商用車ハイエースの車内が快適なサウンド空間に変わる
カーオーディオメーカーのパイオニア・カロッツェリアがトヨタ「ハイエース」に最適だと選んだ、カーナビ、スピーカー、リアモニターを紹介します。パイオニア製のハイエース専用パーツを採用しつつ、カーナビが持つサウンドチューニング機能の効果を最大限に引き出すセッティング術を、開発者の方に教えていただきました。
スピーカー交換とリヤの装着位置変更、サブウーファー追加でサウンドが激変!
ハイエースの純正スピーカーはフロントドアの最下部で、リアスピーカーは荷室のクォーターパネル(側壁)に装着されている。しかもハイエースの前席はアップライトな乗車姿勢となっているため、フロントスピーカーからのサウンドは足もとに滞留して、すっきり感の低い。
そこでカロッツェリアが推奨するのは、2ウェイセパレートスピーカーのTS-C1740Sだ。華やかで艶のあるサウンドを備えた同社の中核をなすモデルだ。
中低音域を担当する17cm口径のウーファーはドアの純正位置にハイエース専用インナーバッフル(UD-K5311)で装着。高音域を担当するトゥイーターはハイエース専用のトゥイーター取り付けキット(UD-K304)でドアミラー裏に設置。トゥイーターを高い位置に設置することで、ダッシュの上に音像が現れる快適サウンドが手に入れられるようになる。
純正リアスピーカーは、荷物やベッドキットで隠れてしまって音が聞こえ難くなってしまうリヤクオーターにあるため、後席用のエアコン吹き出し口の両脇取り付ける。スピーカーは、10cm口径のコアキシャル2ウェイスピーカーTS-E1010だ。小口径で薄型なので取り付けスペースにあまり余裕のない天井部にもインストールしやすい。後席乗員は、前からクリアな音を聴くことできる。かなりクオリティの高いスピーカーで、後席のオーディオ環境を整えるには必須とも言えるユニットだ。
さらにパワードサブウーファーであるTS-WX400DAを取り付けることで、重厚で厚みのあるサウンドを再現。元々の音源が持っている躍動感や迫力は低音の響きが大きく貢献する。
楽ナビのオーディオ調整機能でハイエースを理想の音楽空間に
これらのスピーカー群をコントロールするは、最新の楽ナビ(AVIC-RF722-DC)だ。ハイエースの1DINスペースにインストールできる大画面9型のフローティングタイプで、詳細なサウンド調整機能を備えている。
フロント左右/リア左右/サブウーファーの各スピーカーの音が出るタイミングをコントロールするタイムアライメントを駆使することで、フロントガラスの中央付近でクッキリとした音像が浮かび上がるのが体感できる。
またイコライザー(13バンド)は車内の反射や吸音を考慮したサウンド補正ができるのも魅力。バランスの良いサウンドは長く聴いていても心地良いのでドライブ中に聞く音楽がさらに楽しくなるはずだ。
この楽ナビ(AVIC-RF722-DC)で見逃せない特徴が、通信端末による常時インターネットに接続できる環境を持つことだ。車内がWi-Fiスポットになり、スマホやタブレットなどを容量無制限で接続できる。またAppleCarPlayやAndroid Autoにも対応しているので、スマホのアプリをカーナビ画面で使うことも可能だ。
サウンドマイスターがパイオニア・カロッツェリア楽ナビのセッティングを伝授
このシステムの本来のパフォーマンスを引き出すには、仕上げとして必須なのが調整(サウンドチューニング)だ。前述したように楽ナビには充実の調整機能が装備されているので、それらを駆使することで音質は格段に向上する。
そこで楽ナビの調整のエキスパート佐藤祐樹さんにサウンドチューニングのポイントを伝授してもらった。もちろん、プロショップで使用するような測定器などは用いず、コスパ・タイパに優れた高音質化を実現できる初心者向けの調整をレクチャーしてもらった。
調整の手順は(1)タイムアライメント(2)レベル調整(3)カットオフ(4)イコライザーの順で行うことにした。調整には主にこの4つの機能を用いる(他にも音の味付けに必要な様々な機能も備えるが、好みで設定すると良いだろう)。
ここで注目したいのが、その音調整がドライバー中心なのか、助手席や後席の人も含めているかで、設定はまったくことなってくる。もちろんメモリー機構は付いているので、それぞれの設定を残しておける。今回紹介する調整方法は、運転席での音作りとなっている。
【タイムアライメントの調整】眼の前でボーカルが歌っているような臨場感を実現
