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ドリフトを真のモータースポーツへ! FDJ岩田和彦代表が語る「ピアノ発表会」という未来ビジョン

FDJを主催するMSCの岩田和彦代表取締役。後ろのスポンサーボードには「応援してくれるすべての人に感謝を」とある。これがFDJのスタンスなのだろう

自動車業界の未来を見据えたファン作り活動と「ドリフト競技をモータースポーツへ」の実現目指すFDJ代表に直撃!

2026年4月24日から26日にかけて、富士スピードウェイにて「フォーミュラ ドリフト ジャパン(FDJ)」の開幕戦が開催されました。クルマ好きから家族連れまで大いに楽しめるエンターテインメント空間へと進化し続けるのが本大会です。FDJを主催・運営する組織の代表である岩田和彦氏へ、イベントに込める熱い想いと自動車業界の未来に向けたビジョンをインタビューしました。

FDJ開幕戦が富士で開催!岩田代表が語る「誰もが1日中楽しめるイベント作り」への情熱とファンサービス

「FUJI XTREME DAYS WITH FORMULA DRIFT JAPAN」と題されたFDJ開幕戦が、2026年4月24日から26日に行われた。その開幕戦では、FDJおよびFDJ2の2クラスのドリフト競技が行われた。

それ以外にも「XTREMEコンテンツ」が用意され、最新カスタムカーの展示や体験エリア、さらに音楽やフードエリアも充実しており、クルマ好きから家族連れまで大いに楽しめる週末となったのだ。

FDJを主催・運営する組織の代表である岩田和彦氏に話を訊いた。

Q:FDJについて、今年の意気込みを聞かせてもらえますか。

「頑張るぞ、ですね(笑)。基本的にこれまでの取り組みと一緒です。年齢層に関係なく幅広く、家族連れでも子どもが来ても楽しめるものを目指そうという形で、カスタマーサービスをいかに充実させ、リピーターを増やしていくかというところに注力してやっています。基本的な考え方として、お客さんも大切だし、貸してくれる場所も大切だし、やはり応援してくれるスポンサーも大切であるということ。それがあって参加してくれる、と思っています」(岩田氏、以下同)

Q:会場を見回したりオフィシャルプログラムを見たりしていると、初心者向けの解説など、より丁寧で分かりやすくしているように見受けられます。

「簡単に言うと、ドリフトってちょっとわかりにくかったりするんですよ。その競技とか、審査とかがね。そういうところを『どう見たらいいのか』をわかってもらえるような説明をしたり、お客さんに理解してもらったうえで、どう楽しんでもらうかは重要ですよね。そんなことを考えて、『このイベントに来て楽しかったね』とみんなが良いイベントだねって思ってくれるようなものが僕らの理想形です。だからスタッフも大切だし、お客さんも当然大切だし、みんなが良かったねって思ってくれるような、そういうイベントにしたいなという気持ちからですね」

Q:会場内は常になにか楽しめるコンテンツがあるイメージですね。

「コンテンツがいろんなところにあるから、退屈しないような作りになっていたりします。それから、たとえばSNSのハッシュタグで『FDJのFを探せ』『Dを探せ』『Jを探せ』といったものを用意しています。運営している側のスタッフだったり車検員だったり、そういうメンバーにもステッカーを作ってあげていて、スタッフを探して声をかけたらステッカーがもらえるという企画もやっています。それをコレクションしている人もいたり、そういう楽しみも用意しています。今年からやるアイデアとしては、夕方まで会場に残ってくれたお客さんにたいして『今日も1日遅くまでありがとう』というメッセージを渡すような工夫も用意しています」

若手育成とクルマ文化の未来を見据え「モータースポーツを軸としたファン作り」は「ピアノ発表会」のように!?

Q:新しい選手の参戦もありますね。たとえば今年も「スーパーGT」から井口卓人選手が参戦しますが。

「ウェルカムです。井口選手は予選も通りましたし、やっぱりプロのドライバーってスキルが高いから、みんなある程度は乗るじゃないですか。でもそういうトップリーグでやっている選手たちが、このドリフトをモータースポーツとして認めてくれたということの証明でもあると思うんですよね」

Q:逆にKANTA選手や箕輪大也選手のように、ほかのカテゴリーへ移ってしまう選手もいます。

「それはそれでいいと思います。結局僕らは何を求めているかといったら、未来を持った若い子たちが乗ってくれて、成長していくステップに考えてくれれば良いのです。そこから世界に羽ばたいたら一番いいじゃないですか。18歳以上の免許所持者じゃないといけないというのは時代錯誤ではないかと思っています。そんなことでは未来の自動車業界に何もなくなっちゃうという危機感を持ってやっています。たとえばピアノの発表会を見るとわかりますが、僕らは発表会の会場を作っているわけです。でもそこにはピアノの先生も習っている生徒もいる、ピアノを売っているところもあるし、ピアノの調律で食っている人もいるし、ピアノの用品を売っている人もいる。そういう用品などは、ピアノを弾く人がいなきゃ売れないわけじゃないですか。反対に発表会がなければ、すべてが厳しくなってしまうわけですよね。そういうことをもっと広い目で、自動車業界の人が何が大切でどこにお金をかけるかというのを見てもらいたい。自分たちの利益だけを考えてやっている興行なら別にどうなってもいいと思うんですよ。でも僕らはそうじゃない。うちは金儲けに走りたくないので、自動車業界、クルマを楽しんでくれる人をいっぱい作りたいんです。だからチケットもリーズナブルな設定にしていて、現場でこの空気に触れてもらいたいわけですよ。クルマ好きのファン作り活動みたいなものですよね」

ドリフトの地位向上とファン層拡大、次世代育成を掲げるFDJ岩田代表が描く「日本発祥文化」の未来像

「これを十数年続けているわけです。それはなぜかと言ったら、このドリフトというものが日本に生まれて、世界では競技になってモータースポーツに押し上げられているのに、危ないドリフト族的な低いレベルという状況だったものを、もう20年近くかけて啓蒙して、どんどんモータースポーツの位置づけまで押し上げるということを真剣にやってきているからです。ようやくその競技という認識にちょっと分かれようとしています。まだまだ痛みが伴うだろうなと思っていますが、これからもおごらず、コメツキバッタのように働いていきます」

岩田氏が語るように、日本で産声を上げたドリフト競技は現在、「FIA インターコンチネンタル ドリフティング カップ」として世界自動車連盟(FIA)に公認されるなど、グローバルで格式高いモータースポーツへと確かな成長を遂げている。今回のこの開幕戦では、前売りチケットが前年の1.7倍に達したという。また、全世界へ配信されるライブ放送も1回に100万人規模が視聴しているという。

「参戦したいという問い合わせも増えています。もういっぱいでお断りせざるを得ない状況です」

と語る岩田氏のうれしい悲鳴は、長年の地道なファン作りが実を結んだ証である。
ドリフトという日本発祥の文化を正当なモータースポーツへと昇華させ、次世代の才能を育む土壌として、今後のFDJのさらなる飛躍に期待せずにはいられない。

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