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世界に13台しか存在ないヘネシー「ヴェノムGT」が8654万円で落札!じつはロータス「エクシージ」に6.2LのV8スーパーチャージャー搭載のモンスターだった

58万8000ドル(邦貨換算約8654万円)で落札されたヘネシー「ヴェノムGT」(C)Courtesy of Broad Arrow

ヘネシー「ヴェノムGT」が記録的な価格で落札

アメリカのチューナーであるヘネシー・パフォーマンスが生み出したスーパーカー、ヴェノム「GT」が、8月にブロードアロー・オークションズ社が開催したオークションで驚きの高値を記録しました。ロータス エキシージをベースに、V8スーパーチャージャーエンジンを搭載したこのモデルは、わずか13台しか作られなかった超レアな存在です。ブガッティ「ヴェイロン」をも上まわる加速力で知られ、今回の落札結果はその希少性と性能が改めて認められたことになりました。

ヴェイロンを抑え世界最速を記録したヴェノム1000ツインターボ

1991年にアメリカのテキサス州に設立されたヘネシー・パフォーマンス。その創設者であるジョン・ヘネシーが同社の基本哲学に掲げたのは、最新の技術力を駆使して、ドライバーを感動させる情熱的なモデルを生み出すことであった。

当初はプロダクションモデルをチューニングすることで始まったヘネシー・パフォーマンスのビジネスだが、2007年に大きな転機が訪れる。この年、アメリカの「ロード&トラック」誌によって企画された、世界最速の称号を賭けた0→200マイル(約322km/h)テストで、ヘネシー・パフォーマンスが投入したモデルが勝利を収めたのだ。

それはダッジ バイパーをベースとする「ヴェノム1000ツインターボ」であり、ブガッティの「ヴェイロン16.4」などのライバルを抑え、20.3秒という驚異的な速さで勝利した。

しかし、ジョン・ヘネシーにとってこの結果は、あくまでも通過点のひとつに過ぎなかった。その記録を更新するスーパースポーツを作るには、さらなる軽量性とともにミッドシップという基本設計が必要不可欠であると考えた。

そこで彼は、当時のロータス エキシージにヴェノム1000ツインターボのエンジンを組み合わせることを計画した。ロータスにカーボンファイバーモノコックを特注すると、まずそのファーストシリーズとしてミッドには725psの最高出力を発揮する6.2LのV型8気筒スーパーチャージャー・エンジンを、リカルド製の6速MTとともに搭載した「ヴェノムGT」を生み出した。

ヴェノムGTの生産は2011年から2014年にかけて行われたが、その総生産台数はプロトタイプを含めても13台ときわめて少数だ。したがって、それがオークションを含めて市場に流通することは稀である。それだけに、今回ブロードアロー・オークションズが開催した「モントレー・ジェット・センター・オークション」に出品された2011年式のヴェノムGTには大きな注目が集まった。

13台中2台しか生産されなかった稀少なスーパーチャージャー仕様

出品車は、総生産13台のヴェノムGTのなかで3台目に生産されたモデルである。エンジンは前述のスーパーチャージャー仕様だ。同エンジンを搭載するモデルは、このほかにもう1台が存在するのみである。

ちなみにほかの11台には7LのV型8気筒ツインターボ・エンジンが搭載された。こちらは800ps、1000ps、1200ps(スパイダーでは1244ps)にパワー調節を可能とするシステムが備えられている。

アメリカの本社工場で組み立てられたエンジンは、イギリスのシルバーストーン近郊にある工場へと輸送され、そこでアッセンブリーが行われるというシステムでヴェノムGTは生産された。この生産体制は、前後して自社ブランド車の生産を行うヘネシー・スペシャル・ビークルズ(HSV)と、市販車のチューニングを含めた開発を担うヘネシー・パフォーマンス・エンジニアリング(HPE)を組織させる原動力ともなった。現在、HSVにはカスタムオーダー部門のマーヴェリックも誕生し、カスタマーのより細かいリクエストにも対応できる体制が整えられている。

予想を大きく超えた記録的な落札価格

話をオークションに出品された2011年式のヴェノムGTに戻す。ヴェノム・レッドと呼ばれるボディカラーに、カーボンファイバー製のフロントスプリッターとリアディフューザーがアクセントを添えている。20インチ径のホイールとミシュラン製のパイロットスポーツ4Sタイヤが組み合わされ、その外観はきわめてスポーティーで、かつエモーショナルなフィニッシュを見せている。ブラックレザーとアルカンターラで整えられたインテリアも魅力的だ。

前所有者による整備記録には、2022年8月に行われた、走行距離が2150km時点でのものまでが残されている。この時にはインジェクター、イグニッションコイル、ラムダセンサー、燃料ポンプ、触媒コンバーター、スパークプラグ、シフトケーブル、FIA規格の燃料タンクなどの交換が行われている。

現在までに2300km未満(約1429マイル未満)を走行したのみという状態で提供されるこのモデルに設定された予想落札価格は、35万ドル~45万ドル(邦貨換算約5151万円~6623万円)とされていた。

しかし、やはり入札者の注目は大きく、このレンジを超えても応札は続いた。最終的には58万8000ドル(邦貨換算約8654万円)という価格で落札された。これはチャリティ・オークションを除けば、同モデルがオークションで記録した落札価格のトップとなる数字である。

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