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現行型の時代到来か!? スズキ「HA37アルト」でテストを続けるラインナップレーシングの「次世代軽レース開発車両」の現在地

スズキ HA37 アルト:HA37のサーキット仕様は世界初⁉︎ まだまだ発展途上とはいえ将来性は示すことができた。ECUを筆頭にさらなる進化を期待したい

サーキット仕様のスズキ「HA37 アルト」が東北660選手権に登場! アルトの名匠が解析した未知のマシンの実力

軽自動車による草の根モータースポーツの世界において、ベース車両の世代交代はつねに大きな関心の的となります。そんななか、先代モデルである「HA36 アルト」をレースの主役へと押し上げた名門「ラインナップレーシング」が、いち早く現行型のスズキ「HA37 アルト」をサーキットへ持ち込みました。現代のクルマならではの強固な電子制御の壁に挑みながら、次世代マシンとしてのポテンシャルを徹底検証した、注目のテスト走行の模様をお届けします。

兵庫から電撃参戦! HA36アルトを軽自動車レースの主役に押し上げたラインナップレーシングの次なる刺客

2025年12月6日、スポーツランドSUGOで東北660選手権の特別戦が開催され、とあるマシンがエントラントとギャラリーの注目を集めた。それが、兵庫県から持ち込まれた現行型のスズキ「 HA37 アルト」である。製作したのは、先代にあたるスズキ「HA36 アルト」の開発にいち早く着手し、軽自動車レースの主役に押し上げたラインナップレーシングだ。

常に新しいことへのチャレンジを忘れない同ショップの松山代表は、HA37 アルトがデビューした直後から開発をスタートしていたという。まだ発展途上ではあるものの、安全装備などサーキットを走らせるための準備が整ったため、実力チェックとデータ取りを兼ねて参戦を決めたという。まずは取材時点の仕様を紹介しよう。

ECUの壁と独自の吸排気チューン! ストリート志向のセッティングでも高いパフォーマンスを発揮

エンジン本体は東北660のレギュレーションどおりノーマルで、ECUはラインナップレーシングの代名詞ともいえるオリジナルに変更されている。パワーやトルクを上げる部分のデータは書き換えられたものの、スピードリミッターとレブリミッターは強固なプロテクトを突破できなかったという。直線の長いスポーツランドSUGOではこの両リミッターが大きなハンデになるという。もっとも、ストリートや車速の高くないミニサーキットなら、ノーマルとは異次元のパワフルさを味わえるのは確実だろう。

保安基準に適合したオリジナルのマフラーも製作している。メインパイプは42.7φ、テールパイプは60φで、低速トルクを損なわず鋭いレスポンスも味わえる設定だ。HA36 アルトでも大ヒットしたオリジナルの電装系パーツにも注目したい。コストダウンを目的とした純正アースに代えて電圧の減衰を抑制する「プレミアムアース極」と、イグニッションコイルやオルタネーターへ供給する電力を安定させる「919ワイヤー」は、サーキットの上り勾配やストリートでのちょっとした加速シーンでも違いを体感できるという。

足まわりはボルドワールドと共同開発の車高調を装着する。あくまで主戦場はストリートと捉えながら、幅広い減衰力や車高の調整幅でレースにも対応する仕様だ。ハイグリップタイヤとの相性もよく、当日の冷えた路面でも安定したグリップと高いコントロール性を発揮していた。

HA37 アルトの課題「電子制御とリミッター」克服で次世代の主役へ! CVTを武器に道を切り拓く道標に!

サーキット仕様を作るにあたり、工夫が必要だったのはロールケージだ。HA37 アルトはフロントガラス後方にレーダーブレーキサポートなどの装備が集中しているため、安全かつ東北660のレギュレーションを満たすパイプの取りまわしに頭を悩ませたという。結果としてルーフ前端から少しリアにオフセットしたが、視認性は問題なくヘルメットをぶつける危険性も少ない。リアまわりはHA36 アルトと同様に斜行バーの入った7点式で、フロントの左右にはサイドバーも装着している。この辺りのノウハウは、HA37 アルト乗りには非常に参考になる部分だろう。

気になるタイムだが、やはりスピードリミッターが重荷となった。公式練習でのベストラップは2分4秒152。エントリーした4クラスは2ペダル限定で、上位陣の多くは2分を切っているため、現時点での戦闘力は正直に言ってかなり厳しい。

しかしHA37 アルトならではのメリットもある。その代表がCVT(無段変速機)だ。HA36 アルトのAGS(オートギヤシフト)はシフトダウンに車速の正確な制御が必須で、決勝中に失敗すれば残り周回数によっては致命傷になりかねない。その点、HA37 アルトのCVTならドライバーは基本的に何もしなくてよく、常に美味しい回転域を使ってくれるため、精神的な余裕も生まれる。

HA36 アルトの生産が終了して約3年。モータースポーツのベースとして全国的に人気が高まり、程度のいい中古車は枯渇し、価格も上昇を続けている。スピードリミッターの問題など開発がさらに進めば、次世代の主力はHA37 アルトになる可能性は十分ある。

軽自動車レースの世界において、ベース車両の世代交代は避けて通れない命題である。強固な電子制御の壁に阻まれながらも、いち早く次世代機に挑戦するチューナーたちの情熱こそが、日本の草の根モータースポーツの屋台骨はもちろん、HA37 アルトに乗るカスタマーたちへの道標ともなるので、この先の活動に大いに期待したい。

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