テストカーのハイエースのフロントステージは、セパレート2ウェイスピーカー。左右の各トゥイーターと運転席に座ったリスナーとの距離を測定。続いてリアスピーカーやサブウーファーも同様に測定して入力する。設定後はボーカルがいる音源などを聴いて、ダッシュボードの上の中央または運転席正面から歌声が聞こえてくることを確認する。ズレが気になるときはフロント左右の数値(距離)を変更するといいだろう。
【スピーカーの出力の設定】左右前後の音の出方を調整して立体感のあるサウンドを作る
スピーカー出力レベルの調整は、フロントスピーカーの左右では右側のスピーカー(特にツイーター)が非常に近いので右のレベルを下げ、左のレベルを徐々に上げて左右の音のバランスが取れるところを決める。
さらにリアスピーカーは存在感を出さないために低めのレベルに設定すると良いが、うまく融合すると中域のパワー感がぐっと出てくる。調整のコツはいったん低く設定して音楽を再生しつつ試聴。そこで少しずつレベルを上げ“後ろから音が聞こえる”直前で設定してみよう。
【カットオフの設定】ウーファーとサブウーファーの再生帯域を整えて低音域をクリアに
カットオフはフロント2ウェイスピーカーとサブウーファーとの再生する帯域を分割する機能だ。今回は簡易的な設定を紹介する。
ドアのデッドニングが簡易的な場合は80Hz、しっかり施している場合は63Hzをカットオフ周波数に選ぶ(ハイパスとローパスの数値で、これは決め打ちする)。一方のスロープは-18dBを基本として、-12dBとどちらが良いかを比べてみる。
注目するのは楽器の響き、ベース音やバスドライの音のリアルさ、さらにはボーカルが艶感だ。スロープを変えると音が変化するので最適な状態を探ってみよう。
さらにカットオフの設定にはサブウーファーの位相調整も備わっている。音の波が+-(正)なのか-+(逆)なのかを変更できるのが位相調整だ。ある程度のカットオフが完成した状態で位相の正逆を切り替えてみよう。低音がまとまって前から聞こえてくる方が正解。サブウーファーにカットオフの調整機能が備わっている場合はサブウーファーのカットオフ(ローパス)は設定せずフリーにしておくと良いだろう。
【イコライザーの調整】再生帯域のバランスを調整して音楽の厚みを増す
音の総仕上げに調整したいのがイコライザー。できれば50Hz、80Hz、125Hz……などの各周波数の音が入ったフリー音源を用意すると調整がスピーディで確実になる。各周波数の音を再生して音が大きく感じる部分を下げ、小さく感じる部分を上げて、全帯域の音が平均して聞こえる様にするのが基本だ。
音源が用意できない場合は音楽を聴いて“うるさく感じる周波数”を下げることでも調整可能だ。
いったんここまでの作業を終えたらボーカルのいる音源で仕上げる。女性ボーカルなら1kHz、2kHz 周辺、男性ボーカルだとそれよりも低い周波数に着目。ボーカルの艶感が出てくる方にゲインを上下させ、さらにボーカルのリアル感や前に出てくる感じもイコライザーで変化するので試してみよう。男性ボーカルは薄く弱い感じにならない方向を追求してみよう。
200Hzから315Hzあたりの音がクッキリ感に影響するので、モワモワしている場合にはゲインを少し下げて変化をみる。またシンバルやハイハットなどの音に注目して2kHz、3.15kHz、5kHz、8kHzなどを調整。音の余韻に注目してきれいに伸びる音になるように各帯域を上下させてみよう。また演奏しているホールのイメージは12.5kHzが影響する場合も多い。
楽ナビの多彩な調整機能で得られる高音質サウンド
これらの調整を終えると、スピーカーなどの機器類はすべて同じでありながら、そのサウンドが見違えるように高音質化した。目の前に音像が浮かび上がり、高域のクリアさ、中低域の厚み、ボーカルの実在感など、欲しかった音がほぼほぼ手に入った印象。楽ナビに搭載されているサウンド調整機能を使わない手はないだろう。
【装着ユニット一覧】
カロッツェリア・9型フローティングモデル(AVIC-RF722-DC)
カロッツェリア・ハイエース専用トゥイーター取り付けキット(UD-K304)
カロッツェリア・フリップダウンモニター(TVM-FW1060-B)
カロッツェリア・17cmセパレート2ウェイスピーカー( TS-C1740S)
カロッツェリア・24cm×14cmパワードサブウーファー(TS-WX400DA)
カロッツェリア・ハイエース専用インナーバッフル(UD-K5311)
カロッツェリア・10cmコアキシャル2ウェイスピーカー(TS-E1010)
【問い合わせ】
パイオニアカスタマーサポートセンター
TEL:0120-944-111
https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/
