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東京〜大阪500km走破! マツダ「CX-60」驚異の実燃費と気になる乗り心地

FRレイアウトにこだわるマツダのミッドサイズSUV

マツダは、実はFRという駆動方式に長きにわたりこだわりを持ってきた会社です。歴代RX-7にRX-8、そしてロードスターとFRスポーツとFRのハンドリングを磨き上げてきて、高い評価を受けてきました。そのマツダがミッドサイズSUVを作るにあたり、直列6気筒エンジンを縦置きに積むFRベースのプラットフォームを選んだのは必然であり、当然であり、冒険だったともいえるわけです。それだけに渾身のミッドサイズSUV、CX-60には以前から興味がありました。2025年2月にはマイナーチェンジを敢行しました。前後ショックアブソーバーの減衰力特性の見直しや、リアのスタビライザーを取り外すなどして、乗り心地・操縦安定性の向上を図った2025年モデルのCX-60に、大阪オートメッセ2026の開催に合わせ、東京から大阪までロング試乗して来ました。

視界が良好で最適なドライビングポジションが確保できる

乗ってみてすぐに感じたのは視界がいいこと。車体は大きく、車重も1.9tと重いが、視界がいいクルマは運転しやすい。センターディスプレイはともかく、アクティブ ドライビング ディスプレイなどメーター類の視認性もいいし、こうした点はビギナーにも中高年にもありがたい配慮だ。

縦置きエンジンと可能なかぎりコンパクトにしたトランスミッションのおかげで、足元が広く、ペダルレイアウトに不自然さがないため、自然に足を伸ばしてペダル操作ができ、ドライビングポジションは良好。シートもよくできている。スポーツシートではないが、ホールド性も悪くなく、シートの骨格や取り付けの剛性、ウレタンやスプリングの硬さなども適切で、けっこうコストをかけているのがわかる。ペダルの操作感なども優れているし、クルマの基本を大事にしているところは好感が持てた。

ディーゼルと感じさせないスムースさを持つ3.3L直6エンジン

プッシュスタートボタンを押すと一瞬でエンジンがかかり、排気量3.3Lのディーゼルであることを意識させないほど音が静か。直列6気筒の長所を生かし、振動もなく非常にスムースな回転だ。マツダ自慢のトルコンレス8速ATのおかげもあって、滑らかな発進が可能。半クラッチ領域の制御も上手で、変速ショックも少なく、変速タイミングを含め、なかなかよくできたミッションだと思う。また、信号待ちなどでi-stopが作動したとき、アクセルペダルを踏み込むと即座にエンジンが始動するため、セルモーターを一瞬ブルっと動かす一般的なアイドルストップのようなストレスを感じさせない。

550Nmの最大トルクを1500〜2400rpmで発生させるエンジンは、1.9tの車重に対しても十分な力強さを持っていて、レスポンスも動力性能も申し分ない。走行中、ほとんどの時間、回転数は1500〜2400rpmの間に保たれていて、あえて3.3Lにしたことで、常用回転数を低く抑え、走りの良さと燃費、環境性能を高次元でバランスさせていることは、CX-60の大きなメリットといっていいだろう。

新東名を走っているときも、こまめにコースティングモードになっていて、タコメーターがゼロ(エンジンが完全停止)している瞬間がたびたびあった。これらによって燃費は良好で、東京〜大阪間、およそ500kmで、平均燃費は17.7km/Lだった。

新発想なサス設計でライントレース性は良好!

そしてハンドリング。
CX-60のハンドリングは期待どおり、なかなかなものだ。ハンドル操作に対して素直に反応し、ニュートラルでラインのトレース性もいい。SUVでこの軽快感があるのは立派だと思う。これはマツダのフロントダブルウィッシュボーン式サスペンションの良き伝統。CX-60に関して言えば、直6エンジンを縦置きに搭載したことで、サスアームを長くすることができ、それが接地性の良さを生み、ハンドリングの良さに貢献していることは間違いない。

一方であまり褒められないのが乗り心地。CX-60はデビュー当時から突き上げ感を指摘する声が聞かれたが、前後ショックアブソーバーの減衰力特性やスタビライザーなどを見直したとされる2025年モデルも改善された。しかし単発の段差や路面の継ぎ目程度なら「SUVならこんなものか」と許容できなくもないが、ギャップがいくつか連続するような箇所では、そのハーシュに対し強いショックを感じてしまう。

CX-60は、前後輪のタイヤの上下軌跡の回転中心を結んだピッチングセンターを、車両の後方に配置させることで作動軸を一致させるサスペンションの設計を試みている。これにより、ピッチングの発生をかなり抑えることに成功し、速度域を問わず、どんな路面でもほぼフラットライドをキープできるメリットを手に入れたが、その反面、路面からの入力は単純な上下動、マツダの言うところのバウンス挙動になって現れる。さらにCX-60は、リアサスペンションに一般的なゴムブッシュではなく、ピロボール/ボールジョイントを採用している。ピロボールといってもレーシングカーのような金属製ではなく、樹脂製のボールシートとグリス潤滑を組み合わせたものになっているが、もう少し熟成が必要と感じられた。

マツダとしては、ドライバーと車体の一体感、操作に対するクルマの反応のシンクロ性を重視して、新しいピッチングセンターの考え方やピロボールを採用したわけだが、このCX-60のキャラクターにあっていたかは疑問。とくに後部座席の突き上げ感が強い。リアシートだけ座面の硬さをソフトにしたり、20インチタイヤではなく、19インチあるいは18インチタイヤにして、バネ下重量の軽量化などを見直す必要はあるだろう。ただ考え方自体を全否定するものではなく、志は高いので、もう少し時間をかけて、じっくり煮詰め直せば、そのうち長所は光り、短所は影をひそめると、長い目で見ていきたいと思う。

操舵に対するヨーやロール挙動を抑えたハンドリング

もう一点付け加えると、CX-60は操舵と同時に発生するヨー、ロール挙動を最小化するために、フロントのキャスター角を立てている。これもセルフアライニングトルク(SAT)とトレードオフになるので、通常は直進性がスポイルされるが、CX-60ではリアサスペンションの特性を最適化しそれをフォローしたといっている。

今回の試乗では、少なくとも120km/h(新東名)ぐらいまでは、それほど直進性、高速安定性の悪さは感じられなくなったが、スタッドレスタイヤを装着していたこともあり、やや横風の影響を受けやすく、速度域がもう少し上がると安定性も頼りなくなってくる可能性は感じられた。これについてはタイヤ次第の面もあるので、参考までにということで。

まとめるとCX-60は動力性能、ハンドリング、燃費などはかなり優秀で、視界やドライビングポジションなどもよく、扱いやすくて、マツダ得意の「人馬一体」感はあるSUVと言えるだろう。

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