバルコースを使って全国大会が開催されている。ちなみに、この全国大会のみ「本田宗一郎杯」という冠がつけられている。ホンダの主催するイベントで本田宗一郎の名が冠されるのはこの大会だけであり、その思い入れが感じられる。
もてぎで行なわれた全国大会では、1周1.5マイルのオーバルコースを使用し、規定時間(39分20秒11)内に7周を走行する(2人乗りクラスと2輪車クラスは16分27秒36の内に3周)。走行直後にガソリンの消費量を計測し、走行距離から「燃費」を算出する。これまでの最高記録は、2011年の全国大会で記録された3644.869km/Lだ。
2024年、地球環境に配慮しカーボンニュートラル(CN)燃料によるクラスが全カテゴリーに新設された。全222チーム中57チームがこれに参戦した。今回の全国大会でも、ハイオク燃料部門とCN燃料部門が設定されたが、2026年からはハイオク部門は終了となるため、混合でレースが行なわれる最後の年となった。
今年で最後となるハイオク部門と2026年から新設される電動部門
スーパーGTや全日本ロードレース選手権でも使用されているCN燃料は、植物が光合成によって二酸化炭素を吸収して育ったものを原料に作られた燃料だ。植物が吸収した二酸化炭素で、燃焼時に発生する二酸化炭素の一部が相殺されることになり、結果的に二酸化炭素排出量の削減効果があると考えられている。CN燃料は既存のエンジンにも使用できるが、揮発性が低い特性を持つため、圧縮比や点火タイミングの専用セッティングが必要になる。また、チームによっては走り方も変える必要があるという。
今大会、一般クラスに参戦した「水曜クラブ」が、2565.786km/Lの記録を樹立。最後となるハイオク燃料クラス最優秀賞「本田宗一郎杯」を獲得した。今大会の結果を見ると、一部CN部門のほうが記録を出しているクラスもある。しかし、競技性の高いクラスでは、CN部門はまだハイオク部門の成績を超えられていない印象が強い。
次大会からは全クラスがCN燃料を使用した競技に代わるが、燃料の違いをどのように解析して、成績を出せるマシンに仕上げていくのか。そして今後、どのような記録が達成されていくのかが、気になるところだ。
また、同時に、2026年から新設される予定の電動クラスをイメージした、エコラン用の4輪マシンと、市販バイクであるEM1 e:の2台がエキシビション走行と車両展示を行った。
この電動部門の駆動ユニットは、ホンダが市販している原付一種の電動バイク「EM1 e:」で使われている駆動用バッテリー「モバイルパワーパックe:(MPP e:)」を搭載したものだ。4輪マシンは、このバッテリーとEM1 e:のモーターユニットをエコマイレッジ仕様に新規で起こしたもので構成されている。
現時点では、この電動クラスがどのようにエコランの成績をつけていくのかアナウンスがなされておらず、詳細は不明だ。しかし、新たな挑戦をする団体も増えるかもしれない。こちらの進化についても目が離せない。
