下剋上勝利の裏の立役者「ヴァリノVR08GPスポーツ」
福島県のリンクサーキットで行われた軽自動車だけで行なわれる東北660耐久レース第2戦で、新発売のヴァリノVR08GPスポーツタイヤが実戦デビューしました。5時間にわたる過酷なレースで、若いドライバーたちがこの新タイヤを武器に見事な総合優勝を達成します。なぜ初投入のタイヤが勝利に貢献できたのか。その実力と背景を紹介します。
「軽自動車専用」を謳うセカンドグレードタイヤの実力
2025年7月20日に福島県のリンクサーキットで、長丁場の5時間耐久として開催された東北660耐久レース第2戦。過去最多の24チームが参戦するなか、総合優勝を果たしたのは3クラスにエントリーした382#DUMC ブライダル アルトである。
ドライバーはすべて20代の若手ながら、東北660シリーズで活躍する実力者が多く、優勝候補の一角であったのは間違いない。しかし、3クラスはいわゆるハイグリップタイヤを履けず、クルマとしてのポテンシャルは4クラスよりも下である。それが予選3番手から総合優勝という、絵に描いたような下剋上を達成した。
他車のトラブルやピットインのタイミングなど、輝かしい結果を呼び込んだ要因は他にもいくつかあるが、彼らが装着していたタイヤも間違いなく勝つことができた大きな理由のひとつである。それは東北660シリーズでは初登場となったのが『ヴァリノVR08GPスポーツ』だ。
VR08GPスポーツは、軽自動車に向けて開発したスポーツラジアルであり、サイズは165/55-14と165/55-15の2種類がラインナップされる。上位モデルに『ヴァリノVR08GPニューマ』があるため、VR08GPスポーツは正真正銘のセカンドグレードとして位置づけられる。
現在のところ、東北660選手権と東北660耐久レースの3クラスまた東北660・HA36カップは、装着できるタイヤはセカンドグレードに限定されている。数年前から高い装着率を誇るのはポテンザ・アドレナリンRE004であり、とくに上位はほぼワンメイクといっても過言ではない状況だ。そこに『軽自動車専用』を謳いVR08GPスポーツが投入された。
事前に立ち会ったテストでは、空気圧のセッティングなど手探りな部分もあったものの、タイムはライバルと遜色ないレベルだった。しかも、東北660で活躍するドライバーたちの感触もよかった。
路面温度55℃超でも安定した「タレない耐久性」
さらに驚かされたのは耐久性である。摩耗しにくいのに加え、ブロックの角が千切れるようなこともない。路面温度が55℃を超えるなかで周回を重ねても安定したラップを刻んだ。
この耐久性の高さは東北660耐久レースの本番でもまったく変わらなかった。あるドライバーは次のように話す。
「タレがゼロというわけじゃないですが、乗り方で十分に対応できるレベルなので不安はなかったです」
リンクサーキットはヘアピンが多いレイアウトであり、必然的に舵角が大きくなりタイヤを傷めやすいコースである。しかし、VR08GPスポーツは5時間を無交換どころか、余裕を残して完走できた。
廃車再生アルトが証明したVR08GPスポーツの高いコスパ
382#DUMC ブライダル アルトのマシンは、とくに勝ちを狙って作り込んだものではない。廃車になるはずだったボディを無料で譲り受け、中古のエンジンとミッションを載せ、お金をかけず楽しく遊ぶために製作され、チューニングは最小限に抑えられている。
前述したとおり、ドライバーたちの技量や運も勝利の要因である。とはいえ、VR08GPスポーツがデビュー戦で優勝した事実はインパクトが大きい。
なお、VR08GPスポーツはリーズナブルなことも強みである。限られた予算のなかでモータースポーツを楽しみたい人には、まさにうってつけだ。グリップ力、耐摩耗性、安定感、価格と、バランスの取れたこの注目のセカンドラジアル。今後はより速度域が高く大きな負荷のかかるスポーツランドSUGOや、ウェット路面でのグリップ、熱の入りなどの検証が待たれるところである。
さらに、最上位モデルであるVR08GPニューマの、軽自動車サイズの登場にも大いに期待したい!
