これぞブリティッシュ ユーモア!? 4ドア6人乗りに改造された「ミニ」のストレッチリムジン!
18世紀の英国で生まれ、美術品などの取り扱いから発展してきたオークションハウス。数億〜数十億円での落札ニュースが話題になりますが、すべてが敷居の高いものばかりではありません。イギリスで開催された「ザ・クラシックカー・セール」には、私たちのような一般的なクルマ好きにも馴染み深いモデルが多数出品されました。今回注目するのは、なんと1985年式「ミニ メイフェア」をベースに4ドア6人乗りへと改造されたストレッチリムジンです。英国らしいユーモアあふれる珍車の正体に迫ります。
クルマ好きに馴染み深い車種が揃う英バーミンガム「ザ・クラシックカー・セール」開催! 名門オークションハウスの注目イベント
さる2026年3月21日(土)〜22日(日)に、イギリスはバーミンガムで開催された「プラクティカル クラシックス クラシックカー&レストアショー2026」。この会場内で行われたのが、アイコニック オークショニアーズが主催したオークション「ザ・クラシックカー・セール」だ。
アイコニック オークショニアーズとは、英国のレーシングドライバーであり、ポルシェやフェラーリなどの正規ディーラーを務めた経歴を持つニック ホエールによって2011年に設立されたオークションハウスだ。創立当初はシルバーストーン オークションズという名称で、現在の社名に変わったのは2023年のこと。その創始者の出自からして、扱う品目は基本的にはクルマとバイクのみ。しかも、いかにも英国らしい車種が数多く出品されるのもここのオークションの特徴である。
1985年式ミニの全長拡大6人乗りストレッチリムジンが、英国のオークションにジョーク満載で登場!
今回ご紹介するのは、ミニのストレッチリムジン。ちっぽけなミニをうんと伸ばして4ドアの6シーターにしてしまうこと自体ちょっとしたジョークのようだが、もちろんこれは正式なカタログモデルではない。1985年式のミニ メイフェアをベースにして、2000年代初頭に北ウェールズの専門業者によって製作されたカスタムカーである。
ご覧のとおりボディとホイールベースを延長し4ドア化されており、室内後部には一番後ろのサードシートと向き合うように2人分のセカンドシートが追加された6人乗りだ。ちなみに「リムジン」とは馬車の形式名から引き継がれた言葉で、御者(運転席)と乗員の間が完全にパーテーションで仕切られている、あるいは御者だけが無蓋の車外に座るかたちの「ご主人様とその従者」の乗り物を指す。
ストレッチリムジンは使用用途多彩! 補強と性能アップエンジン搭載の「ミニ・ストレッチリムジン」の正体
我々にも馴染みのある例で言えば、御料車のメルセデス・ベンツ グローサー メルセデス770リムジーネや日産 プリンス ロイヤルなどが、本来的な意味でのリムジンだ。それに対し、一般的な市販セダンなどをベースに、ホイールベースとボディを延長し室内空間を拡大した改造車は、一般的にストレッチリムジンと呼ばれる。
当然それらは王侯貴族の移動用ではなく、観光やイベントの顧客送迎用、あるいはプロモーションなどがその主たる用途だ。このミニ ストレッチリムジンもそんな1台である。ボディやホイールベースの延長、6シーター化にあたっては、フロアなどに十分な補強がなされているが、基本的な機械部分は概ね元のミニに準ずる。エンジンはお馴染みの4気筒OHV、1275ccのAタイプだが、キャブレターや燃料ポンプなどはアップグレードされており、ラジエーターも特注のアルミ製に交換されている。
維持も用意なミニリムジンは独自性が魅力も、オークション不成立という英国オークションのお空深さ……
この個体はまず通常のミニとして登録され、数年後にストレッチリムジンに改造されたそうだ。改造後に著名なミニ コレクターが購入し、その後は各地の個人コレクションに所蔵されてきたが、近年はごく稀にしか使用されていなかったとのこと。
そのため、このミニを手に入れた新しいオーナーは、まず最初に基本的なメンテナンスを行うことが必要となるだろうが、元々が「ただのミニ」なのでパーツの供給は問題なく、維持することはさほど困難ではないだろう。
オークション主催者は「ホスピタリティ用車両、プロモーションツール、あるいはミニやコーチビルト車のコレクションにぜひ」と謳い、8000ポンド〜1万ポンド(邦貨換算約172万円から215万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。しかし、今回のオークションでは残念ながら買い手がつかず「NOT SOLD(流札)」という結果であった。このような一風変わったクルマに出会えるのも、ドメスティックなオークションならではの楽しみといえるだろう。
※為替レートは1ポンド=215円(2026年4月20日時点)で換算
